2024年更新!ロシアへの輸出をする前に絶対に知っておきたいこと

 

目次

    ウクライナへの侵略により、世界から経済制裁を受けているロシア。日本も輸出入を通してロシアに制裁を与えており、日本企業の「ロシア取引」は1年間で3割減少、また「対ロ輸出」関連の企業は4割減を記録しています。

    一方で、ほとんどの商品が規制される中、北海道からの水産品自動車業界はニーズの上昇も見られています。この記事では、現在ロシアに輸出をしている企業、またロシアへの輸出を考えている企業に、最新のロシアへの輸出規制を解説いたします。

    最新のロシアへの輸出情報

    ここでは現在のロシアへの主流な輸出と、これからの規制について説明いたします。ウクライナ戦争によって情勢が不安定なロシアへの輸出はしっかりと最新情報をおさえておくことが大切です。

    自動車

    多くの輸出が規制されている中、自動車産業はロシアへの輸出を一定量続けてきました。2023年3月に中古乗用車の販売台数が前年同月比で17.3%増加、約49万7,600台に達し、特に外国ブランド車への人気が高いです。

    ウクライナ侵攻後、ロシアでは新車の供給が不足しており、中古車市場では選択肢が豊富であるため、多くの消費者が中古車を選択しています。

    さらに、高級車も中古車市場で増加しており、2023年1月には高級車の中古車広告が前年同月比で63%増加しました。

    しかし、最近日本政府は米国やEUと足並みを揃えるため、ロシアに対する輸出禁止措置を拡大しました。この措置は化学工業生産品、鉄鋼、輸送用の機械およびその部分品など758品目に適用されました。特に、排気量が1900ccを超える自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)など、自動車関連品目が輸出禁止対象に追加されました。

    水産業

    水産物は唯一戦争中に伸びた輸出となりましたが、今回の日本の処理水問題においてロシア側が日本からの水産物の輸入に消極的になっています。

    日本産の水産物を巡っては、中国が東京電力福島第1原子力発電所の処理水の放出開始に反発する形で、輸入を8月24日から全面的に停止しており、ロシアの企業ロセルホズナゾールは声明で「放射能汚染の可能性を巡るリスクを踏まえ、日本からの水産物の供給について、中国が実施している制限に(ロシアが)加わる可能性を検討している」と表明。日本との交渉後に最終的に決定するとしています。

    ロシア輸出の規制

    今回のウクライナ戦争において、多くのものに輸出規制がかかりました。ロシアへの輸出をされている方、また考えられている方は、経済産業省の省令を確認し、自身の製品が規制内でないことを確認しましょう。特に、軍関係ではない個人企業への輸出であったとしても全て規制されるので注意しましょう。

    輸出貿易管理令別表第二の三の規定に基づき貨物を定める省令

    特に判断が難しいケースをここで紹介します。

    例えば、輸出しようとする貨物自体は規制対象ではないが、部品の規制対象のHSコードが含まれている場合でも、輸出は可能です。

    しかし部品を単独で輸出する際は規制されるため注意しましょう。

    さらに、自動車のハーフカット/ノーズカットの場合は、規制対象の部品が含まれている場合は輸出できません。

    ロシア輸出での注意点

    ここではロシアに輸出する際の規制などについて紹介します。

    自動車

    ・ディーゼルエンジンを輸出する場合、輸出規制の対象になることがあります。

    ・エンジンの種類やHSコード(関税率表の番号)を確認して、規制対象かどうかを確認しましょう。

    ・中古自動車をロシア向けに輸出する場合、規制対象かどうかをHSコードで確認しましょう。

    ・エンジンと一体となって動く部品はエンジンとして判定できます。

    ・他の部品は別々に評価し、規制対象かどうかを確認しましょう。

    ・「トラクター」は農業用だけでなく、牽引車両も含みます。

    通信機器系統

    ・USBメモリやSDカードも規制の対象になることがあります。

    ・通信機能と暗号化は単体で評価します。

    医療機器

    ・医療機器も規制の対象です。

    ・医療目的でも規制が適用されます。

    ・人道支援でも規制が適用されますが、許可が可能な場合もあります。

    情報

    ・規制対象技術を提供する場合、許可が必要です。

    ・一般的に公知の技術は規制外ですが、特定の団体への提供には注意が必要です。

    ロシア輸出の例外

    基本的にはほとんどの製品の輸出が禁止されていますが、ウクライナやベラルーシの企業への輸出である場合、また戦争の被害の援助になるような以下に記載されている製品は、経済産業省へ申請をすることで商品を得られる場合があります。

    ・食品・医薬品

    ・人道支援の目的で輸出するもの

    ・サイバーセキュリティの確保に関するもの

    ・海洋の安全に関するもの

    ・消費者向けの通信機器(パーソナルコンピュータ、スマートフォン等(ベラルーシ又はロシアの政府機関又は国有企業向けを除く。))

    ・民間向けの通信インフラ(インターネットを含む。)に関するもの

    ・政府間で輸出するもの(宇宙協力等の非軍事分野における政府間協力等)

    ・最終需要者が法人の場合であって、当該法人の全ての株式を日本又は通達の別紙に掲げる国・地域の法人が出資した法人(合弁を含む。)向けの輸出。

    ・我が国のエネルギー安全保障のため特に必要なもの。

    まとめ

    ロシアへの輸出は難航を極める時代となってしまいましたが、それでも自動車や水産物など、伸びを記録した商品もあります。これらの規制を理解して、挑戦してみてください。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。