アパレル貿易の実態とは?輸出で売上を伸ばせるのか?

 

目次

    国内アパレル業界の貿易のこれまで

    国内のアパレル業界の売れ行きはどのようになっているのでしょうか。
    同業界で貿易が注目されている訳を見る前に、まずは国内アパレル業界でのターニングポイントを振り返っていきましょう。

    1970年代には、商社が繊維貿易をリードしていました。
    百貨店やアパレル専門店で製品が販売され、有名な繊維企業が誕生するなど、日本の紡績業が一番栄えた時代と言えます。

    1980年代には、プラザ合意の影響で、貿易形態が大きく変化していきます。
    日本の製品が輸出されるのではなく、輸入が増加していくことで、海外のブランド製品が日本の市場を風靡していきます。
    国内では原材料調達は繊維商社が、企画販売はアパレルが行うビジネスモデルとなりました。

    1990年代には、アパレル小売業者による直接貿易が始まりました。
    中国が輸出生産を本格化させます。
    原材料の調達や流通も商社を介さず自社で行う製造小売業であるSPAと呼ばれるサポライチェーンモデルが低価格で高品質の製品を中国で製造・日本へ輸出し始めたのです。

    2000年代には、SPAがブランド品に代わり、大量生産を始めます。
    バイヤーズコンソリデーションという、異なる生産元の製品でも一つのコンテナの中にまとめて発送することで製品一個あたりの手数料や通関費用といった物流コストを抑えられる仕組みが導入されました。
    生産拠点はインドネシアやタイ、ベトナムへ移動しました。

    2010年代には、生産側と販売側どちらも二極化が進みます。
    生産側では、ダイレクトに消費者と取引をするD2CがEC市場で急伸しました。
    FTA/EPA締結によってASEAN地域での生産性が上がり、製品の品質が向上しました。
    販売側では、低価格で大量に販売する外国のファストファッションと、高価格でニッチな市場を抑えていくものとに分かれていきました。

    2020年代には、生産を頼っていた中国の工場が停止した影響で、D2Cは在庫量や調達という面で伸び悩みます。
    一方、百貨店やEC小売など、販売の場が多角化したことで消費者の利便性は大幅に改善されました。

    アパレル貿易のニーズ拡大の背景

    なぜ今、アパレル業界において貿易が注目されているのでしょうか。
    それは国内市場が縮小しているからです。

    総務省の家計調査によると、2000年から2019年までにアパレル消費は34.4%も減少しています。
    コロナウイルスの影響で外出の機会が減ったことや景気が低下したことによって、
    人々が衣服という嗜好品よりも生活必需品などに支出を割いていることが背景にあります。

    また低価格でも高品質な製品が現れたことから、国内生産の高品質な繊維製品や高級ブランド以上に、
    SNSで話題のトレンド服へのニーズが高まっていることも挙げられます。

    このような経緯から、海外展開を視野に入れる必要が出てきているのです。
    海外では日本以上に外出に対する抑制意識もなく、もともと日本のアパレル消費を支えていたのは中国人などの訪日外国人でした。
    コロナ禍を通じてECサイト販売に力を入れてきた国内の企業では、その学びから海外向けのECサイトも作ろうとする動きがあります。

    経済産業省の発表によると、2021年度の国内アパレルECの市場規模は2兆4,279億円でした。
    EC化率は21.15%と、EC化は着実に進んでいる状況です。

    売上上昇中の越境ECとは

    では具体的に、越境ECはどうすれば売り上げを伸ばしていけるのでしょうか。
    国や地域によってよく使われるECが異なるため、代表的なものをここではご紹介していきます。

    はじめに中国の、TmallとVip.comというサイトから見ていきましょう。
    Tmallとは、中国市場トップクラスのECサイトで市場シェア率は60%以上と言われます。
    Tmallの流通規模は22兆円と、16兆円のAmazonを上回っています。
    日本でもソニーやパナソニック、ユニクロ、そして三越や伊勢丹などが進出しています。

    次に台湾のmomo購物網をご紹介します。
    momo購物網は台湾の女性利用者No.1のECサイトです。
    2005年にサービスを開始して以来、2018年には同国最大のECサイトとなり、
    2019年には最高売上を記録し、コロナ禍でも他社を圧倒する勢いで業績を伸ばしています。
    定期的に行われるセールやクーポン券配布に加え、普段から翌日発送サービスを行うなど、
    利用者に便利な仕組みが人気の理由となっています。

    また東南アジアで人気のECサイトといえば、shopeeです。
    シンガポール、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、中南米など14の地域に進出しています。

    2015年から始業した同サービスは従来の1位サイト出会ったLazadaを5年で抜き、
    2021年ではアプリダウンロード数世界1位を誇っています。

    販売手数料が1〜2%と格安な上に、出店費用や店舗維持費が無いということも、販売者にとって嬉しいポイントです。

    ここまで、国内アパレル業界の歩みと国内市場の縮小、コロナ禍でのECサイト強化傾向を確認した上で、
    東南アジアを中心とした越境ECサイトの大手をご紹介致しました。

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    今回は「アパレル貿易の実態とは?輸出で売上を伸ばせるのか?」をお届けしました。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。