海外貿易、何から始めたら良い?海外輸出の流れを解説

 

目次

    海外貿易・輸出の流れとは?

     「自社製品に自信はあるけどどうやって海外貿易を始めたらいいかわからない」。海外と取引ができている中小企業は全体のわずか1%といわれている日本で、こういった声はよく聞かれます。今回は海外輸出に必要なステップを8つに分けてご紹介いたします。

    ステップ① 輸出商品・輸出する取引先の選定

     まずは取引先を選定します。選定基準には以下のようなものが挙げられます。

    ・相手国の消費者にとっての適切さ
    ・取引相手の経営状況
    ・相手国のライバル会社
    ・対象商品輸出の許可や申請、法定検査の必要性

     インターネットが発達した現代では、必要な情報はweb上で充分集められます。検索サイトを駆使してできる限り多くの情報を集め、適切な取引先を選定しましょう。

    ステップ② 契約の交渉・契約の締結

     取引先と契約を結ぶのは貿易でも同じです。双方が納得する条件を出す必要がありますが、これを貿易条件(インコタームズ)と呼びます。インコタームズには以下のような情報が含まれており、貿易をする上での要となる部分ともいえます。

    ・商品価格
    ・決済通貨
    ・決済方法
    ・決済の時期
    ・品質
    ・数量
    ・梱包条件
    ・輸送方法
    ・引渡時期
    ・検査方法
    ・検査時期
    ・アフターサービス
    ・トラブル時の対応

    ステップ③決済方法の決定

     決済方法には大きく2種類、「荷為替手形決済」と「電信送金決済」があります。

    荷為替手形決済とは…

    為替手形という輸出者が輸入者に商品代金を支払うよう指示した手形に船荷証券(B/L)や輸入国での通関に必要なインボイス、パッキングリストなどの船積書類を添付したものです。

    電信送金決済とは…

    国内における銀行口座振込のような決済方法のことです。荷為替手形決済とは、輸出する側が荷為替手形を送り、輸入者が書類と引き替えに商品代金を支払う決済方法のことです。

     また、先述の荷為替手形決済には以下の2種類あります。

    信用状付荷為替手形決済(L/C決済)

     一つ目が、信用状付荷為替手形決済(L/C決済)です。輸出者が信用状条件に記載されている書類を銀行へ呈示することを条件に、銀行が輸入者に代わって商品代金の支払いを確約する決済方法です。
    メリットは、信頼性の高い銀行が輸入者に代わって代金を支払ってくれるため、輸出者が安心して取引できる点です。輸出者は輸入者からの代金決済を待たずに、輸出地で荷為替手形を呈示すると代金を回収できます。デメリットは、銀行が間に入ることで高い手数料が発生することです。また、書類に不備(ディスクレ)があれば、決済に時間がかかり、同時に輸入者も船積書類を受け取るのが遅くなってしまうことも難点です。

    信用状なし荷為替手形決済

     二つ目が、信用状なし荷為替手形決済です。こちらも二つに分かれており、D/A決済とD/P決済があります。

    D/A決済(引受時書類渡し:Documents against Acceptance)

     D/A決済(引受時書類渡し:Documents against Acceptance)は、輸入者が手形期日までに支払いを引き受けることを条件に船積書類を引き取ることができる条件のことです。輸出者からすると、輸入者が手形を引き受けた時点で商品所有の権利が移ってしまうので、輸入者の信用度だけが拠り所となるリスクの高い決済方法です。

    D/P決済(支払時書類渡しDocuments against Payment)

     D/P決済(支払時書類渡しDocuments against Payment)は、荷為替手形の決済をすれば輸入者は船積書類を引き取ることができる条件のことです。D/P決済のメリットは、輸出者にあります。なぜなら、輸入者が決済を行わない限り書類が渡されることがないので、代金回収リスクを避けることができ、商品も輸出者側の所有となるからです。

     初めての取引ではリスクを考慮してL/C決済を利用するケースが多いです。D/AとD/P決済を行う場合は、包括保険への加入を検討するようにしましょう。

    ステップ④ 信用状の入手・信用状の確認(L/C決済のみ)

     L/C決済の場合、輸出側は通知銀行から受け取った信用状を主に以下の項目でチェックします。

    ・ 輸出国の通知銀行から送られてきたものである
    ・ 開設銀行の信用度が問題ないこと
    ・ 原本であること
    ・ 支払確約文言の記載がある
    ・ 信用状統一規則準拠文言の記載がある
    ・ 取消不能信用状(Irrevocable Credit)である
    ・ 売買契約内容と信用状の内容が一致している

    ステップ⑤ 輸送手段の確保・船積み準備のスタート

     必要書類をフォワーダーに送り、船積みや輸出通関を依頼し、輸送手段を確保します。
    各国により必要な書類が異なりますが、ここではナイジェリアを例に見てみましょう。

    ・船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)等
    ・パッキングリスト
    ・原産地証明書
    ・インボイス
    ・単一商品申告書(Single Goods Declaration:SGD)
    ・輸出手続きフォーム(Nigerian Export Proceed:NXP)
    ・検査証明書(Clean Certificate of Inspection:CCI)
    ・併せて輸送中の事故などに備えた保険の準備も大切です。

    ステップ⑥ 輸出通関

     フォワーダーに依頼していれば、輸出する側が作成した書類をもとに、フォワーダーが輸出申告に必要な書類を作成し、手続きを行ってくれます。

    ステップ⑦ B/L(船荷証券)の入手

     輸出許可が降りて船積みが完了すると、船会社からB/Lが発行されます。フォワーダーに依頼している場合はフォワーダーが費用を立て替え、輸出側は手続き費用と合わせて支払うことがほとんどです。

    ステップ⑧ 代金回収

     決済のタイミングは、契約条件によって異なります。

    ・電信送金決済…輸出入者とのあいだで支払い時期を取り決めます。
    ・信用状(L/C)決済…輸入地銀行に届いた輸出者の貿易書類と引き換えに支払います。
    ・D/A決済…輸入地銀行に届いた輸出者の貿易書類を受け取り後○日以内に支払います。○日は契約時に決めます。
    ・D/P決済…輸入地銀行に届いた輸出者の貿易書類と引き換えに支払います。 

     輸出する側は取引銀行に、信用状に記載されている通りの書類の原本と為替手形を揃えて買取依頼書を作成し、銀行に為替手形の買取を依頼します。

    海外貿易・輸出には十分な準備が必要

     今回は海外貿易を始める際の基本的な8ステップについてまとめました。準備に時間がかかることは事実ですが、一方で日本では掴みきれない新たな市場のニーズを満たせるチャンスであることもまた確かです。貿易に関する基礎情報は他にも上げていますので、是非ご覧ください!

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。