目次
はじめに
コンゴ民主共和国(DRC)は、アフリカ中部に位置する内陸の国であり、コバルト、タンタルを始め、銅、ダイヤモンド及びスズ等の鉱物資源に恵まれています。加えて、世界で2番目に大きい熱帯林など、豊かな自然資源を持ち、広大な森林と豊かな水資源から、農業、エネルギー産業の潜在力も高いです。そんなコンゴ民主共和国(DRC)について本記事ではコンゴ民主共和国の基礎知識、そしてコンゴ貿易・輸出の基礎知識について解説していきます。
コンゴ民主共和国についての基礎知識
面積:234.5万平方キロメートル
人口:9,589万人(2021年、世銀)
首都:キンシャサ
民族:部族の数は200以上、大部分がバントゥー系
言語:フランス語(公用語)、スワヒリ語、リンガラ語、チルバ語、キコンゴ語等
通貨:コンゴ・フラン(FC)
宗教:キリスト教(80%)、イスラム教(10%)、その他伝統宗教(10%)
政体:共和政
経済概況:
上記でも記載のように、コンゴ共和国はコバルト(生産量世界第1位)、タンタル(同1位)を始め、銅、ダイヤモンド及びスズ等の鉱物資源に恵まれており、同国のGDPの約4分の1、輸出品の約9割を石油・鉱物資源が占めています。また、鉱山セクターの生産の増加が実質GDPの成長を牽引しています。そして広大な森林と豊かな水資源から、農業、エネルギー産業の潜在力も高いです。しかし、鉄道・道路の未整備、半内陸国のため国際市場へのアクセスが難しいという問題を抱えています。2002年には暫定版貧困削減戦略文書を策定し、2010年、HIPCイニシアティブの完了時点に到達しました。チセケディ政権は、2021年IMFとの間で拡大クレジット・ファシリティに合意し、IMFの協力の下、マクロ経済の安定に向けた各種改革プログラムを進め、構造改革を推進するとともに、民間投資を含む経済全体の促進のために、ビジネス環境改善のための政策に取り組んでいます。
GDP:553.5億ドル(2021年、世銀)
一人当たり国民所得:577ドル(2021年、世銀)
経済成長率:6.2%(2021年、世銀)
次にコンゴ民主共和国の貿易・輸出について解説をしていきます。
コンゴ民主共和国に輸出するメリット
コンゴ民主共和国への日本企業の進出は、多くのメリットをもたらします。ここでは、それらのメリットについて詳しく解説します。
①経済成長の機会
コンゴ民主共和国は急速な経済成長を遂げており、新興市場としての魅力が高まっています。日本企業にとっては、この市場の拡大に伴うビジネスチャンスが広がることで、売上や利益の増加が期待できます。
②資源の豊富さ
コンゴ民主共和国は、鉱物資源や農業資源が非常に豊富であり、それらを利用した事業展開が可能です。特に、鉱業や農業分野での技術や経験を持つ日本企業にとっては、大きなビジネスチャンスとなります。
③インフラ整備のニーズの高さ
コンゴ民主共和国では、電力インフラや交通インフラの整備が急ピッチで進められており、日本企業の技術やノウハウが求められています。インフラ整備に関連する事業を行っている企業にとっては、多くの受注機会があると言えます。
④地政学的な利点
コンゴ民主共和国は、アフリカ中央部に位置し、9つの国と接しています。これにより、隣接国への輸出や物流が容易に行えるため、ビジネスの拡大が見込めます。また、同国は豊富な鉱物資源を保有しており、レアアースなどの希少な資源を確保できる可能性もあります。
⑤人口動態
コンゴ民主共和国は約9000万人の人口を抱えており、アフリカで4番目の規模を誇ります。さらに、若年層が多く、労働年齢人口の割合が高いことから、労働力や市場の拡大が期待できます。また、人口増加に伴い、インフラ整備や消費ニーズの向上が見込まれるため、ビジネスチャンスが広がります。
⑥政策面でのサポート
コンゴ民主共和国政府は、外国企業の進出を歓迎し、外資系企業にさまざまな優遇措置や税制上の支援を行っています。日本企業が進出する際にも、これらの支援策を活用することで、ビジネスの立ち上げや運営が円滑に行えるでしょう。
コンゴ民主共和国に輸出するデメリット
コンゴ民主共和国はアフリカの中でも資源が豊富で、数多くのビジネスチャンスが存在しています。しかし、日本企業が同国に進出する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、コンゴ民主共和国に進出する際に気を付けることをご紹介します。
①政治的・経済的なリスク
特に政治情勢は不安定であり、経済もインフレーションが懸念されています。このため、事前に十分な情報収集とリスク分析を行い、現地のビジネスパートナーや専門家と連携してリスクを回避することが求められます。
②法律や規制
コンゴ民主共和国では、外国企業に対してもさまざまな規制が適用されます。これには、たとえば以下のようなものが含まれます。
– 税務上のルール
– 労働法規
– 知的財産権の保護
これらの法律・規制を遵守することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
③現地の文化や風習
コンゴ民主共和国は多様な民族が暮らす国であり、それぞれの地域やコミュニティで異なる慣習が存在します。日本企業が現地でビジネスを成功させるためには、これらの文化や風習に敬意を払い、柔軟に対応することが重要です。
④インフラ・物流
コンゴ民主共和国では、道路や港湾などの基盤が十分に整備されていない地域が多く、物流が円滑に行われない場合があります。こうした課題を克服するために、現地のインフラや物流事業者と連携し、効率的なサプライチェーンを構築することが不可欠です。
コンゴ民主共和国貿易・輸出についての基礎知識
早速ですが、初めに1970年以降におけるコンゴ民主共和国のGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアをデータに基づいて見ていくと、コンゴ民主共和国は経常的に貿易赤字構造となっています。ただし、赤字幅はあまり大きくなく、直近ではGDP比で-3%に留まっていることが分かります。(図表1)
図表1) 出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
次に、コンゴ民主共和国の輸出・輸入構成、貿易相手国について見ていきます。
1)輸出構成
2015年から2020年までの輸出品構成を見ていくと、主な輸出品は3.化学製品、7.金属製品で、全体の9割以上を占めていることが読み取れます。(図表2)
図表2)出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計しています。
上記の10分類をさらに100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げると、最大の輸出品は74.銅・同製品であり、全体の6割を占めていることが分かります。また、28.無機化学品(主にコバルト酸化物)も高いシェアを占めています。(図表3)
図表3)出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表します。
2)輸入構成
次に同じく2015年から2020年までの輸入構成を見ていきます。図表4から読み取れるように、輸入の構成において、直近では5.繊維、8.機械などが多くを占めています。(図表4)
図表4)出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計しています。
上記の10分類をさらに100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げた図表5を元に、輸入品の具体的な商品を見ると、49.書籍(具体的にはここに分類される郵便切手・小切手)が最大の輸入品であり、次は84.一般機械が大きな割合を占めていることが読み取れます。(図表5)
図表5)出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表します。
3)貿易相手国
最後に、2020年の貿易相手シェアを表した図表6を元に貿易相手国を確認していきます。
図表6から読み取れるように、コンゴ民主共和国の最大の輸出相手国は中国で輸出全体の41%に相当します。その次はタンザニア、ザンビアと続きます。また上位10カ国の輸出は全体の96%を占めていることも読み取れます。輸入相手国について見ていくと、最大の輸入相手国も中国で輸入全体の25%に相当していることが分かります。その後は米国、南アフリカと続きます。なお上位10カ国の輸出は全体の76%占めています。(図表6)
図表6)出所:UN comtrade.
まとめ
上記で見てきたように、コンゴ民主共和国の貿易の特徴として下記のものが挙げられます。
・経常的に貿易赤字構造となっており、近年ではGDP比で3%の貿易赤字
・主な輸出品は銅・銅製品であり、主な輸入品は書籍、一般機械
・主要貿易相手国・地域として
1)輸出 中国、タンザニア、ザンビア、南アフリカ、シンガポール、アラブ首長国連邦
2)輸入 中国、米国、南アフリカ、インド、アラブ首長国連邦、タンザニア
以上本記事ではコンゴ民主共和国についての基礎知識、そして貿易と輸出についての解説をしてきました。
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