ブラジル貿易・輸出の基礎知識(2025年更新)

 

目次

    ブラジルは南米最大の国土を誇り*約2億1,500万人の人口(2025年時点)を抱える多民族国家です。天然資源の豊富さと農業・鉱業の強さを背景に、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の一角として世界経済における存在感を高めています。

    2021年には新型コロナウイルスからの経済回復が本格化し、輸出額が前年比34.2%増の2,808億ドル、輸入額も38.2%増の2,194億ドルに達しました。これにより、貿易収支は過去最大の黒字(614億ドル)を記録しています(出典:ブラジル経済省、2022年発表)。

    2025年現在も、ブラジルは世界の一次産品供給国として重要な役割を果たしながら、輸出先の多様化や製造業・デジタル分野の強化を進めています。

    本記事では、最新のブラジルの貿易構造や主要輸出入品目、貿易相手国、日本との関係性などについて、わかりやすく深掘りしていきます。これからブラジルとのビジネスを検討している企業にとっても、有益な情報を提供します。

    ブラジル貿易・輸出の最新情報(2025年更新)

    散乱したブラジルレアルの紙幣

    2025年6月のブラジルの輸出額は291億4,700万ドルで、前年同月比−8.1%の減少となりました。一方で輸入額は232億5,700万ドル(−18.2%)と、輸出よりも大きく減少したため、貿易収支は58億8,900万ドルの黒字となりました。

    項目 金額(ドル) 前年同月比
    輸出額 291億4,700万 −8.1%
    輸入額 232億5,700万 −18.2%
    貿易収支 +58億8,900万

    2025年上半期(1〜6月)の貿易収支

    2025年1月〜6月の累積輸出額は1,658億7,000万ドル(−0.7%)、累積輸入額は1,357億8,000万ドル(+8.3%)となりました。結果として、上半期の貿易収支は300億9,000万ドルの黒字を記録しました。

    項目 金額(ドル) 前年同期比
    累積輸出額 1,658億7,000万 −0.7%
    累積輸入額 1,357億8,000万 +8.3%
    貿易収支 +300億9,000万

    数量面では輸出・輸入ともに過去最高を更新した一方で、コモディティ価格の下落が影響しています。特に大豆、原油、鉄鉱石、粗糖、牛肉、鶏肉の輸出量が好調でしたが、鉄鉱石・原油・大豆などの単価は下落傾向にあります。

    2024年通年の輸出額は約3,370億ドル、輸入額は約2,625億ドルで、貿易黒字は745億ドルに達しました。これは過去2番目の黒字額であり、引き続き一次産品輸出を中心とした好調な貿易構造が継続しています。

    2025年も引き続き輸出数量の堅調な推移と価格動向が注目されており、工業製品の拡大と多角化もカギとなります。

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    ブラジルの主な貿易品目

    集積されたカラフルなコンテナ貨物

    それでは、ブラジルの具体的な貿易状況について見ていきましょう。ブラジルと言えば、皆様は何を思い浮かべますか。最新情報を参考に、輸出入別に紹介していきます。

    輸出

    ブラジルの主要輸出品目のグラフ

    ブラジルの主要輸出品目は、大豆、原油、鉄鉱石、石油製品などとなっています。鉄鉱石や原油が主な品目としてあることから分かるように、ブラジルは資源大国でもあります。また、ブラジルは2019年度の大豆の生産量が全世界1位であり、ブラジルの代表的な輸出品の一つと言えます。

    輸入

    ブラジルの主要輸入品目のグラフ

    ブラジルの主要輸入品目は、石油製品原油、カリ肥料、複合肥料などとなっています。

     

    ブラジルの主な貿易相手国

    大きな地球儀

    これまでブラジルの主な貿易品目に関して見てきましたが、ブラジルの貿易相手国はどのような国があるのでしょうか。こちらも同じく、輸出入別に見ていきましょう。

    輸出

    ブラジルの主要輸出国のグラフ

    ブラジルの主な輸出相手国は、中国、アメリカ、アルゼンチン、オランダ、スペイン、チリ、シンガポール、メキシコ、日本などが挙げられます。全体のシェアのうち、中国が全体の約3割を、一方日本はわずか約0.2割です。

    輸入

    ブラジルの主要輸入国のグラフ

    ブラジルの主な輸入相手国は、中国アメリカアルゼンチンドイツインドロシア、イタリア、韓国、サウジアラビア、日本などが挙げられます。全体のシェアのうち、中国は約2割を占めていますが、日本は上位7カ国には入らず、シェアも輸出と同じく約0.2割です。

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    日本ブラジル貿易について

    風になびくブラジル国旗

    日本とブラジル間の貿易はどのような現状なのでしょうか。

    2022年10月に、第23回日本ブラジル経済合同委員会が開催されました。この会合では、改めて両国間での貿易関係性の強化や環境分野などの取り組みに関して話し合われました。日本とブラジルは、互いの重要な貿易相手国であり、様々な産業分野での取引が行われています。特に、以下の点がその貿易関係の特徴といえます。

    ・日本はブラジルから鉄鉱石や大豆などの原材料を輸入しており、これらは日本の製造業や食品生産に必須

    ・ブラジルは日本から自動車や工作機械などの高度な技術製品を輸入しており、ブラジルの近代化やインフラ整備に貢献

    ・日本はブラジルに対してODA(政府開発援助)を行っており、経済成長や貧困削減に取り組むブラジルを支援

    このように、日本とブラジルは互いに補完的な貿易関係を築いており、今後も両国間の経済や技術交流が進むことが期待されています。また、世界的なサプライチェーンの多様化が求められる中、日本とブラジルの貿易関係は今後さらに重要性を増すでしょう。では、具体的な貿易額や貿易品目を見ていきましょう。

    日本ブラジル貿易額

    日本とブラジルの2022年の貿易額は以下の通りです。

    ・ブラジル → 日本  66.2億ドル

    ・日本 → ブラジル  53億ドル

    主な貿易品目(ブラジル→日本)

    ブラジルから日本への主要貿易品目のグラフ

    日本の対ブラジル輸入品として挙げられるのは、トウモロコシ、鉄鉱石、鶏肉、コーヒー豆、アルミニウム、大豆などです。

    主な貿易品目(日本→ブラジル)

    日本からブラジルへの主要貿易品目のグラフ

    日本の対ブラジル輸出品として挙げられるのは、自動車部品、自動車用エンジン部品、集積回路、複素環式化合物、自動調整機器などです。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。