シンガポール貿易・輸出の基礎知識(2025年更新)

シンガポールはアジア太平洋地域の戦略的な位置にあり、卓越したインフラを備えることから金融と貿易の中心地となっています。さらに、さまざまな優遇税制措置により外資系企業を誘致し、グローバルビジネスの拠点でもあります。

シンガポールは貿易面では何に秀でているのでしょうか。そんな、アジアだけではなく、世界ビジネスにおいても重要な拠点と言えるシンガポールの貿易事情に関して見ていきましょう。

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シンガポールの基礎情報

水を噴くマーライオン

シンガポールは東南アジアに位置する小さな国ですが、その経済発展とインフラ整備により、世界中から注目されています。また、政治・経済の安定感や各国との良好な関係から、多くの企業がシンガポールに拠点を構えています。

項目 内容
正式名称 シンガポール共和国
首都 シンガポール
位置 東南アジア、マレー半島南端の島国
面積 約733平方キロメートル(埋め立てにより拡大中)
人口 約589万人(2024年推計・シンガポール統計局)
言語 英語(共通語)、マレー語(国語)、中国語(主に北京語)、タミル語
通貨 シンガポール・ドル(SGD)
時差 日本より1時間遅い(UTC+8)
気候 熱帯モンスーン気候(高温多湿、雨季と乾季がある)
宗教 仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教などが共存
政治体制 共和制(議会制民主主義)/人民行動党(PAP)が政権を維持
経済 一人あたりGDPは約8.9万ドル(IMF 2024年推計)、アジアでも有数の先進経済国
産業 金融・商業サービス、精密機械・電子機器製造、IT、観光業、物流など
治安 世界でもトップクラスの治安の良さ(犯罪率が非常に低く、法制度が厳格)

シンガポール貿易・輸出の最新情報

パソコンに写った数値

シンガポールは東京23区ほどの小さな国土ながらも、東南アジアのハブとして経済成長を遂げ、製造業・金融・情報通信など多分野で国際的競争力を有しています。

最新の経済成長動向

項目 内容
対前年同期実質GDP成長率 +0.5%(2023年第2四半期)
季節調整済み前期比成長率 +0.1%(速報値から下方修正)
主な成長牽引産業 高付加価値製造業、金融、ICT

※出典:シンガポール貿易産業省(MTI)発表(2023年8月)

シンガポールの主要輸出品目と輸出先

輸出品目 内容
電子機器 半導体、通信機器など
医薬品 バイオ医薬やジェネリック製品など
石油製品 精製石油・石油化学製品
化学品 特殊化学品、工業用化学品など
主な輸出先国(上位3カ国) 備考
中国 電子機器・化学品中心
マレーシア 中間財貿易が盛ん
インドネシア 消費財・医薬品など

政策と貿易環境

・TPP(CPTPP)加盟国として、加盟11カ国との貿易自由化を推進

・輸出促進策として、新興国市場(インド、中東、アフリカ等)への展開支援を強化

・世界最大級の港湾機能を持つシンガポール港を活用し、アジア市場への迅速なアクセスを実現

・外資誘致政策により、製造・金融・サービス業を中心に多国籍企業のアジア拠点が集中

シンガポールの主な貿易品目

散乱した木箱

シンガポールは、その地理的位置と先進的なインフラストラクチャにより、国際的な貿易の中心として重要な役割を果たしています。以下では、シンガポールの主要な輸出入品目について詳しく見てみましょう。

輸出品目

シンガポールの主要輸出品のグラフ

シンガポールの主要な輸出品目は電気機器、一般機械、鉱物性燃料等、化学工業品、精密機器です。電気機器と一般機械だけで輸出品のおよそ半分を占めています。

輸入品目

シンガポールの主要輸入品のグラフ

対して、シンガポールの主要な輸入品目は電気機器、鉱物性燃料等、一般機械、化学工業品、精密機器です。

シンガポールの貿易の特徴として、輸出と輸入の品目が一部重なる点が挙げられます。これは、国内での生産・加工・再輸出が盛んなため、一部の製品が複数の段階で取引されていることを示しています。

まとめると、シンガポールは先進技術と戦略的な貿易インフラを活用し、機械、鉱物性燃料、化学製品などを中心とした貿易を展開しています。これにより、国内経済の成長と地域経済との連携を強化しています。

シンガポールの主な貿易相手国

国旗と空

シンガポールは、世界ビジネスの中心地としてその経済的な重要性を確立しており、輸出入において幅広い国々との取引を展開しています。最新の統計データに基づいて、シンガポールの主要貿易相手国とその輸出入の傾向を探ってみましょう。

輸出相手国

シンガポールの輸出国のグラフ

シンガポールの輸出取引において、主要な貿易相手国は中国、香港、マレーシア、米国、EU27、インドネシア、台湾、韓国、日本です。アジアの国が多いのが特徴として挙げられます。

これらの国々との輸出取引によって、シンガポールは多様な商品やサービスを世界に提供しています。

輸入相手国

シンガポールの輸入国のグラフ

シンガポールの輸入取引においては、主要な貿易相手国は中国、マレーシア、台湾、米国、EU27、湾岸協力会議(GCC)諸国、韓国、日本、インドネシアです。これらの国々との輸入取引を通じて、シンガポールは自国の需要に対応し、多様な資源や製品を導入しています。

輸出入のバランスと影響

シンガポールの貿易データを通じて、中国が輸出入の双方で重要な役割を果たしていることが分かります。また、香港やマレーシア、台湾、日本なども高いシェアを持つことから、地域的な取引パートナーシップの重要性が浮き彫りになります。

これらの貿易相手国との関係は、シンガポール経済の安定と成長に寄与しています。国際的なビジネス環境での戦略的な位置づけと、堅固な貿易ネットワークによって、シンガポールは経済的な繁栄を達成しています。

総括すると、シンガポールの主要貿易相手国は、輸出入双方において多様な国々との強固な取引関係を築いており、その経済の成長と発展を支えていることがわかります。

日本シンガポール貿易について

握手している拳

シンガポールは、東南アジアにおけるビジネス・貿易の中核拠点として日本企業にも広く注目されています。2020年時点で日本企業の進出数は約822社。多くの企業が地域統括拠点や物流ハブとして同国を活用しています。

輸出入規制の特徴

シンガポールは自由貿易を積極的に推進する国であり、関税は非常に低率または無税が原則です。ただし、一部品目については課税・規制が存在します。

規制内容 概要
課税対象品目 石油製品、アルコール飲料、自動車、タバコ製品
関税方式 従価税率または特別税率(Customs Duties Order に基づく)
輸入禁止品目 チューインガム、爆竹など
輸入管理品目 一部化学品など(事前登録と輸入ライセンス取得が必要)

このような例外品目の管理を除けば、全体的にビジネス・通関の自由度が高い環境です。

日本とシンガポールの貿易額(2020年)

項目 金額(2020年度)
日本の対シンガポール輸出 約1兆8,876億円
日本の対シンガポール輸入 約9,154億円

※貿易黒字:日本側が約9,700億円の黒字

主な貿易品目(2020年)

日本 → シンガポール(輸出) 割合・品目
機械類 約35.4%
製品・地金含む
船舶 大型船・貨物船など
石油製品 精製石油等
化粧品 日系ブランド製品が多数
シンガポール → 日本(輸入) 割合・品目
機械類 約36.0%
医薬品 ワクチン・治療薬等
科学・光学機器 精密測定機器、分析装置など
有機化合物 化学原料
プラスチック製品 工業用および消費財向け

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