リビア貿易・輸出の基礎知識(2025年更新)

2025年現在、リビアは政治的対立が続く中でも、豊富な石油資源を背景に経済再建を模索しています。北アフリカに位置する共和制国家であり、アフリカ・地中海・アラブ世界の交差点として地政学的にも重要な国です。

主要宗教はイスラム教で、首都トリポリを中心に経済と行政の中枢が集まっています。

本節では、リビアの人口・経済・言語・貿易構造など、2025年時点の最新データをもとにその基本情報を解説していきます。

項目内容
人口約680万人(2021年推計)
首都トリポリ
言語アラビア語(公用語)、ベルベル語
英語、イタリア語、フランス語などが使用される
GDP約49.3億ドル(2020年推計)
主要輸出品目石油・天然ガス、石油製品
主要輸入品目食料品、機械・電子機器、自動車、建設機械・器具
通貨リビア・ディナール(LYD)

リビアは人口約736万人、トリポリを首都とする国家で、石油・天然ガスが輸出の中心です。経済は原油収入に強く依存しており、非油分野は未発達。一人当たりGDPは約6,500ドルで、この地域では比較的高水準です。

2024年に石油生産が政情安定とともに回復、2025年には経済も大幅プラス成長が見込まれていますが、政治的分断と武装勢力による衝突が投資環境を不安定化させています。輸入は主に機械・食品・医薬品など、多様な品目を他国から依存しています。

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リビアの商品別の輸出入構成比

以下は、2020年のリビアの商品別輸出入構成比に関する情報です。

【輸出品目】

品目割合
石油製品98.8%
非石油製品1.2%(非石油化学製品、鉄鋼、セメント、食品、繊維、鉱業製品など)

【輸入品目】

品目割合
食品、飲料、タバコ15.9%
機械、輸送機器13.1%
医薬品11.5%
化学製品10.7%
繊維製品9.7%
鉄鋼7.1%
その他32.0%

リビアの将来について(2025年1月時点最新)

近年、国際社会はリビア再建に向けて大規模な支援と投資を強化しています。

  • 国連(UNSMIL)
    2025年2月に諮問委員会が設立され、統一された政治プロセスへの道筋や選挙実施のための合意形成を目指しています。5月の首都トリポリでの衝突後には、緊急停戦委員会も発足し、治安の安定と市民保護に向けた協調的努力が進んでいます
  • 欧州連合(EU)
    EUは「Global Gateway」を通じてインフラ再構築、エネルギー健全化、難民支援分野の資金提供を継続しています
  • 国際金融機関(IMF/世銀)
    2025年6月のIMF・第IV次協議報告では、石油依存からの脱却に向け「非石油部門の年5〜6%成長」「財政と貿易の赤字改善」「輸出拡大と政府支出の引き締め」を勧告しています。世銀は「リビア開発信託基金」を通じ、民間企業支援、機関改革、農業・インフラ改善プロジェクトに資金を供給中です
  • エネルギー分野の民間投資
    大手石油企業(BP、Shell、Eniなど)が再びリビアで油田開発に乗り出し、石油生産量の回復が図られつつあります。政府は目標を130万→200万バレル/日に設定しています

ただし、治安分断、政治的二重権力構造、汚職の横行(透明性指数180か国中173位)などの課題は依然深刻です。今後は、政治・安全保障の統合、通貨・財政の統合、汚職対策が経済回復の鍵となります。

リビアは原油・天然ガスを中心とした輸出構造が圧倒的で、輸出の約98%を占め、非石油分野はほとんど未発達です。政治的対立や武装勢力による混乱が続く中でも、石油資源を背景に経済回復の可能性がある一方、不安定な投資環境が大きな課題となっています。

リビアとの貿易において押さえておくべきポイント

貿易上の注意すべき点について見ていきましょう。

日本からリビアへの輸出については、国際連合の制裁措置やリビア政府による輸入規制により制限されています。具体的には、武器や軍用装備品、二重用途物品などが制限対象となります。

また、リビア国内の政情不安定に伴い、輸入制限が変更される可能性がありますので、輸出を検討する場合には、日本の関連機関やリビアの関係機関に問い合わせることをお勧めします。

まとめ

リビアは豊富な石油資源を背景に経済再建の可能性を秘めつつも、政治的分断や治安不安、汚職など構造的課題を抱えています。輸出入構造は極端に石油依存であり、非資源分野の育成が今後の安定成長に不可欠です。国際社会からの支援や民間投資の動きもあるものの、依然として投資環境は不透明で、輸出入を行う際には規制や制裁、制度変更への柔軟な対応が求められます。
貿易・投資を検討する場合は、最新の法制度や政治状況を常に確認し、信頼できる現地パートナーや専門家の助言を得ることが重要です。

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