目次
日本と台湾は、歴史と文化の違いにもかかわらず、長い間、緊密な経済的パートナーシップを築いてきました。二国は、お互いの強みを活かし、協力して経済的な繁栄を築いています。
今回の記事では、台湾と日本の貿易関係に焦点を当て、台湾の最新貿易事情や台湾の貿易品目、貿易相手国、日本と台湾の貿易関係、台湾貿易のメリット・デメリットについて探ってみましょう。
近年の台湾貿易・輸出の動向
日本の財務省が最近発表した2020年の貿易統計によれば、日本の主な輸入相手国の中で台湾は2019年の6位から、過去最高の4位へと順位を上げました。
台湾の経済部は、台湾が新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、企業の生産と対外輸出がいずれも安定していたことの表れであり、全世界がコロナ禍に見舞われ他国が輸出を大きく減らす中、台湾は日本にとって安定的かつ信頼に足るサプライヤーになったと指摘しました。
また、台湾の産業界及び輸出企業の努力によって生み出された製品が日本側のニーズにますますマッチするようになっているという分析も台湾の経済部は行いました。
台湾貿易・輸出の最新情報(2023年1~6月版)
輸出入額の減少
2023年上半期(1~6月)の台湾の貿易統計によれば、輸出は前年同期比で18.0%減少し、2,021億900万ドルとなりました。一方、輸入も20.0%減少し、1,756億5,100万ドルとなりました。この結果、上半期の貿易収支は264億5,800万ドルの黒字でした。
主要国・地域別では、輸出が中国向けを含めて軒並み減少し、最大の輸出先である中国向けは28.9%減少しました。また、輸入も国際原材料価格の下落と購買意欲の低下により、香港を除く主要国・地域で減少しました。
輸出の品目別では、電子部品が大きく減少し、その他のカテゴリーも30%前後の減少が見られました。輸入でも、電子部品と鉱産品が大きく減少しました。
今後の見通し
台湾財政部は、世界経済の低迷、インフレと利上げの影響、メーカーによる在庫調整と製品価格の下落などが輸出入の減少の要因であると述べました。
一方で、高性能コンピューティング(HPC)、データセンター、車載用電子機器などの新興デジタル分野の需要が増加し、これに伴う集積回路への需要も増えています。また、新製品の調達と年末商戦に向けた輸出拡大が期待されることから、下半期の台湾輸出は勢いを保つでしょう。
しかし、世界的なインフレ圧力、金利上昇、ロシア・ウクライナ戦争の緊張、米中の科学技術競争などのリスク要因にも警戒が必要です。
台湾の主な貿易品目
これまで台湾の貿易の最新情報や動向を見てきましたが、全体の貿易品目にはどのようなものがあるのでしょうか。台湾の貿易品目は、電子部品、情報通信機器、鉱産品などが挙げられます。輸出入別の詳細については、以下で見てみましょう。
輸出
台湾の主要輸出品目についてみると、電子部品(39.3%)、情報通信機器(14.2%)、卑金属及び同製品(7.4%)、一般機器(6.3%)、プラスチック・ゴム及び同製品(6.2%)などが挙げられます。輸入総額は、前年比4.9%増の3,452億7,599万ドル(2020年)です。
輸入
一方、台湾の主要輸入品は、電子部品(24.3%)、鉱産品(16.4%)、一般機器(11.6%)、化学工業品(9.2%)、情報通信機器(7.3%)などが挙げられます。輸入総額は、0.3%増の2,864億8,583万ドル(2020年)です。
台湾の主な貿易相手国
これまで台湾の主な貿易品目に関して見てきましたが、台湾の貿易相手国はどのような国があるのでしょうか。主な貿易相手国は、皆様のご想像の通り、アメリカや中国などが挙げられます。輸出入別の詳細については、以下で見てみましょう。
輸出
台湾の主な輸出相手国は、中国、ASEAN10、北米、香港、欧州、日本などが挙げられます。全体のシェアのうち、中国は約1/4、日本は約7%を占めています。
輸入
台湾の主な輸入相手国は、中国、日本、ASEAN10、欧州、北米などが挙げられます。全体のシェアのうち、中国が19.6%、日本が12.8%となっています。
日本と台湾の貿易について
過去10年における日本の輸入相手国のうち台湾の順位を振り返ると、2011年が12位、2018年が7位、2019年が6位、そして2020年は4位へと躍進していることが分かります。
しかしながら、台湾財政部は、新型コロナウイルス感染拡大リスクや、ロシアによるウクライナ侵攻、米中の技術対立などの不確実性が世界経済の見通しに関する懸念を強めていると指摘しています。
日本と台湾の貿易額
日台貿易の貿易額は、どのような現状なのでしょうか。以下は、2022年のデータです。
・日本 → 台湾 546.3億ドル(約7.98兆円、1ドル=146円)
・台湾 → 日本 336.0億ドル(約4.9兆円、1ドル=146円)
主な貿易品目(台湾→日本)
それでは、日本は台湾とどのような貿易を行っているのでしょうか。
日本の対台湾輸入品として挙げられるのは、電子部品、情報通信機器、卑金属および同製品、プラスチック・ゴムおよび同製品、化学工業品などです。
主な貿易品目(日本→台湾)
日本の対台湾輸出品として挙げられるのは、電子部品、一般機器、化学工業品、卑金属および同製品、精密・光学機器などです。
輸出品目は比較的似ていますが、どちらも機械類が大きな割合を占めていることが分かります。
台湾貿易のメリット
台湾は近年、多くの日本企業が輸出を行う上で重要な市場となっております。その理由として、以下に挙げるようなメリットが考えられます。
①地理的な近さ
台湾は日本からわずか約2,000キロメートルしか離れておらず、航空および海路による輸送が非常に利便性が高く、迅速な輸出が可能となっています。また、物流コストの低減も見込まれます。
②文化的な親和性
歴史的な経緯から、台湾と日本は似た文化や価値観を共有しております。これにより、日本から輸出される製品やサービスが台湾人の消費者にとって馴染みやすく、受け入れられやすいと言えます。
③高い消費者ニーズ
台湾では、日本製品への信頼感や憧れが非常に高く、特に化粧品や食品、医療機器などの分野においては、日本製品へのニーズが高まっています。これにより、日本企業は台湾市場において競争力を保ちやすくなっています。
④台湾経済の発展
台湾は近年、電子産業やIT産業の発展が著しく、国内経済の発展を遂げています。それに伴い、国民の所得が増加し、消費力も向上しており、日本企業が輸出する製品やサービスへの需要も高まっています。
⑤台湾市場の規模
台湾の人口は約2,370万人となっており、これにより十分な市場規模が確保されています。また、台湾経済の成長が続くことで、今後も市場規模の継続的な拡大が見込まれます。
⑥投資環境の整備
台湾政府は、外国企業の進出を歓迎し、投資環境を整備しています。これにより、日本企業は台湾への進出や輸出をスムーズに行うことが可能となり、ビジネスチャンスを広げることができます。
台湾貿易の注意点
台湾との貿易は、近年ますます重要な役割を果たしており、多くの企業が台湾市場への参入を検討しています。ただし、台湾との貿易にはいくつかの注意点があり、成功するためにはこれらの要素に十分に対処する必要があります。
このセクションでは、台湾との貿易に関する注意点をいくつか紹介し、ビジネスの成功に役立てるための情報を提供します。
①法規制の把握
まず第一に、台湾との貿易を行う際には、関税や法規制に関する正確な情報を入手することが重要です。台湾は通常、輸入品に対して関税が課されるため、輸出入に関する費用や手続きを正確に把握することが必要です。また、台湾の法規制は独自のものが多く、事前にリサーチを行い、遵守すべき法律や規制を把握しておくことが重要です。
②需要と供給のバランス
次に、台湾市場における需要と供給のバランスを理解することが重要です。台湾は、多様な産業が発展しており、その需要に応じて製品やサービスを提供することが求められます。したがって、台湾市場に参入する際には、競合他社との差別化を図るとともに、市場のニーズに応える適切な商品やサービスを展開することが重要です。
③現地のパートナー探し
また、台湾との貿易を行う際には、地元のビジネスパートナーと協力することが有益です。台湾の文化や言語、商慣行は独自のものが多く、これらを理解し、適切な対応ができる現地のパートナーが重要な役割を果たします。このようなパートナーを見つけることで、円滑なビジネス展開が可能となり、市場開拓の成功につながります。
④知的財産権の保護
さらに、台湾における知的財産権の保護も重要な要素です。海外で事業を展開する際には、知的財産権の侵害に対処するための適切な手続きや対策が求められます。台湾での知的財産権の登録や管理を適切に行い、早期に問題に対処することが望ましいです。
⑤政治的リスク
最後に、台湾の政治的な状況にも注意を払うことが重要です。台湾の国際情勢は複雑であり、この影響を受ける可能性があります。そのため、台湾との貿易を行う際には、政治的なリスクも考慮し、状況変化に適切に対応できる柔軟性を持つことが重要です。
台湾と貿易を始めるなら『まるなげ貿易』
STANDAGEは独自の貿易クラウドサービスを使い、中小企業の貿易を”まるなげ”できるサービスである『まるなげ貿易』を提供しています。
『まるなげ貿易』はIT導入補助金の適用により、低コストでの海外販路開拓が可能です。大手商社ではなしえない小規模小額の貿易や、国内買取対応も可能なので、是非一度お気軽にお問い合わせください。