農産物を輸出するまでの流れ、メリットとリスク

 

目次

    海外での人口増加、そして若い平均年齢を踏まえ、近年新しい市場を求め、農産物の輸出が注目を集めています。この記事では農産物を輸出するまでの流れ、そしてそのメリットとリスクについて解説していきます。

     

    農産物を輸出するまでの流れ

    農産物を輸出するまでの大まかな流れは下記に示したとおりになります。

    1.事業パートナーと商談し、契約を締結(商談前に、市場調査を徹底し、輸出先の国の検疫条件や関税などの確認を行う必要があります。)
    2.輸出港を決定
    3.輸出向け商品を手配し、輸出書類を作成
    4.港へ搬入
    5.国内輸出検疫・通関
    6.仕向地での検疫・通関
    7.配送

     

    この一連の流れの中で国内の流通の流れと大きく異なる点は「検疫」と「通関」があることです。

     

    検疫と通関

     

    「検疫」とは、国外からの病原菌、害虫の侵入を防ぐために徹底して行われる検査のことです。

    はじめに輸出前に、国内で検疫が行われ、ここで合格した輸出物には合格証明書が発行されます。

    そして輸出先でもその国の検疫が行われます。ここで不合格となった場合には、積荷はその場で廃棄もしくは送り返されます。

     

    「通関」は税関に通すことを指しています。税関を通るためには申請書や手数料、手続きが必須となります。相手国に輸出品が到着した際にも税関を通しますが、この時「関税」が発生します。関税を設けている国にとっての関税の目的は「国内産業を守るため」です。国内商品と、それよりも安い外国産の商品との価格差を小さくするために、輸入品に関税をかけるようにしています。

     

    また、輸出のルートには商社や貿易会社を通じて行う「間接輸出」と、契約から検疫、通関などの手続きも自分で行う「直接輸出」があります。しかし、直接輸出を行う場合には、輸出入に関する専門的な知識・言葉の理解が必須となるため、直接輸出に挑戦したい方には、貿易に関するセミナーへの参加や輸出実務に特化した担当者の手配、もしくは貿易の専門家からのアドバイスを受けるなどをおすすめします。また、JETRO(日本貿易振興機構)でも輸出に関する相談を受け付けているため、輸出について疑問点がある場合には、「海外コーディネーターによる輸出支援相談サービス」をチェックするのも良いでしょう。そして弊社でも独自の貿易クラウドサービスを使い、中小企業の貿易を”まるなげ”できるサービス『デジトラッド』を提供しているため貿易に関しての疑問や不安、知識不足のお悩みなどをお持ちの方は是非一度お気軽にお問い合わせください。

    次に農産物を輸出するメリット、そしてリスクについて解説していきます。

     

    農産物輸出のメリット

    事業者にとって輸出することで収益が上がらなければ、輸出の継続が難しくなります。

    では、実際に収益面ではどのような状況にあるのか、また収益以外のメリットとしてはどのような点があるのかについて解説をしていきます。

     

    「収益面での現状」

    はじめに、収益面について見ていくと、たとえば中国で青森のりんごが1個80円で売られている場合、農家の人はすごく手取りが増えているだろうという印象を持たれがちになります。しかし実はそうではなく、その中間に船賃や先程述べた関税、あるいはマージンなど、いろいろ入って80円になっており、実際に農家に入るのは大体その半分もしくは半分以下であるのが現実です。

    よって、国内販売よりもわずかばかり農家の手取りが多い程度です。しかし、収益以外の点では主に以下の3つのメリットが挙げられます。

     

    「農産物を輸出するメリット」

     

    1.生産意欲の向上:自分らが生産した農産物が外国で販売され、「美味しい」と評価された場合や農産物が海外で賞を貰った場合など、従業員そして生産者は誇りを持ち始め、社員の意欲の向上、生産意欲の向上につながる効果が得られます。

     

    2.宣伝効果:農産物が海外で売られていることをいろいろなメディアで取り上げてもらえることで、かなりの宣伝効果が生まれ、販促、集客そして利益の拡大が期待できます。

     

    3.海外での生産の可能性・新しいマーケット創出の可能性:輸出に関しては、価格競争よりもブランド競争になっているため、海外でのブランド形成に成功すれば、現地(海外)での生産開始が期待でき、また新しいマーケット創出・ニーズの創出も期待できます。今実際に、日本人が海外で農産物を生産する、いわゆるMadebyJapaneseも現実味を帯びてきておりすでに何人かの日本人が海外でコメの生産を始め、ブランド化にも成功しているケースもあります。また、現在日本では人口減少と高齢化が進んでいるため「胃袋の数」が減り、 1人当たりの食べる量も減っており、ダブルパンチが起こりつつある状況にあります。しかし海外では人口の増加により、「胃袋の数」が増え、また平均年齢も若いため、海外に進出し 新しい市場を開拓していくことで、商機が増えると考えられます。

     

    次に、農産物を輸出するときのリスクについて見ていきます。

     

    農産物輸出のリスク

    以下の点が農産物輸出のリスクとして考えられます。

     

    1.知名度の低さによる価格設定の難しさ

    日本の農産物の中には海外における知名度が低いものもあり、そういった農産物においては価格設定が難しくなるリスクがあります。また、海外で商売をしてきたメーカーの先行者が既にいる場合も価格設定がより困難になります。長いスパンで昔から輸出に取り組んできたメーカーの先行者は既に現地に工場があるため、そこで生産されたものは日本のスーパーではあまり見ないような安い値段で売られていたりします。しかし、経済国際化推進協議会を通じた海外バイヤーの紹介や商社からの協力を上手に駆使し、農産物の品質や食味をアピールしてブランド形成に成功すれば知名度を上げられるため、価格設定におけるリスクを回避できます。また、現地での販売のタイミングに合わせて、鮮度を保持したまま長期保存する技術の工夫や、農産物が傷まないための搬送資材の改善などにも取り組むことでより一層農産物の品質や食味がアピールでき、知名度の向上が期待できます。

     

    2.言語の壁

    輸出するためには当然ながら言葉の壁があり、海外の地元の問屋との直接交渉や、 現地で良いパートナーを得るためには、言葉の壁を乗り越えていく必要があります。特に「直接輸出」を行う場合には、言語の壁による苦戦がより大きくなる可能性があります。

     

    3.代金の回収リスクや、売れ残りリスク

    輸出において代金の回収リスクや、売れ残りリスクは避けられないものです。しかし、そういったリスクにも解決策があります。例えば、代金の回収リスクにおいては、弊社の独自の決済システムであるDiGiTRAを使えば代金回収リスクは無くなります。また、売れ残りリスクにおいては現地での販売状況を元に在庫管理や輸出量の管理を的確に行えば、売れ残りリスクの管理もできると考えられます。

     

    4.間接輸出におけるリスク

    商社や貿易会社を通じて輸出をする場合、各商社や貿易会社は複数のメーカーの商品を扱っているため、利幅や利益率などの理由で注力度合いが変わってしまうリスクがあります。そのようなリスクを回避するには、中小企業の貿易をサポートしている商社や貿易会社を選考したり、単純に値下げで対応するのではなく、 同行商談や試食会の実施などの販売戦略を考え出す必要性があります。

     

    まとめ

    農産物の輸出には上記に記載したリスクが伴いますが、現在の日本の人口減少や高齢化による市場の状況を考慮すると海外への輸出には大きな商機、そして成功の芽が無限にあります。農産物の輸出を検討する上では、リスク管理、ブランド戦略そして的確な販売戦略を考えると良いでしょう。また、国・地域別にどのようなものが輸出品として伸びているのかについての調査も不可欠であると言えるでしょう。

     

    農産物輸出を始めるなら『デジトラッド』

    今回は「農産物を輸出するまでの流れ、メリットとリスク」をお届けしました。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。