フィリピンでの法人設立の流れ!必要な準備とは?

 

目次

    フィリピンでのビジネスは、経済成長率が高く、人口が若く英語力にも優れていることから魅力的な市場です。しかし、政治的な不安定さや法令遵守の 問題によりリスクも伴います。成功するためには、現地の文化や法律を理解し、適切なパートナーと連携することが重要です。

    フィリピンでの日本人企業設立が今注目される理由

    文化の共通点と高い英語力がフィリピンの魅力。急拡大する人口と経済発展により、日本への輸出が増えています。フィリピンでのグローバルビジネス展開の理由を説明します。

    PEZA登録で輸出企業に特典が受けられる

    PEZAは、フィリピン経済特区設立と外国投資促進を目指す機関。PEZA登録企業には、法人所得税免税、優遇税率、輸出入手続き簡素化などの投資優遇措置が与えられます。輸出企業に特に恩恵があり、PEZA登録で以下の特典が得られます。

    法人所得税免除:最大8年間、法人所得税が免除

    付加価値税免除:通信、電力、水道等のサービス購入時のVATが免除

    輸入関税、地方税免除:生産用機械・素材輸入関税、地方税が免除

    PEZAビザ発行:外国人駐在員にPEZAビザが発行

    建設許可簡素化:建物建設に必要な許可手続きが簡素化

    輸出入証明書取得免除:商品輸出入証明書取得手続き免除

    英語が通じる利点

    フィリピンビジネスの魅力は、高い英語力を持つ現地人です。英語は第二言語として一般的で、日常会話からビジネスまでスムーズに対応。クライアントやパートナーとの意思疎通が円滑で、国際展開やグローバル市場への進出が容易になります。

    親日国フィリピンの魅力

    フィリピンは親日国で、魅力的なビジネス市場。日本人や日本企業・商品に対する好意が高く、文化的な親近感もあります。これらの理由により、フィリピンでのビジネス展開は成功の可能性が高いと言えます。

    フィリピンでの会社設立の4つの方法

    フィリピンへの進出に際し、4つの主要な事業形態から選択が求められます。それぞれ異なる特徴があり、最適な形態を選ぶことが重要です。

    方法①現地法人(100%子会社)の設立

    外国企業はフィリピンで100%子会社を設立できます。フィリピン法に基づくこの子会社は、親会社とは独立し、親会社は子会社に対し、投資範囲で責任を負います。現地法人は、「国内市場向け企業」と「輸出型企業」に分類され、フィリピン国内での売上により決定されます。

    <国内市場向け企業>

    ・フィリピン国内売上が60%未満の場合に該当。

    ・ネガティブリスト掲載業種は、外資規制対象であり、一定の比率をフィリピンの資本に入れる必要がある。

    ・経営の自由度はやや低くなる。

    <輸出型企業>

    ・フィリピン以外の国での売上が60%以上の場合に該当。

    ・外資規制対象外であり、100%外資資本での会社立ち上げが可能。

    ・経営の自由度が高い。

    方法②支店を出す

    支店は所得稼得が可能で、外国投資法に従い事業活動を展開。フィリピン国内と国外で収益を上げられるが、ネガティブリストの業種制限があり、自由度が低い。

    方法③駐在員事務所を置く

    駐在員事務所は所得が稼得できず、本社から最低30,000ドルの送金が必要。情報収集や連絡業務を行い、直接の売買契約は許可されていない。

    方法④アフターコロナのGEO

    GEOは海外拠点を持たず、現地人材雇用や人事・労務管理を代行。初期投資とリスクが低く、迅速な海外進出が可能だが、契約に関しては本社が直接取引を行う。

    ネガティブリストとは?

    現地法人は、「国内向け」と「輸出型」があり、売上とネガティブリスト(外資規制リスト)の業種で決まります。該当業種は、出資比率が制限され、支店も同様に要件を満たさないと事業ができません。

    規制内容は以下の通りです:

    ・外資規制25%以下:派遣事業・国防施設建設関連

    ・外資規制30%以下:広告業

    ・外資規制40%以下:ラジオ通信・教育・天然資源開発・公益事業関連・農業・宇宙ロケット・ダイナマイト・貿易関連業種

    ・外資規制100%禁止:新聞・テレビ・薬剤師等専門職・保険会社・核兵器・その他危険業種

    フィリピン法人設立の手順

    詳しい手順を見ていきましょう!

    フィリピン法人設立には以下の主要なステップがあります。

    ①法人設立準備(2、3週間)

    事前準備: 事業計画策定、データ収集。

    会社所在地決定: 定款内の詳細な住所記入のために会社所在地確保。

    定款・附属定款作成: 会社名、目的、資本金、株主、取締役決定し定款作成。

    ・ネガティブリストチェック、規制該当確認。

    ・フィリピン優遇制度(PEZA、BOI等)事前調査。

    ・現地法人、支店、駐在員事務所、GEOの選択肢検討。

    ・同名・類似社名確認。

    ・証券取引委員会に会社名使用可否確認、会社名予約。

    ・会社設立に必要な定款に記載する住所の事務所借り手続き。

    ②資本金振込

    一時口座開設・送金証明書取得: 資本金用TITF口座を開設し、送金し証明書取得。

    財務役宣誓書作成: 発起人の出資宣誓する財務役宣誓書を作成。

    ③SEC登録(約2週間)

    申請・審査: SECへ会社情報を入力し、審査を受ける。

    署名・提出: 定款や財務役宣誓書等に署名し、原本を提出。

    登記費用納付: 登記費を支払い、納付書を取得。

    承認・登記証書発行: 申請承認でSEC登記証書が発行。

    ④設立総会実施

    取締役選出・役員任命: 取締役や役員を選出し任命。

    ・現地法人発起人選出・株式保有割合決定。

    ・会社秘書役・財務役選定。

    ⑤本口座の開設

    ・法人格取得後、本口座を開設し、TITF口座から資本金を移動する。

    ⑥税務署(BIR)への登録

    ・納税者識別番号(TIN)を申請・取得する。

    ・BIR-RDOに申請書を提出し、登録費用や印紙税を納付する。

    ⑦地方自治体(LGU)への登録(2週間程度)

    ・バランガイクリアランスや営業許可証の取得、LGUへの登録手続きを行う。

    ⑧社会保険関連登録

    ・雇用主としての社会保障システムへ登録する。

    ⑨労働雇用省(DOLE)への登録

    ・労働雇用省に雇用主として登録する。

    ⑩中央銀行(BSP)への登録

    ・外国投資をBSPに登録し、外貨調達や資本引揚を活用できるようにする。

    PEZA登録の手順

    PEZA登録はフィリピンでのビジネス成功に欠かせません。法人所得税・付加価値税・輸入関税・地方税の免除といった多くの利益があり、輸出時のコスト削減と成長につながります。ビジネス運営が円滑になることで、国際市場での成功が見込めます。法人設立時にはPEZA登録が重要な戦略となります。

    PEZA登録申請:申請データ準備→PEZA電子申請登録システムで申請。

    PEZA理事会承認:審査担当部署の推薦を受ける。

    理事会承認決議書発行・登録前条件遵守:期限内に対応完了。

    PEZA登録合意書・登録証書取得:登録前条件対応後に合意書取得。

    PEZA証明書取得:優遇措置証明書などを取得。

    環境遵守証書(ECC) / 適用外証書(CNC)取得:環境影響評価手続き。

    ラグナ湖開発公社(LLDA)許可証取得:対象地域内で許可を取得。

    これらのステップで、法人設立とPEZA登録をスムーズに進めます。登録後も定期報告や更新手続きが必要です。

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