ナイジェリアでのビジネスの現状、知っておきたい基礎知識まとめ

 

目次

    ナイジェリアでのビジネスが今アツい理由とは?

    ナイジェリアは急激な人口増加や中間所得層の拡大により、未来の巨大な市場が形成されると見込まれています。石油産業の豊富なリソースや英語圏での事業展開の利点も大きな魅力です。競合が少なく未開拓の市場であるため、日本企業にとっては先行者利益を得る絶好のチャンスと言えるでしょう。

    アツい理由① 人口爆発による巨大な市場の創出

    ナイジェリアは世界で最も人口が急増している国の一つであり、西暦2100年には70億人を超えると予測されています。その中で、ナイジェリアの人口は現在の1億6千万人から7億3千万人に増加するとされています。この急激な人口増加により、ナイジェリアは巨大な市場が形成されると期待されます。特にラゴスという街では起業ラッシュが起こっています。

    アツい理由② 伸び盛りの中間所得層市場

    ナイジェリアでは中間所得層の拡大が進んでおり、経済成長が期待されています。中間所得層の拡大により、需要が増加し、消費市場が拡大しています。特に、消費財やサービスに対する需要が高まっており、これらの分野でビジネスを展開するチャンスが増えています。

    アツい理由③ 資源豊富な石油産出国

    ナイジェリアはアフリカ最大の石油産出国であり、世界でもトップ10に入る石油輸出国です。石油産業は同国の主要産業の一つであり、外国企業も多く参入しています。エネルギー産業に関連するビジネスや技術提供など、石油産業を中心にした事業展開が可能です。

    アツい理由④ 英語圏での事業展開

    ナイジェリアは公用語として英語を使用しており、欧米の文化を理解していることから、言語や文化の障壁が少ない利点があります。英語をビジネスコミュニケーションに使用できることは、日本企業にとっての有利な要素と言えるでしょう。

    アツい理由⑤ 競合が少ない未開拓市場

    現在、ナイジェリア市場において日本企業の参入は限られており、競合他社が少ない状況です。他のアジア企業が進出していないため、先行者利益を得るチャンスがあります。新たな市場を開拓することで、成長を加速させることが期待できます。

    アツい理由⑥ 持続的成長と未来の可能性

    ナイジェリアの急激な人口増加により、需要が長期的に拡大する可能性が高まっています。企業が長期的な展望を持ち、将来の成長を見据えることが重要です。アフリカ市場全体においても、今後数十年にわたり成長が期待されているため、今からの参入が重要です。

    ナイジェリアってどんな国?

    ナイジェリアの地理

    ナイジェリアは西アフリカ沿岸に位置する連邦共和制国家であり、北にはニジェール、東にはカメルーン、西にはベナンと国境を接し、南はギニア湾に面しています。首都はアブジャ(Abuja)であり、1991年12月にラゴスから遷都されました。この都市は行政・政治の中心として位置し、ナイジェリアの政府機関や国際機関の本部が所在しています。

    ナイジェリアの面積は923,773平方キロメートルであり、日本の約2.5倍の広大な国土を有しています。2022年時点の人口は2億1,854万人であり、ワールドバンクによればアフリカ最大の人口を誇ります。

    ダイバーシティな環境

    国内には言語や風習を異にする250以上の民族が存在し、その中でも主要な三大民族はハウサ族(北部)、イボ族(南東部)、ヨルバ族(南西部)です。公用語は英語であり、行政や教育、メディアなどで広く使用されていますが、各民族はそれぞれの言語(ハウサ語、ヨルバ語、イボ語など)を話します。

    宗教的な傾向として、約半数がイスラム教徒(主に北部地域)で、もう半数がキリスト教徒(主に南部地域)です。また、南部では伝統信仰も盛んに存在しています。

    ナイジェリアは多様な民族と社会情勢を抱えており、政府は各民族、地域、宗教間のバランスを取ることに力を注いでいます。主要な政治職についても民族の偏りを避けるように配慮されており、大統領や副大統領、大臣などが異なる地域出身者から選ばれます。

    右肩上がりの経済

    経済面では、ナイジェリアはアフリカ最大の人口とGDPを持つ国であり、農業、原油、天然ガス、通信などが主要産業です。しかし、経済の多角化が進まず、原油に依存していることが課題とされています。近年はサービス産業の成長も見られており、市場の潜在性が高い一方、経済の安定化や改革が求められています。

    ナイジェリア料理の魅力

    ナイジェリア料理は国の成り立ちから多様性に富んでおり、イモ類や穀物が主食とされ、スープやトマト、パームオイル、ピーナッツオイルなどがよく使われます。地域によって異なる料理があり、ジョロフライスやスパイシーなスープが人気です。また、地域によって異なるお酒も楽しめます。

    日本との関係

    日本との関係では、1960年にナイジェリアの独立と同時に日本が同国を承認し、両国の外交関係が始まりました。液化天然ガス、アルミニウム・合金、採油用種子などが主要な輸出品目であり、自動車や人造繊維などが主要な輸入品目として挙げられます。文化交流を通じて相互の関心も高まっており、在留邦人数や在日当該国人数も存在しています。

    アフリカ内の役割

    ナイジェリアはアフリカ内外で指導的な役割を果たす国として認知されており、アフリカ連合や西アフリカ諸国経済共同体を通じて積極的な外交を展開しています。また、軍事力としても予算を確保し、国連PKOへの貢献も行っています。

    ナイジェリアの歴史的背景

    こんなにも魅力的な国なのに、なぜナイジェリアは経済的成長に苦しんでいるのでしょうか?それにはナイジェリアの歴史が深く関係しています。

    ナイジェリアは、20世紀初頭までイギリスの植民地支配下にありました。植民地支配により、様々な民族や文化が強制的にまとめられ、ナイジェリアとして独立しました。この結果、異なる民族間の摩擦や対立が根付くこととなりました。植民地時代に形成された国境線が、現在も民族間の緊張を引き起こしています。

    さらに、15世紀から19世紀にかけて、ナイジェリアは奴隷貿易の拠点として蹂躙されました。多くの人々が奴隷として売り払われた経験は、ナイジェリアの人々にとって深いトラウマとなっています。奴隷貿易の遺産は、お互いを信頼できない心理や不信感を生む要因となっています。

    このようなことから、ナイジェリアは政治腐敗が根深い国として知られています。政治家や一部の資産家が富を独占し、国民の大多数がその恩恵を受けられていないと感じていることが挙げられます。権力者への不信感が根強いため、経済的・社会的な不平等が続いています。

    また、民族の違いに加えて宗教の違いも成長を止める原因となっています。ナイジェリアは北部がイスラム教徒であり、南部がキリスト教徒が多い国です。これにより、宗教対立が存在し、しばしば紛争や暴力事件が発生しています。宗教対立は国内の安定を脅かす要因となり、経済や社会の発展を阻害しています。

    これらの要因が複合的に作用して、ナイジェリアの経済が発展しきれない状況が続いています。ただし、ナイジェリアは豊富な天然資源を有しており、経済的な潜在力を持つ国でもあります。政治的な安定と民族間の協調が進むことで、成長と発展の道を切り拓くことができる可能性は十分あります。

    急成長中の街ラゴス・ナイジェリア

    ラゴスとはどんな街か?

    ラゴスはナイジェリアの経済の中心地であり、アフリカ最大の経済大国に躍り出た国内総生産(GDP)の成長を牽引しています。豊富な人材と市場の成長 ラゴスは巨大な都市であり、たくさんの野心的な起業家や熱意ある労働者が集まって急速に発展する経済を支えています。ラゴスの成長率は高く、特に金融や通信、サービス産業部門で中間層が増加しています。さらにラゴスは観光地としてはあまり知られていませんが、ビジネスの観点からは成長市場としての魅力があります。また、ラゴスはナイジェリアの商業と金融の中心地であるだけでなく、西アフリカ全体の重要な拠点でもあります。周辺地域への拡大や関連市場へのアクセスが容易であり、戦略的な位置を活かすことでビジネスの範囲を広げている企業も多いです。

    しかしながらナイジェリアの経済拠点であるラゴスでは、深刻な交通渋滞が悩みの種です。通勤時間を短くしようと始業時間を早めるなどの努力が行われていますが、往復4時間かかることもあります。

    最近では新都市開発プロジェクト「エコ・アトランティック」の建設が進んでいます。広大な埋め立て地にオフィスビルやマンションの建設が進み、経済発展のシンボルとなっています。1年後にはこの地に25万人が住み、15万人が働く予定です。

    現在、ラゴスでは多くの起業が立ち上がっています。英語が公用語であるため、欧米の大学で学んだ若い起業家が多く存在します。また、既存の企業でも同様の傾向が見られます。投資家も参入し、スタートアップの成長を支援する熱気が漂っています。

    ラゴスの女性たちの上がる購買力

    ナイジェリアでは最近の女性の社会進出により女性の購買力が拡大しています。化粧品輸入額は年々増加傾向にあり、中でもヘアケア用品が全体の4分の1を占め、女性の関心が高いことがうかがえます。ラゴスはファッションのトレンド発信地で、女性はオシャレへの関心が高く消費性向が強いことがわかっています。もともとラゴスでは、小売りの8割以上を伝統市場が占めるが、近年は大規模小売店のシェアが拡大しています。ナイジェリアは出生数がアフリカで最多のため、ベビー用品市場にも大きな可能性がある。ただ課題として、模倣品の流通や価格競争の激しさがあげられます。日本企業の市場参入は限定的だが、中長期的な市場として期待されており、「化粧品」「ヘルス&ビューティー」分野に可能性があると考えられています。

    ナイジェリア・アフリカでのビジネスの予測

    アフリカは近年、スタートアップブームが巻き起こっています。モバイル技術の普及やフィンテックの進化により、新たなビジネスが相次いで誕生しています。しかし、日本企業は欧米に比べてアフリカ市場への参入が遅れており、未開拓の市場としての可能性を見過ごしていると指摘されています。

    予測① アフリカのスタートアップブーム

    現在、アフリカでのスタートアップブームが世界的な現象であり、ナイジェリア、ケニア、南アフリカなどが三大拠点として挙げられる。アフリカのスタートアップは特に貧困層を対象にし、フィンテックやドローンといった最新のテクノロジーを活用している点が世界からの注目を集めています。

    予測② 日本企業の出遅れと挽回のチャンス

    日本はシリコンバレー依存が強く、自前のエコシステムをつくることが遅れた結果、アフリカ市場においても出遅れていると言われています。日本企業はバブル期以降、高機能で高付加価値な商品開発に偏り、アフリカビジネスを怠ってきた。このため日本の経済成長が停滞しています。最近は日本企業のアフリカへの関心は高まっているが、具体的な投資が伴っていない課題が挙げられます。

    予測③ パートナーシップ

    アフリカ経済の成長と人口増加により、アフリカ市場へのパートナーシップが重要になっています。日本にはグローバル企業の数が少ないため、これからのアフリカ市場のなかでパートナーシップを組むことが飛躍の鍵となってくるでしょう。

    ナイジェリアに進出した企業

    ここではナイジェリアに進出して成功した企業の例を紹介します。アフリカ最大の市場、ナイジェリアに目をつけたことによって多くの日本企業がグローバル企業として成功を遂げています。

    例①ヤマハ発動機

    ヤマハ発動機は、1960年代にアフリカ進出を開始し、ナイジェリアでも活動を展開しています。同社はBOP(Base of the Pyramid)ビジネスを通じて現地の認知度を高め、クリーンウォーター装置、点滴灌漑システム、漁業関連製品の販売と教育支援を展開しています。また、アフリカ52カ国に代理店網を構築し、二輪事業にも注力しています。さらに、ナイジェリアのスタートアップ企業との投資や協業も行い、アフリカでの事業幅を広げています。

    例②大原薬品工業

    大原薬品工業はナイジェリア内資最大の製薬会社、FidsonHealthcare Plc.との戦略的パートナーシップを結びました。両社は最新のヘルスケア製品ならびにヘルスケアサービスにアクセス可能な環境を創り出すことを目指し、資本・業務提携を行っています。Fidsonとの戦略的資本・業務提携の契約は、アフリカビジネスで注目すべき事例として高く評価されています。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。