サプリメントの海外市場はどうなっている?

 

目次

    サプリメントの世界的な市場は近年成長を遂げています。イギリス調査会社ユーロモニターの調査によれば、2018年度の世界のビタミン・栄養補助食品マーケットの売上は約1,140億ドルです。内、アメリカが291億ドル、中国が231億ドル、日本が110億ドルとなり、地域別で見ればアジア地域の市場規模は500億ドルとなっています。これは、世界全体の約半分を占める規模です。

    成長を遂げる世界のサプリメント市場

    世界のサプリメント市場は、これからさらに成長することが予想されます。具体的には、2021年に発行されたREPORTOCEANのレポートによれば、世界の栄養・サプリメント市場は2021年から2027年の予測期間で8.2%以上の健全な成長率が見込まれています。また、2028年までに最大の市場価値に到達すると予想されており、世界的なリーダーカンパニーは以下があります。

    • Abbott
    • Bayer
    • Otsuka
    • Pfizer Inc.
    • GlaxoSmithKline plc
    • Herbalife International of America, Inc.
    • Amway
    • NuSkin Enterprises
    • Arkopharma
    • Nature’s Bounty  等

    各国の健康食品・サプリメント事情

    では、世界の健康食品・サプリメント事情はどうなっているのでしょうか。世界的に健康への意識の高まりは見られ、地域によりその特徴が分かれます。

    アメリカの市場

    アメリカは世界のサプリメント市場の最先端とされ、2018年でその規模は約2.6兆円と言われています。これは、成人の約8割が何らかのサプリメントを摂取していることになります。このアメリカの市場はここ数年で伸長率が3%ほどですが、依然として拡大が続いています。これらの背景として、医療費負担の増加によって消費者が治療より予防に意識を転換させ、健康的なライフスタイルを追求する傾向が強まったことがあります。また、アメリカの市場においては以下のトレンドが見られます。

    サステナブル

    国連のSDGsを発端とする「サステナブル」という考えは、サプリメントの領域にも進出しています。国連食糧農業機関は、持続可能な食生活を「環境への影響が軽減され、食物と栄養の安全と、現在と将来の世代の健康的な生活に寄与する食事」と定義し、健康意識と環境配慮が結びつけられています。サステナブルなサプリメントとは以下のようなものです。

    ・有機栽培などの持続可能な原料を使っている

    ・添加物や乳化剤などの化学薬品を使わない

    ・再生可能エネルギー、クリーンエネルギーを活用している

    ・環境やリサイクルに配慮したパッケージを使用している

    ・環境に優しい輸送資材を使用している

    植物由来

    ベジタリアンやビーガンの人々が増加したことで、菜食主義の考えもサプリメントの摂取に影響を与えています。そのため、乳製品や動物由来成分が入っていないサプリメントが人気となり、保存料や人工香料といった添加物がない100%自然由来のサプリメントが好まれる傾向にあります。

    薬用キノコ

    薬用のキノコもアメリカのサプリメントのトレンドを押さえる上で重要です。キノコは古くから生薬として使用されてきましたが、現在ではその薬用キノコがサプリメントの成分として注目されています。特に人気な薬用キノコは霊芝と冬虫夏草であり、これらは中国歴代の皇帝が愛用してきたとされるキノコです。

    MCT(中鎖脂肪酸)

    MCTはすでに日本でも話題となっていますが、アメリカにおいてはセレブによるダイエット効果を狙った使用をきっかけにブームとなっています。主成分の中鎖脂肪酸はココナッツオイルやパーム油に含まれている天然成分であり、従来の油より短時間で消化されエネルギーになるのが特徴です。

    アジアの市場

    日本においては、国内市場が成熟期となり海外へ進出することへの必然性が高まっていますが、中国や東南アジアでは生活習慣病の予防対策のための改革が進んでいます。例えば、2019年の国際糖尿病連合の調査によれば、中国は1億1,640万人もの糖尿病有病者を抱えており世界一位です。また、インドは7,700万人で世界二位となっています。こうした背景から、サプリメントや健康食品の需要がアジアを中心に急成長しています。特に東南アジアでは、糖尿病の増加に伴って甘味清涼飲料に対する砂糖税が導入され、健康食品業界や消費者の意識が高まっています。

    中国の市場

    中国のサプリメント市場規模は、2019年で約5,788億元となり、年率10%以上で拡大しています。健康食品関連企業は沿岸地域に集中していて、輸入品の構成比は小さいようです。この中国市場では、上位5社の占める市場シェアが約30%となり、全体的に市場は分散化しています。参入する外資系企業としては、アメリカのAmwayやHarba Life、マレーシアのPerfectがあります。中国系としては、多くのブランド展開をする湯臣倍健(By-health)、東阿阿膠(DEEJ)、無限極(Infinitus)が挙げられます。

    ヨーロッパの市場

    ヨーロッパの市場は、植物薬の採用率の上昇により2028年までに最大のシェアに到達すると予想されています。EUにおいては、日本の医薬部外品に近いフードサプリメントという制度があり、錠剤やカプセルといった医薬品のような形態のビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブが対象です。

    ドイツの市場

    ドイツはサプリメントの基準が世界で一番厳しいとされますが、EUにおいて最大のサプリメント市場となっています。ドイツはハーブ利用に積極的で、ハーブを使用したサプリメントはドイツ・コミッションEという機関で医薬品レベルの検証がなされます。ドイツでは、風邪をお茶(ハーブ)で治すという文化が普及していることもあり、薬やサプリメントとしてハーブがよく使用されています。

    まとめ

    このように、世界的に健康食品・サプリメントの市場は拡大を続けています。しかし、国や地域によりサプリメントを取り巻く環境が大きく異なるということに注意を払わなければなりません。トレンドや市場の成長を捉え、サプリメントで海外進出にチャレンジしてみましょう。

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