東南アジア(ASEAN)貿易・輸出の基礎知識(2024年更新)

 

目次

    東南アジア(ASEAN)の基本的な情報

    東南アジア諸国連合 (ASEAN) は、東南アジア地域の10か国による政治的・経済的な協力組織です。ASEANの経済は、加盟国の人口規模や経済規模の大きさにより差がありますが、中でもシンガポール、マレーシア、タイなどの国々は、アジア地域で大きな経済力を持っており、今もなお急速な経済発展を遂げています。

    そんな貿易に於ける一大重要拠点であるASEANについて、合計人口・言語・GDP・主要輸入品目・通貨についてまとめました。

     

    • 加盟国:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム
    • 合計人口:ASEANの合計人口は約6億3,800万人(2021年時点)です。
    • 言語:ASEANには、加盟国毎に様々な言語が存在します。公用語としては、英語、マレー語、タイ語が使われています。また、ベトナム語、インドネシア語、フィリピノ語、カンボジア語、ラオス語、ミャンマー語などが話されています。
    • GDP:ASEANのGDPは約3兆2,500億ドル(2020年時点)です。GDPの構成比は、サービス業が約50%、工業が約33%、農業が約17%となっています。
    • 主要輸入品目:ASEANの主要輸入品目は、機械・機械部品、電気機器、石油・天然ガス、化学薬品、自動車・自動車部品などです。
    • 通貨:ASEAN加盟国は、各国毎に独自の通貨を使用しています。主要な通貨としては、シンガポールドル、マレーシアリンギット、タイバーツ、フィリピンペソ、インドネシアルピアなどがあります。

     

    ASEANの主要な産業分野は、製造業や農業、観光業などです。また、ASEAN地域は、天然ガス、石油、石炭、鉱物資源など、豊富な自然資源を有しています。

     

    東南アジア(ASEAN)の商品別の輸出入構成比

    東南アジア(ASEAN)の商品別の輸出入構成比について、以下にまとめます。データは2020年におけるものです。

     

    【輸出品目】

    • 電気機械器具:輸出全体の26.8%
    • 機械器具:輸出全体の12.7%
    • 繊維製品:輸出全体の10.2%
    • 鉱物製品:輸出全体の7.7%
    • 塑料製品:輸出全体の6.8%

     

    【輸入品目】

    • 電気機械器具:輸入全体の28.4%
    • 機械器具:輸入全体の16.3%
    • 石油製品:輸入全体の8.5%
    • 化学製品:輸入全体の7.6%
    • 鉱物製品:輸入全体の6.7%

    東南アジアへの輸出のメリット

    東南アジアへの輸出により、日本企業は成長市場へのアクセスを拡大し、競争力の向上や利益率の向上が期待できます。ここでは、東南アジア市場での輸出ビジネスがもたらすメリットについて詳しく解説していきます。

    ①経済成長と市場拡大

    東南アジア諸国(ASEAN)は、急速な経済成長を遂げており、その将来性は非常に大きいとされています。特に、近年はインフラ整備や中産階級の拡大により、需要が高まっていることが輸出のメリットとなっています。日本企業が東南アジア市場に輸出を行うことで、新たな顧客層や市場拡大のチャンスをつかむことができるでしょう。

    ②コスト削減と生産性向上

    東南アジア諸国は、労働力や資材のコストが比較的低いことで知られており、生産コストの削減に繋がります。また、現地での生産や調達が可能な場合、物流コストも抑えられるでしょう。これにより、日本企業はコスト削減と生産性向上を目指すことができます。

    ③ビジネスリスクの分散

    輸出先を東南アジア市場に拡大することで、ビジネスリスクを分散させることができます。例えば、日本国内や他の市場で需要が減少した場合でも、東南アジア市場での需要が安定していれば、その影響を緩和することが可能です。これは、企業が長期的な安定経営を目指す上で大変重要な要素となります。

    ④現地との人脈構築

    東南アジア市場での輸出を通じて、現地のパートナーや取引先との繋がりを深めることができます。これにより、情報収集や新たなビジネスチャンスの発掘が容易になるとともに、現地での信用や評価を高めることが可能です。また、現地企業との連携や共同事業の展開も期待できます。

    ⑤企業のブランディング向上

    東南アジア市場では、日本製品が高品質やデザインの良さを評価されています。これを活かし、積極的なマーケティング戦略を展開することで、企業のブランディング向上を図ることができます。また、現地市場での成功を日本国内でもアピールすることで、国内のブランド力を向上させることも期待できます。

    東南アジアへの輸出のデメリット

    ①言語や文化の違い

    東南アジアへの輸出を行う際、日本企業は言語や文化の違いに対処しなければならない。各国の言語、習慣、宗教などが異なるため、ビジネスの進め方や商品開発において適切な対応が求められる。これによって、コミュニケーションの効率が低下し、ビジネス展開において不利益が生じる可能性がある。

    ②物流コストの増加

    東南アジアへの輸出には、物流コストが大きくかかる。遠距離輸送による燃料費や保管費、関税などが掛かるため、国内取引に比べてコストが高くなる。特に、複数の国にまたがってビジネスを展開する場合、物流ルートの管理や柔軟な対応が求められる。

    ③現地法規制の影響

    東南アジア各国の法規制や基準に適合しなければ、輸出が困難になる。特に、環境や労働基準などの法規制が厳格になる傾向があり、適切な対応を求められる。適合しない場合、現地での取引停止や罰金などのリスクが発生する。

    ④競争の激化

    東南アジア市場では、地元企業や他国の企業との競争が激しい。顧客ニーズの把握や、競合他社との差別化が求められる。特に、中国や欧米企業との競争は厳しく、価格競争や商品開発の速度などで優位性を築くことが難しい場合がある。

    ⑤政治・経済情勢の不安定性

    東南アジア地域においては、政治・経済情勢が不安定な国が存在する。これにより、ビジネス展開が困難になったり、投資リスクが高まる可能性がある。事前にリスク評価や情勢分析が求められることが多い。

    東南アジア(ASEAN)との貿易に於いて押さえておくべきポイント

    それでは、東南アジアと実際に貿易をする際に押さえておくべきポイントについて見ていきます。

     

    • 税関手続きの違い:ASEAN加盟国は、国によって異なる税関手続きを持っています。例えば、輸入における関税率や規制、許可申請手続き等が異なる場合があります。そのため、貿易取引を行う前に、各国の法令や手続きを把握する必要があります。

     

    • 為替リスクの抑制:ASEAN地域内での貿易取引においては、異なる通貨での取引が多く発生します。そのため、為替リスクが発生する可能性があります。このリスクを抑制するために、為替リスクに対する戦略を検討することが必要です。

     

    • FTAの活用:ASEANは、各国との自由貿易協定(FTA)を締結しており、輸出入の自由化や関税撤廃などが行われています。自社の製品やサービスに関するFTA貿易取引に活用することができます。

     

    ASEANは、現在も成長が続いており、今後もその成長率を維持することが期待されます。世界的に不確実性が叫ばれる中、ASEANにおける人口増加や、経済成長による中間層人口の増加などが、引き続き同地域の成長を促進する要因となるとされています。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。