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日本では少子高齢化や人口減が進み、国内市場で十分な売上・利益や顧客確保が難しくなってきていることから、海外展開する企業が増加しています。アフリカやアジアでも拡大は大きくなり、その中でも東南アジアでの経済発展や富裕層も増えてくるとして世界中で注目の進出国となっています。しかし、海外進出は多くのハードルがあり、検討している企業でも「どのようなポイントを抑えれば成功に導かれるのか」や「どのような行動をとるべきか」に悩んでいます。そこで今回はこれから海外進出を検討している企業に向けて、「海外進出で成功するための行動や共通点」と「海外で成功した日本企業の事例」と合わせて紹介していきます。
「海外進出推移」と「成功率」
まずは、どれほどの日系企業が海外進出しているのかをみていきます。外務省のデータによると、日系企業の拠点数は全体的に5.17%増加し続けています。特にアジア地域での拡大が著しく、平成20年の38,380拠点から平成29年には約1.3倍となる52,860拠点に増加していることがわかります。海外進出している企業の成功率は、平均で30%〜40%程度です。輸出をしている企業のアンケートから、70%近くの企業が「売上高の増加」を経験し、約65%が「企業の将来性」に良い影響を与えたと回答している。また、約60%の企業が「利益の増加」を実現した。一方で、「経営管理の高度化」「資金繰り」「国内雇用の増加」に関しては、60%程度の企業が「どちらとも言えない/やや悪い」と回答しており、一定のリスクがあることが示唆される。
海外進出で「成功する企業」の共通点
では、成功している企業にはどのような共通点があるのでしょうか。海外で成功した企業には、以下の6つの特徴が共通しています。
①ローカライズ(現地化)を意識して戦略を立てている
進出や販売する国・地域やターゲット層に合わせ、「ローカライズするべきかしないべきか」を考慮する必要があります。ローカライズが必要な場合、食品ならば現地の「習慣」「文化」「規制」を考慮して味付けを現地好みに合わせる必要があります。また、宗教的・文化的に禁止されているものが多い場合は、「ハラル(ハラール)」「ヴィーガン」「ベジタリアン」といった現地向けに原材料を対応させる必要があります。一方、ローカライズをしない場合は、すでに現地で認知されている「商品」「店名」「日本製ブランド価値」を前面に出すことが有効です。
②ニーズを把握するための徹底した事前調査
次に、現地の市場ニーズを正確に理解するために、先に事前調査が必要です。この調査では、2つの異なる種類のニーズ、すなわち「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」が存在することを把握する必要があります。顕在ニーズは、消費者が自分たちにとって必要と感じている商品やサービスが何であるかを明確に自覚している場合のニーズです。このような場合、需要に合わせて適切に商品やサービスを提供することができます。一方、潜在ニーズは、顧客自身が気づいていない悩みや課題に関するニーズです。顕在ニーズを解決するための商品やサービスを提供することで、新たな顧客を獲得できる可能性があります。
③サポートしてくれる現地パートナーがいる
海外展開を成功させるためには、現地パートナーとの協力が欠かせないことが多いです。自社だけでは海外市場を理解することは非常に難しく、現地パートナーの知識やネットワークを利用することで、ビジネスを成功に導くことができます。
④自社の強みを再確認し、生かしている
4つ目に、現地顧客のニーズを把握すると同時に、自社の強みを再確認して、その強みを活かすことが必要です。商習慣やニーズに合わせて調整することで、顧客を獲得できる可能性がありますが、同じ方法を用いれば競合他社が参入してくる可能性があります。自社の商品・サービスの高品質、信頼性、迅速な対応、手厚いサービスやメンテナンス、実績などを把握し、それらの強みを活かすことで、自社の商品・サービスの価値を高めることができます。
⑤販売先を十分に確保している
また、売上を伸ばすためには、販売先を確保することが重要な要素となります。中小企業白書によると、売上が増加した企業の約60%は、販売先確保に十分に取り組んでおり、その結果として事業継続や拡大につながっているとされています。一方で、売上が伸びなかった企業の約70%は、販売先確保に十分に取り組んでいないか、取り組んでいるが上手くいっていないケースが多く見られました。
⑥コミュニケーションが取れる人材を現地に送っている
そして最後に、海外進出において、現地の文化、商習慣、常識を理解することが重要であり、そのためにはコミュニケーションに長けた優秀な人材を現地に送る必要があります。これは、経営やパートナー企業だけでなく、現地採用した人材の教育にも必要であり、市場調査や現地の消費感覚、課題点などの情報を把握するためにも重要です。ビジネスを進めるためには、日本人の感覚だけでなく、現地の感覚や文化を知る現地スタッフが不可欠であるため、成功への近道となります。
海外進出に成功した日本企業【成功事例】
実際に日本企業で海外進出に成功した事例を紹介します。
<企業事例> 株式会社ファミリーマート
1981年に日本で設立されたファミリーマート株式会社は、フランチャイズシステムを導入しており、大手コンビニエンスストア事業を展開しています。海外の進出国は台湾の3,056店舗が最も多く、その他の進出先はタイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、中国となっています。ファミリーマートが海外で成功を収める要因は、異なる文化における生産性の違いにあります。日本ではマルチタスクで効率的に業務を進めることが当たり前ですが、アジア諸国ではシングルタスクが一般的であり、複数の業務を同時にこなすことは珍しいことです。ファミリーマートは、教育の過程でリーダーとなれる人材を探し出し、彼らを中心にマルチタスクで業務の効率化を徐々に進めることで、海外でも成功を収めることができました。海外での進出において、現地の文化や習慣に柔軟に対応することが、ファミリーマートの成功の鍵となったのです。
進出前にやるべき行動
そして次に、実際に海外進出する際にやるべき行動を解説していきます。
失敗要因を把握と対策をしておく
日本企業が海外進出に失敗する理由は、単に資金力の不足にあるわけではありません。過去に失敗した事例を把握し、その原因を理解することが成功につながるポイントです。大手企業であっても失敗はあり得ることであり、中小企業やプロジェクトでも同じです。成功するためには、失敗の本質を理解することが重要であり、それが海外進出における成功の鍵となります。海外進出で過去に撤退した日本企業の要因として下記が挙げられます。
1位:環境の変化による販売不振(35.1%)
2位:海外展開を手動する人材の不足(22.2%)
3位:現地の法制度・商習慣の問題(19.3%)
4位:人件費の高騰等による採算の悪化(19.1%)
5位:従業員の確保・育成・管理の困難性(17.9%)
撤退時の基準やプランを明確に決めておく
海外進出企業が、何らかの理由で撤退を余儀なくされた場合、ダメージを最小限に抑えるためには、撤退実行計画を事前に明確に決定しておくことが必要です。撤退は、時間、労力、お金を必要とするため、即座に行うことができないことが多いです。海外撤退には、持ち分譲渡、破産、清算/解散の方法があり、合弁企業に進出した場合は、合弁会社の清算や持ち株の売却が必要になることがあります。撤退には、国や契約によって補償金や解約違約金が必要になる場合があるため、損失を最小限に抑えるためにも計画的な撤退が求められます。
現地規制・商習慣の違いを理解しておく
海外進出にあたっては、市場情報の収集が欠かせませんが、国や地域によっては規制や商習慣の違いがビジネスに大きな影響を与えることがあります。そのため、進出前には進出先の法律や規制、商習慣などを詳細に調査して、ビジネスの制約やリスクを把握することが必要です。進出先で法令違反を犯すと、厳しい罰則や取引停止、さらにはビジネスの信用を損ねることになりかねません。また、外国資本に対する制限がある業種もありますので、自社の進出形態やビジネスの内容に合わせて、外資規制が適用されるかどうかを確認することも大切です。
まとめ
本記事では、「海外進出で成功するための行動や共通点」と「海外で成功した日本企業の事例」について紹介しました。現在、少子高齢化や人口減少により確実に縮小している日本の国内市場は、ビジネス事業者にとって危機感を与えており、日本企業にとって海外進出の必要性はますます高まっています。そんな中、日本国内の市場の衰退から海外進出を検討する日系企業が増加しており、過去10年間で約1.3倍に増加しています。成功するためには販売先を十分に確保することが重要な要因となっています。そのためにも、パートナー企業の協力も欠かせないと考えられます。
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