日本とベトナムの貿易関係は活発で、相互に重要な貿易パートナーです。日本はベトナムにとって主要な輸入国であり、ベトナムは日本向けに主要な輸出品を提供しています。電子機器、自動車部品、繊維製品などが主要な貿易品目で、両国間の貿易額は増加傾向にあります。また、両国は経済連携協定(EPA)を締結し、貿易関係を一層強化しています。
本記事では、ベトナムの最新貿易事情やベトナムの貿易品目、貿易相手国、ベトナムと日本の貿易関係、ベトナム貿易のメリット・デメリットについて深掘りしていきます。
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ベトナム貿易・輸出の最新情報(2023年1~6月)
輸出入額(2025年上半期)
・輸出額:2,198億6,101万ドル(前年同期比+14.5%)
・輸入額:2,121億9,688万ドル(前年同期比+17.9%)
・貿易収支:76億6,413万ドルの黒字
2023年上半期では輸出・輸入ともに前年割れでしたが、2025年は輸出入ともに二桁増となり、力強い回復が見られました。
・2025年1~3月の貿易黒字は32億ドルに達し、順調なスタート。
・5月には対米貿易黒字が月間122億ドルに拡大し、前年同月比42%増。
・一方、米国との通商摩擦も注視が必要で、鉄鋼やアルミ製品への高関税(最大46%)が検討されるなど、新たな貿易リスクが顕在化。
・中国からの輸入も高水準にあり、依存構造の継続が見られます。
ベトナムの主な貿易品目
これまでベトナムの貿易の最新情報や動向を見てきましたが、全体の貿易品目にはどのようなものがあるのでしょうか。ベトナムの貿易品目は、コンピュータ電子製品・同部品、電話機・同部品などが挙げられます。輸出入別の詳細については、以下で見てみましょう。
輸出
ベトナムの主要輸出品目についてみると、電話機・同部品(15.6%)、コンピュータ電子製品・同部品(14.9%)、機械設備・同部品(12.3%)、縫製品(10.1%)、履物(6.4%)などが挙げられます。
輸入
一方、ベトナムの主要輸入品は、コンピュータ電子製品・同部品(22.8%)、機械設備・同部品(12.6%)、電話機・同部品(5.9%)、織布・生地(4.1%)、プラスチック原料(3.4%)などが挙げられます。

ベトナムの主な貿易相手国
これまでベトナムの主な貿易品目に関して見てきましたが、ベトナムの貿易相手国はどのような国があるのでしょうか。主な貿易相手国は、皆様のご想像の通り、アメリカや中国などが挙げられます。詳細については、以下で見てみましょう。
輸出
ベトナムの主な輸出相手国は、アメリカ(29.4%)、中国(15.6%)、韓国(6.5%)、日本(6.5%)、香港(2.9%)などが挙げられます。日本は第4位に位置し、ベトナムにとって重要な貿易パートナーであることが分かります。
輸入
ベトナムの主な輸入相手国は、中国(33%)、韓国(17.3%)、日本(6.5%)、台湾(6.3%)、アメリカ(4%)などが挙げられます。日本は全体の6.5%を占め、第3位の輸入相手国です。
日本とベトナムの貿易について
日本はベトナムにとって最も重要な貿易相手国の一つであり、両国の経済関係は年々強化されています。特に製造業や電子分野を中心にサプライチェーンが深く結びついており、双方向の貿易・投資が持続的に拡大しています。
ここでは、2025年上半期の最新データに基づき、日越貿易の現状を解説します。
貿易額の現状
・2024年の日本とベトナムの二国間貿易額は約462億米ドルで、前年比2.8%の増加となった
・内訳は、ベトナムから日本への輸出が約239億米ドル、日本からベトナムへの輸出が約217億米ドル
・2025年上半期も輸出入ともに増加傾向を維持しており、安定的な貿易関係が続いている
2025年上半期の品目別動向
【ベトナム → 日本(2025年1~6月)】
・輸出総額:約128億米ドル(前年同期比+12.2%)
・主な輸出品目:
– 繊維・衣料:約21億米ドル(+12.6%、構成比16%)
– 輸送機器・部品:約15億米ドル(+12.0%、構成比12%)
– 機械・装置・部品:約13億米ドル(+10.1%、構成比10%)
– 電話機・部品:通期で+23%の伸び
– その他:コーヒー、砂糖菓子、胡椒、肥料、キャッサバ製品などが大幅増
【日本 → ベトナム(2025年1~3月)】
・輸出総額:約57億米ドル(前年同期比+9.1%)
・主な輸出品目:
– コンピュータ・電子部品:約20億米ドル(構成比34%、前年同期比–3.6%)
– 機械・工具・部品:約12億米ドル(+30.8%)
– 鉄鋼・鉄スクラップ:約6億米ドル強
– プラスチック製品:約2億米ドル(+15.9%)
– 織物・原料:約1.6億米ドル(+6.6%)
貿易関係の全体像と特徴
・日越貿易は相互補完的で、ベトナムからは消費財や農産品、日本からは中間財や機械部品の供給が中心
・製造業を中心としたサプライチェーンの強化により、部材輸入と完成品輸出の循環構造が安定的に機能している
・日系企業のベトナム進出が続き、商流・物流・金融の面でも連携が深化
投資と戦略的協力
・2024年末時点で、日本はベトナムに対して5,500件超の投資プロジェクトを展開
・分野はインフラ、再生可能エネルギー、製造業、半導体関連、R&Dなど多岐にわたる
・2025年には、ハノイ・ホーチミン都市圏での日越共同プロジェクトやインフラ整備に関する協定が複数進行中
・自由貿易協定(EPA、CPTPP、RCEP)の活用も進んでおり、関税撤廃やルール整備を背景にした実務的協力が拡大
日本とベトナムの貿易額は2024年に約462億ドル、2025年上半期も好調に推移しています。ベトナムからの主要輸出品は繊維・機械・輸送機器、日本からは電子部品・機械・原材料が中心で、相互補完的な関係が継続しています。
投資や技術協力も拡大しており、今後は高付加価値品や脱炭素分野でのさらなる連携が期待されます。

ベトナム貿易のメリット
ベトナムへの輸出において、日本企業には多くのメリットが存在します。ここでは、ベトナムへ輸出する日本企業が享受できる主な利点について詳しく解説していきます。
①人口の増加
まず最初に言及すべきことは、近年ベトナムが急速に発展を遂げている新興国であると同時に人口も増加していることです。
このことから、市場規模はどんどん拡大し、多くの製品やサービスに対する需要が高まりつつあります。これに伴い、日本企業にとって新たなビジネスチャンスが広がっており、新規市場進出の好機が訪れていると言えます。
②少ない時差
第二に、ベトナムは日本とのタイムゾーンが驚くほど近いことから、ビジネスの進行がスムーズに遂行されることが見込まれます。この結果として、日本の企業はより効率的なコミュニケーションの実現が可能となり、さらなるビジネスの拡大と成長を実現することができると考えられます。
③安価な労働力
第三の要素として、ベトナムには豊富な労働力が存在し、賃金水準も比較的低いという特徴があります。
このため、生産コストの軽減が実現でき、日本企業は競争力を保ちながら、輸出による利益を最大限に引き出すことが可能となります。こうした要素は、ベトナム進出をより魅力的とする理由です。
④歴史的背景
また、ベトナムは日本との関係が歴史的に良好であり、多くの日本企業が進出していることから、ビジネス環境も整っています。このため、ベトナムへの輸出を検討している日本企業は、安心してビジネスを展開できるでしょう。
⑤外国企業へのインセンティブ
さらに、ベトナム政府は外国企業に対して投資を促進するためのインセンティブを用意しています。これにより、日本企業がベトナムへの輸出によるリスクを低減しつつ、ビジネスの拡大を目指すことが可能です。
⑥地理的優位性
最後に、ベトナムはASEAN諸国の中心に位置しており、近隣諸国との物流がしやすい地理的なメリットがあります。これにより、日本企業はベトナムを拠点として、アジア地域全体への輸出を効率的に行うことができるでしょう。
ベトナム貿易の注意点
ベトナムへの輸出ビジネスは、近年急速に成長している市場であることから、多くの企業が注目しています。しかし、ベトナムへ輸出する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、ベトナムへ輸出を検討している企業のために、その注意点を詳しく解説します。
①高い関税
まず、ベトナム政府の輸入規制と関税について理解することが重要です。ベトナムは関税が高い国の一つであり、特に繊維、自動車、電子機器などの分野では厳しい関税が課されています。これらの規制に適切に対応しないと、輸出ビジネスに悪影響を及ぼすことがあります。
②現地のパートナー
次に、現地でのビジネス環境に適応することが求められます。ベトナムの法律や商習慣は日本とは異なるため、現地のパートナー企業と連携することが重要です。
また、ベトナムでは、労働力や原材料のコストが比較的低いことから、効率的な生産を行うことができますが、品質管理や環境問題への取り組みが十分でない場合があります。そのため、品質管理や環境保護に関する指導やサポートが必要になる場合があります。
③変化する消費者市場
また、ベトナムの消費者市場は急速に成長しており、消費者ニーズに対応した商品開発やマーケティング戦略が求められます。
特に若年層の消費者は、ブランド志向でファッションやデザインに敏感であり、価格だけでなく、商品のクオリティやデザインにもこだわりを持っています。そのため、ベトナム市場向けの商品開発やマーケティング戦略を練ることが重要です。
④言語的な障壁
最後に、ベトナムでは英語が広く使われていますが、ベトナム語でのコミュニケーションも求められることが多いです。そのため、現地スタッフや通訳を雇用するか、自社でベトナム語を習得することが望ましいです。
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