目次
日本産の農産物は品質が高く、世界中の注目となっています。近年、日本の輸出額は増加傾向にあり、2021年の農林水産物・食品の輸出額は初めて1兆円を超えました。日本政府は2025年に輸出額2兆円、2030年には5兆円を目標として輸出拡大を狙っています。その中でも、特に「茶」が日本の海外に対する強みとして強調されています。これは、日本の茶が海外で高く評価されており、輸出拡大が可能だとされているからです。
国内市場での停滞
まず、世界を見る前に、国内では茶の市場はどう動いているのでしょうか。残念ながら、国内の日本茶市場はここ10年で横ばい状態となっています。また、リーフ茶と茶飲料の1世帯当たりの年間支出金額は11,000円程度で変化していません。こうした背景から、日本茶の新しい市場として海外が注目されています。
緑茶輸出の拡大
国内市場とは対照的に、2012年から2021年の10年間で日本の緑茶の輸出額は大きく増加しており、輸出先の多様化も進んでいます。これには、世界的な日本食ブームや、ヘルシーなライフスタイルの志向、お菓子や飲み物のフレーバーとして抹茶の認知が拡大したという背景がありました。
(農林水産省より、https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2204/spe1_04.html)
さらに、財務省貿易統計によれば、2022年の緑茶輸出額は前年比7.1%増の218億8742万円、輸出量は1.3%増の6262トンと過去最高の記録です。特に粉末タイプ商品の需要が保たれ、円安もこれに貢献する形となりました。
輸出先としては、米国が1.7%増の104億8456万円となり、全体の半分弱となりました。次に、2位の台湾が18億8483万円(10.6%増)、続いてドイツが17億5619万円(13.1%減)です。
商品の種類としては、粉末緑茶や抹茶など「粉末状のもの」が輸出額全体の67.2%となり、米国に限れば75.9%となりました。米国ではこの粉末状の商品がラテといった飲料や健康食品に幅広く使用されているとみられています。
新型コロナウイルスからの経済的な回復が見られる東南アジア諸国連合(ASEAN)では、健康意識の高まりなどによってその需要が象がしており、域内主要国のタイ(37.5%増)、マレーシア(26.0%増)、インドネシア(39.8%増)への輸出額が大きく増加を見せました。
日本茶の海外での受け入れられ方
アメリカでは、緑茶や抹茶を扱うカフェが増加しており、日本茶ブームなるものが起こっています。これまでは、コンビニなどで販売されるタイプの抹茶や加糖の甘いものが主流でした。しかし、現在ではヘルシー志向が普及し無糖タイプの緑茶も見られるようになり、日本メーカーの茶飲料も取り扱いが増えました。日本ではお馴染みの「お~いお茶」の伊藤園も、2012年から緑茶の販売数を急激に増加させています。
ニューヨークの抹茶専門カフェ「MATCHAFUL」
ニューヨークで、抹茶専門カフェの「MATCHAFUL」が2018年にオープンしました。ここでは、静岡県で栽培された日本産の抹茶が提供されています。さらに、アメリカでは抹茶がオーガニック食品として認識され、ヘルシー志向のニューヨーカーに受け入れられているという背景もあります。
抹茶マシンを開発する「COUZEN MATCHA(空禅抹茶)」
COUZEN MATCHA(空禅抹茶)は、挽きたて抹茶の素晴らしさを提供することを目的に、抹茶マシンの開発と提供を行っている企業です。創業者の塚田 英次郎氏は、アメリカのサンフランシスコに出店した抹茶カフェ「Stonemill Matcha」で得た経験から、「コーヒーのエスプレッソマシンのように挽きたて抹茶を楽しめるマシンを作ること」に挑戦をし、抹茶マシンを開発しました。
有機栽培にこだわった茶葉を扱う「MATCHA KAORI JAPAN」
MATCHA KAORI JAPANは、抹茶や緑茶関連商品をメキシコ・ペルーなどの中南米地域に展開させている企業です。代表取締役の吉宮しおり氏は、自身のメキシコ在住経験から独自のネットワークによる販売網を構築しており、2014年にメキシコ、2021年にペルーへの進出を行いました。さらに、現在は香港やドバイ、アメリカなどでさらなる販路の拡大に挑戦しています。MATCHA KAORI JAPANはメキシコにおいて高いシェア率を獲得し、2023年の売上は4,000万円を見込んでいます。これは、ニッチな海外の市場に参戦し成功した日本茶ビジネスの事例といえるでしょう。
これからの「茶」の動向
これから日本の茶を売り出していく中で、大きく2つの方向性があるとされています。
①抹茶の売り出し
1つ目は、広く知られた「抹茶」をさらに売り出していく方法です。抹茶は世界的なブームを経験しており、その認知度も高いとされています。抹茶ラテというように大手カフェチェーンや加工食品メーカーで抹茶が使用されることに対応し、ターゲットに応じて抹茶生産を拡大する取り組みが戦略として考えられます。実際に、より収穫が多く、販売価格が高い抹茶の原料「てん茶」に生産を集中させた茶農家も少なくありません。
②「蒸製緑茶」の売り出し
もう一つは、「蒸製緑茶」の認知を広める方法です。これは、日本では主流でありながらも世界的にはマイナーとされる過熱方法で、まだ世界的に知られていません。そこで、この良さを日本の茶として伝える機会を増やし、蒸製緑茶の売り出しを狙うことも可能です。
まとめ
このように、日本の緑茶は国内では停滞気味ですが、海外での伸びしろを有しています。特に近年需要が急増するASEAN諸国への輸出は大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。これを機会に、ぜひ日本の緑茶の海外輸出にチャレンジしてみましょう。
緑茶を海外に輸出するなら『まるなげ貿易』
STANDAGEは独自の貿易クラウドサービスを使い、中小企業の貿易を”まるなげ”できるサービスである『まるなげ貿易』を提供しています。
『まるなげ貿易』はIT導入補助金の適用により、低コストでの海外販路開拓が可能です。大手商社ではなしえない小規模小額の貿易や、国内買取対応も可能なので、是非一度お気軽にお問い合わせください。