シンガポール貿易・輸出の基礎知識(2024年更新)

 

目次

    シンガポールはアジア太平洋地域の戦略的な位置にあり、卓越したインフラを備えることから金融と貿易の中心地となっています。さらに、さまざまな優遇税制措置により外資系企業を誘致し、グローバルビジネスの拠点でもあります。

    シンガポールは貿易面では何に秀でているのでしょうか。そんな、アジアだけではなく、世界ビジネスにおいても重要な拠点と言えるシンガポールの貿易事情に関して見ていきましょう。

    シンガポールの基礎情報

    水を噴くマーライオン

    シンガポールは東南アジアに位置する小さな国ですが、その経済発展とインフラ整備により、世界中から注目されています。また、政治・経済の安定感や各国との良好な関係から、多くの企業がシンガポールに拠点を構えています。

    正式名称 シンガポール共和国
    首都 シンガポール
    位置 東南アジア、マレーシア半島の南端
    面積 約721平方キロメートル
    人口 約570万人 (2021年現在)
    言語 英語、マレー語、中国語、タミル語
    通貨 シンガポール・ドル (SGD)
    時差 日本との時差は-1時間 (日本標準時より1時間遅い)
    気候 熱帯雨林気候で、一年を通して高温多湿
    宗教 多様な宗教が共存しており、主な宗教は仏教、イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教など
    経済 一人あたりのGDPが高く、アジアでは日本、南韓に次ぐ経済力を持つ
    政治体制 共和制であり、議会が最高意志決定機関
    産業 主要産業は金融・商業サービス、製造業、観光業など
    治安 世界でも有数の治安の良さで知られている

    シンガポール貿易・輸出の最新情報

    パソコンに写った数値

    シンガポール貿易産業省(MTI)は8月11日、 2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(経済成長率)が前年同期比0.5%だったと発表しました。7月に発表した速報値(0.7%)から下方修正し( 2023年7月18日記事参照 )、前期の0.4%からほぼ横ばいの成長だった。季節調整済み前期比は0.1%で、速報値の0.3%から下方修正しました。

    シンガポールは国土面積は東京23区程ですが、電子産業によって高度成長を遂げた後、高付加価値の製造業、金融、情報通信、バイオテクノロジーの育成に力を注ぎ、最先端のビジネスでASEAN諸国および世界経済を牽引しています。

    シンガポールはアジアの主要な貿易拠点であり、国際的なビジネス環境が整っています。2023年版のシンガポール貿易・輸出の最新情報を以下にまとめました。

    ・総輸出額は前年比で増加し、引き続き成長が見込まれます。

    ・輸出品目の主なものは、電子機器、医薬品、石油製品、化学品です。

    ・輸出先国の上位3カ国は、中国、マレーシア、インドネシアです。

    ・シンガポール政府は、新興市場をターゲットにした輸出促進策を強化しています。

    ・TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟し、11カ国との貿易関係を強化しています。

    ・シンガポール港は世界一のコンテナ取扱量を誇り、アジア市場へのアクセスポイントとして機能しています。

    シンガポールはビジネス環境の良さから、多くの外資系企業が拠点を設けています。特に、製造やサービス業など多岐にわたる分野で、国際競争力を持つ企業が輸出の拡大を目指しています。さらなる貿易・輸出の拡大が期待される中、シンガポールは今後もアジアを代表するビジネス都市の地位を維持しそうです。

    シンガポールの主な貿易品目

    散乱した木箱

    シンガポールは、その地理的位置と先進的なインフラストラクチャにより、国際的な貿易の中心として重要な役割を果たしています。以下では、シンガポールの主要な輸出入品目について詳しく見てみましょう。

    輸出品目

    シンガポールの主要輸出品のグラフ

    シンガポールの主要な輸出品目は電気機器、一般機械、鉱物性燃料等、化学工業品、精密機器です。電気機器と一般機械だけで輸出品のおよそ半分を占めています。

    輸入品目

    シンガポールの主要輸入品のグラフ

    対して、シンガポールの主要な輸入品目は電気機器、鉱物性燃料等、一般機械、化学工業品、精密機器です。

    シンガポールの貿易の特徴として、輸出と輸入の品目が一部重なる点が挙げられます。これは、国内での生産・加工・再輸出が盛んなため、一部の製品が複数の段階で取引されていることを示しています。

    まとめると、シンガポールは先進技術と戦略的な貿易インフラを活用し、機械、鉱物性燃料、化学製品などを中心とした貿易を展開しています。これにより、国内経済の成長と地域経済との連携を強化しています。

    シンガポールの主な貿易相手国

    国旗と空

    シンガポールは、世界ビジネスの中心地としてその経済的な重要性を確立しており、輸出入において幅広い国々との取引を展開しています。最新の統計データに基づいて、シンガポールの主要貿易相手国とその輸出入の傾向を探ってみましょう。

    輸出相手国

    シンガポールの輸出国のグラフ

    シンガポールの輸出取引において、主要な貿易相手国は中国、香港、マレーシア、米国、EU27、インドネシア、台湾、韓国、日本です。アジアの国が多いのが特徴として挙げられます。

    これらの国々との輸出取引によって、シンガポールは多様な商品やサービスを世界に提供しています。

    輸入相手国

    シンガポールの輸入国のグラフ

    シンガポールの輸入取引においては、主要な貿易相手国は中国、マレーシア、台湾、米国、EU27、湾岸協力会議(GCC)諸国、韓国、日本、インドネシアです。これらの国々との輸入取引を通じて、シンガポールは自国の需要に対応し、多様な資源や製品を導入しています。

    輸出入のバランスと影響

    シンガポールの貿易データを通じて、中国が輸出入の双方で重要な役割を果たしていることが分かります。また、香港やマレーシア、台湾、日本なども高いシェアを持つことから、地域的な取引パートナーシップの重要性が浮き彫りになります。

    これらの貿易相手国との関係は、シンガポール経済の安定と成長に寄与しています。国際的なビジネス環境での戦略的な位置づけと、堅固な貿易ネットワークによって、シンガポールは経済的な繁栄を達成しています。

    総括すると、シンガポールの主要貿易相手国は、輸出入双方において多様な国々との強固な取引関係を築いており、その経済の成長と発展を支えていることがわかります。

    日本シンガポール貿易について

    握手している拳

    2020年時点で、シンガポールに進出している日本企業は約822社。東南アジアの拠点としてシンガポールに支店を構える企業も数多く存在します。

    貿易中継地としても機能しているシンガポールと日本の貿易はどのような現状なのでしょうか。詳細に見ていきましょう。

    輸出入規制について

    シンガポールは、実質的に自由貿易港を持つ国家であり、関税率も極めて低く設定されています。

    ・主要な課税対象品目: 石油製品、アルコール性飲料、自動車、タバコ製品(紙巻タバコおよび葉巻タバコを含む)

    シンガポール国内に輸入される、あるいはシンガポール国内で製造される課税対象品目には、関税納税品目明細書(Schedule to the Customs Duties Order)に準じた関税が課されます。品物が課税対象である場合、従価税率あるいは特別税率が適用される場合があります。

    輸入禁止品目と輸入管理品目は以下の通りです:

    ・輸入禁止品目: チューインガム、爆竹など

    ・輸入管理品目: 化学品など(事前登録および輸入ライセンスの取得が義務付けられています)

    日本シンガポール貿易額

    日本とシンガポールの貿易額の現状について説明します。ここで紹介するのは、2020年度のデータです。

    日本の対シンガポール輸出総額は約1兆8,876億円でした。対シンガポール輸入総額は約9,154億円でした。

    主な貿易品目

    日本の対シンガポール貿易輸出品には以下のような品目があります。

    ・機械類(全体の35.4%)

    ・金

    ・船舶

    ・石油製品

    ・化粧品

    また、日本の対シンガポール貿易輸入品には以下のような品目があります。

    ・機械類(全体の36.0%)

    ・医薬品

    ・科学光学機器

    ・有機化合物

    ・プラスチック

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。