輸出の始め方・基礎知識。輸出通関の流れとは?

 

目次

    今日、世界ではグローバル化が進み、外国製の製品を日本で購入したり、日本製の製品が外国で使用されているということはごく当たり前のこととなりました。「自社製品を海外に輸出したい」と考える日本企業も年々増加しています。皆様は、インボイス(仕入書)やパッキングリスト(包装明細書)など輸出単語は既にご存じですか。今回は貴社が輸出者となった時に、知り得るべき輸出通関に関する基礎知識をご紹介致します。

    海外進出の希望があっても、実際に行うには税関による輸出通関が必要なことから、複雑で難しい印象を持つ方も多いかもしれません。海外へモノを送ったり、海外からモノを受け取ったりする際には、税関に対して輸出あるいは輸入の申告を行うことで、輸出許可もしくは輸入許可を得る必要があります。通関手続きとは、「貨物の輸出入をしようとする者が法定の手続きを経て税関長の許可を受けること。また、その貨物が税関を通過することと定義づけられています。例外はありますが、一般的に税関を通さずに海外からモノを受け取ったり、海外へ送ったりする場合は、密輸になってしまいます。

    輸出通関手続の概要

    改めて、東京税関による「輸出通関手続の概要」の項目では、以下の通りに示されています。

    貨物を輸出しようとするときは、税関へ輸出申告を行い、貨物につき必要な検査を経てその許可を受けなければなりません。

    輸出の申告は、輸出しようとする貨物を保税地域に搬入する前であっても行うことはできますが、輸出の許可は、原則として輸出しようとする貨物を保税地域に搬入した後に行われます。

    保税地域とは、輸出しようとする貨物または外国から到着した貨物を置く場所として、財務大臣により指定、または税関長により許可された場所です。

    輸出の申告は、貨物の輸出者が、輸出の許可を受けるためにその申告に係る貨物を入れる保税地域の所在地を管轄する税関に対して行いますが、貨物の輸出者から委任を受けて、通関業者が代理申告することもできます。

    関税法以外の法令で許可、承認等の輸出規制が行われている貨物を輸出する際には、税関への申告にあたり、当該許可・承認書等を提出する必要があります。

    なお、我が国は輸出しようとする貨物に対して税を課しておりませんが、輸入国で課す税率及び規制内容については、取引先(外国の輸入者)又は在日の大使館等にお問い合わせください。

     (関税法第67条、第67条の2、第70条)

    各国の安全、また輸出入品に危険なものが含まれていないかを明確にするための重要な検査となっています。

    海外輸出を行うメリット

    まずは、海外への輸出を始めるにあたって、その効果やメリットを理解しましょう。海外という新しい地にビジネスを拡大する上で、その目的やゴールを明確化することが非常に大切です。

    ①現地法人の設立が不要

    自社商品を海外へ輸出する場合、その規模の大きさによっては、現地法人設立という手間を省くことができます。また、現地で信頼できるパートナーが見つかれば販路確保も難しくありません。このように、大規模な海外ビジネスの展開と比較すれば、コストを削減しながらも大きなリターンを狙うことが可能になります。

    ②自社商品・サービスの販路拡大

    海外へと自社商品を輸出することで、国内市場とは異なる新たな市場を得ることができます。つまり、たとえ国内市場で劣勢となりシェア率が低かったとしても、海外市場では全く異なるチャンスを得ることができます。国内とは異なる事情を理解し、現地でのビジネスチャンスをうまく獲得すれば、国内市場とは違う独自のシェア率が高い環境すらも創り上げることが可能です

    また、こうした海外での活躍が、シェア率上昇といった国内市場へのポジティブな還元に繋がることもあります。

    ③ECによるビジネスチャンス

    近年、Eコマースを活用した商品の海外輸出が増加してきています。これにより、海外向けのオンラインショップを作り、マーケティングや販路拡大におけるコスト削減をしながら売上向上を目指すことが可能になります。このオンラインショップ開設では、その難易度は年々簡単になってきており、IT人材がいなくてもチャレンジすることも可能になってきています。

    輸出通関を依頼する際に必要な輸出書類

    今回のテーマは輸出通関の基礎知識ですが、まずは通関依頼のための書類についてお話します。通関においては、自ら行う「自社通関」と「業者に依頼する通関」の2種類ありますが、多くは通関専門業者に依頼することが一般的です。それでは、輸出通関に必要な書類にはどんなものがあるでしょうか。主なものは以下の四つです。

    ①インボイス(仕入書)

    インボイス(仕入書)とは、貨物の送り状(明細書)のことで、荷送人(輸出者)が荷受人(輸入者)に宛てに発行するものです。

    輸出貨物の記号、商品名、数量、契約条件、単価、仕向人、仕向地、代金支払い方法などが記載され、輸出入通関手続きなどに用いられる貿易取引において必須の書類です。

    ②パッキングリスト(包装明細書)

    「パッキングリスト(包装明細書)」とは、商品をどのように積み込んでいるのかを示す書類です。インボイス(仕入書)を補完するもので、輸出する貨物の個数、包装後の重量・容積などが記載されている必要があります。

    ③船積依頼書(シッピングインストラクション)

    船積依頼書(シッピングインストラクション)とは、貨物を輸出するときに、輸出者がフォワーダー(Forwarder)に対して発行する「船積や通関手続きを指示するための書類」です。

    ④委任状

    「委任状」とは、通関業者と初めて取引を行うときに用意する書類です。また、通関業者は依頼者から依頼を受けたことを証する書類を一定期間保存しなければなりません。

    輸出通関手続きの流れ

    続いては、輸出書類書類を揃えた後の、輸出通関手続きの流れについてです。

    商品を輸出する際は、まず保税地域にて輸出許可を受ける必要があります。保税地域とは、税関から輸出許可を受けた貨物の保管・加工・製造・展示などができる場所のことで、輸出入する際に貨物を留置きする場所を指します。保税地域には指定保税地域(一時仮置き場所)、保税蔵置場(長期保管が可能)、保税工場、保税展示場、総合保税地域などがありますが、一般的な輸出入の場合には、指定保税地域(一時仮置き場所)を通過する必要があります。

    出荷した後、実際に輸出可能になるまでの輸出手続きは以下の通りです。

    ①出荷

    ②他法令手続

    ③輸出申告

    ④審査

    ⑤(保税地域にて)検査

    ⑥(保税地域にて)輸出許可

    ⑦船積・搭載

    輸出手続きにおいては、「輸出申告書(E/D)」が必要不可欠で、パッキングリストの情報などを記載します。平成25年より電子情報処理組織(NACCS)という電子での手続きが可能になりました。

    しかし、輸出品(植物、中古自動車など)によってはそれぞれの法令に定められた許可・承認を受ける必要があります。

    終わりに

    今回は輸出に必要な輸出書類と輸出通関の流れについてお伝えしました。基礎知識ではありますが、少しでも貿易を行うイメージを抱く手助けになれば幸いです。正しい理解と準備をして、企業の飛躍につなげましょう。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。