シンガポール進出はどうする?ビジネスチャンスは?

 

目次

    シンガポールは小さな都市国家とも呼ばれ、東京都23区に近い国土に人口約550万人を抱えています。国民1人当たりのGDPはすでに日本を上回り、東南アジア市場のハブとして存在感を示しています。また、その経済も成長を遂げ続け、日本を含めた全世界から注目の的となっています。

    シンガポール進出のメリット

    このようなアジアビジネスの中心とされるシンガポールに進出するメリットは以下のようなものがあります。

    ハブとしての地理的な有利性

    シンガポールは東南アジア事業のハブとしてのポテンシャルを有しています。実際に、シンガポールに拠点を置いている海外企業は約7,000社あり、日本企業は約1,600社が進出しています。また、シンガポールに展開する多国籍企業の約60%がシンガポールをグローバル総括拠点としているとの報告もあります。近年では、これまでのモノ(物流)のみならず、ヒト(人材)、カネ(金融)、IT(情報技術)が集結した場所としても発展しており、シンガポールがビジネスの最前線として意識されています。

    外資系企業への優遇措置

    世界銀行の2015年の調査では、シンガポールは世界で最もビジネスがしやすい国として評価されています。また、189ヵ国を対象に10項目で調査を実施した調査では、対外貿易と契約の強制力という要素で1位を獲得しています。このように評価される理由は、シンガポール政府がその国際的な競争力を増加させるために、税制を含めた多くの優遇制度を用意しているからです。例えば、法人税の制度において、シンガポールでは法人税が企業所得税とされており、所得とみなされたもの以外は課税されない仕組みになっています。その税率は最大17%であり、ほかの優遇制度を利用すれば実効税率は10%にもならないことがあります。さらには、他の東南アジアと比較して外資規制が少ないことも特徴です。外国資本が事業保有する上で特定分野を除けば制限がありません。そして、出資制限や業種制限、最低資本金といった規制がなく、特定の分野を除けば外資100%で事業をスタートすることさえ可能となります。

    整備されたビジネスインフラ

    ビジネスインフラという面でも、シンガポールは高い評価を得ています。それは、空港の利便性追求や香港と並ぶ世界有数のコンテナ取扱量を誇る港湾施設の設備のように「陸海空」すべてのインフラが整えられているからです。これによりシンガポールは海外企業から厚く信頼され、東南アジアビジネス中心の地という地位を確立しています。さらには、行政手続きも非常にシンプルで、すべて英語で対応できるように配慮されています。このように少ない手続きやシンプルな仕組みにより、簡単に外国企業は行政手続きが進められます。そして、行政手続きのときにはSingPass(個人)・CorpPass(法人)というIDが発行され、オンラインで本人確認や行政手続きが行える仕組みが出来上がっています。これにより、作成した書類を役所に提出するといった手間が省かれ、効率的に手続きが進められます。

    シンガポール進出のデメリット

    物価の高さ

    シンガポールに進出する上で真っ先に問題となるのが、物価の高さです。生活必需品や公共料金、食費、交通費は日本とあまり変わりませんが、その他の要素で物価の高さが目立ちます。例えば、以下のようなものが挙げられます。

    • 自動車関連
    • 住宅
    • オフィス
    • 人件費

    まさに、「1人あたりのGDPが日本を上回る」というように、シンガポールで生活を営むには日本以上のコストが必要となってきます。このように、シンガポール進出においては、税制等におけるメリットだけでなく、生活費等の物価が高いというデメリットにも注意しなければなりません。

    就労ビザ取得の難しさ

    就労ビザの取得においても困難が待ち受けています。日本企業としてシンガポールに進出し、日本人として働く場合は、就労ビザが必要となります。シンガポールでは大きく2つの種類があり、エンプロイメイントパス(EP)とSパス(S PASS)です。EPはシンガポールで所得が高いとされる高度技能を持つ外国人等のためのビザで、S PASSはマネージメント職以外の外国人労働者のためのものです。一般的に、EPの取得審査が通らなければ、Sパスの取得申請に挑戦するという流れになりますが、そもそもEPを取得する条件が年々厳しくなってきています。

    シンガポールへの進出方法

    では、そのシンガポールに進出するにはどういった方法があるのでしょうか。ここでは、3つの方法を紹介します。

    ①現地法人設立による進出

    ②支店設立による進出

    ③駐在事務所設立による進出

    ①現地法人設立による進出

    現地で法人を設立することにより、営業や販売の経済活動を行うことが可能となります。これには、公開会社と非公開会社の2タイプがあります。公開会社では株主が50人以上必要ですが、公募を使って資金調達ができるようになります。非公開会社では、株式の売買に制限がありますが、多くの日本企業がこの形態で法人を設立しています。現地法人化する最大のメリットは、シンガポールでの税制上の優遇をより多く受けられることです。例えば、法人税率が日本のものより20%ほど低くなることもあります。

    ②支店設立による進出

    支店を設立することにより、基本的に法人と同じように経済活動を行うことが可能になります。銀行や保険といったような金融業界ではこの進出形態が多く採用されています。注意すべきところは、現地法人設立と異なり法的規制や運営責任を日本本社が負い、税制での優遇は受けることができません。その一方で、日本本社と同一法人格であるため、資金のやり取りを行う上では現地法人設立に比べ手続き面でシンプルになります。

    ③駐在事務所設立による進出

    駐在員事務所設立では、現地法人設立や支店設立と異なり、販売や営業といった経済活動は政府によって認められていません。しかしながら、マーケット調査のような情報収集は可能になります。現地法人設立と比較したときより簡単に設立できることから、現地法人設立の前段階として設立されることもあります。そして、駐在員事務所設立には、以下の条件があります。

    ・親会社が設立して3年以上経っている

    ・売上が25万米ドル以上

    ・駐在員が5人未満

    まとめ

    このように、シンガポール進出には様々な税制上のメリットがあり、同時に注意すべきデメリットもありました。また、現地への進出方法や制限なども多様で、どの進出方法を選ぶべきなのか慎重に考えなければなりません。こうした知識を身に付け、ぜひシンガポール進出にチャレンジしてみましょう。

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