化粧品販売の販路開拓の方法、市場の特徴は?

 

目次

    生活必需品である化粧品は、長らく景気に左右されない業界とされてきました。実際に化粧品業界出荷額は2012年以降、右肩上がりの傾向にあり、2019年度には過去最高を記録するという順調ぶりでしたが、新型コロナウイルスの影響やそれに伴うインバウンドの激減により、2020年に入ってから国内での需要が大きく落ち込みました。しかし新型コロナの流行からしばらくが経ち、各種制限も解除されつつある現在では、化粧品の市場にも上向きの変化が発生しています。そんな化粧品市場について本記事では、化粧品販売の販路開拓の方法、市場の特徴について解説していきます。

    化粧品市場の特徴

    販売チャネルの多様化

    化粧品業界で見逃せないトレンドの一つとして販売チャネルの多様化があります。従来では、百貨店やドラッグストア、その他量販店、訪問販売、通信販売などの販売チャネルが化粧品業界では主流でした。インターネットの普及による消費者の購買行動の変化を受けて、そこに、ネット通信販売などの無店舗販売が加わり、近年ではそこに加えてさらに、オムニチャネルやセレクトショップ、バラエティーショップでの販売が注目されています。オムニチャネルとは、オンラインストアや実店舗、販売・流通といった複数のチャネルを連携させて、総合的な販売チャネルを構築する手法です。どのチャネルからもスムーズな購入ができるようになることで、顧客にシームレスな購買体験を提供でき、結果的に顧客満足度の向上につながると期待されています。

    EC化が進まない

    他業界と比べて、EC化が進んでいないのも化粧品業界の大きな特徴かつ課題だといえます。ECの市場規模は年々拡大傾向にあり、2019年度の全産業のEC化率の平均は6.76%でした。これに対し、化粧品・医薬品の業界のEC化率は6%と平均を下回っている状況にあります。EC化が進んでいない背景については、主に四つの理由が挙げられます。一つ目は、「直接肌につける」「高額な商品も多い」という商品の特性から、実店舗でスタッフのアドバイスを受けながら選びたいというニーズが高いことです。次に若年層では低価格帯の商品の需要が高く、こうした商品を多く取り扱っているドラッグストアやバラエティーショップなど、店頭で購入する人が多いことです。三つ目の理由として、他の業界と比べて、化粧品・医薬品業界のデジタルマーケティングの難易度が特に高く、ECサイトでの売上が伸ばしづらい特徴があります。そして最後に、販売チャネルが多数存在することがEC化の障壁になっていることが挙げられます。

    国内ターゲットの減少

    現在日本の化粧品市場を考える上で考慮すべき特徴かつ深刻な課題は「少子化による人口減少」です。世界においても急速なペースで少子高齢化が進む日本では、今後も人口は減少していくと見られています。化粧品業界に限ったことではありませんが、国内ターゲットが減少する可能性が高く、従来型の戦略のままでは国内の売上高は縮小していく一方だと予想できます。現状を打破するには、新規ビジネスの開拓や事業のグローバル展開が必須になるといわれています。

    化粧品販売の販路開拓の考え方

    個人客への直接販売か、BtoB(サロンなど法人向け)販売か

    オリジナルの化粧品を販売しようとするとした時、ネットショップを立ち上げて個人に直接販売しようと考える方は非常に多いですが、よほど特徴を持った化粧品でない限り、世の中は既にありとあらゆる種類の化粧品であふれているため、一つの商品でネットショップを立ち上げても、アクセスが集まらず売れる可能性が低いです。自社のネットショップサイトとブログとSNSでも早々にうまく行きません。

    多くの場合、化粧品は、 広告出稿も含め、「買いたくなる気持ちを起こさせる」、「こんな商品があるよと知ってもらう場面を作る」 などのプロモーションが必要な商品だからです。それでは、どうやって売っていくか考える時、 まず決めるべきことは「個人客に直接販売するのか」「BtoBでサロンなどの法人向けの卸販売をするのか」です。それぞれにメリット、デメリットがあり、正解はありませんが 個人事業主の方はどうしても「BtoB」のビジネスに目がいかない傾向があります。しかし、一人のお客さんに買ってもらうよりも、 1つの取引先が開拓できた場合の方が、その先の売りの売り上げの大きさ、可能性の拡がりが大きいです。

    BtoBで卸販売する場合、自社サイトでも買えるようにするか

    卸販売先との付き合い方や、利益をどう考えるかによって、自社サイトでも製品を買えるようにするのかが変わります。こちらの選択にも正解はなく、卸販売先を大事にし、自社販売は一切しない、という考え方に立つこともできます。 以前は、多くのメーカーがこのスタンスだったでしょう。しかし、自社サイトでも買えるようにしておく方が多くの販売機会を獲得することになります。これに加え、使用者であるお客さまとの直接的なコンタクトを持てば、製品に対するフィードバックも得やすいです。購買者からの製品のフィードバックは、メーカーにとって大変大きなメリットです。商品のラインナップによっては、一部のみをネットショップで直接販売するという限定的な販売方法も考えられます。

    個人向けの直販を拡げるためには

    もし、利幅の関係で「個人への直接販売しかできない」という状況であれば、まずは価格の見直しが必要です。また、ターゲットのお客さま層を想定し、どの方法が一番有効かを考えながら、試供品の提供や、販売促進にお金をかけていく必要があります。個人への直接販売においては、「いかに知ってもらうか」「いかに使ってみたくさせるか」ということが重要で、そのためには、プロモーションがキーとなるでしょう。プロモーションの簡単な例として、画像を使ったネット広告や、スキンケア教室・イベントなどでの体験会、インフルエンサーやSNSの活用などが挙げられます。また、ネットでの集客を考える際には、着地点であるホームページ(商品の説明ページ=ランディングページ)の出来もとても大切になります。

    サロンや店舗などBtoB向けの直販を拡げたい場合

    既に一定の顧客を持ち、より顧客が求める売りやすい良い商品を求めているサロンや店舗はたくさんいます。どのような業種や規模の方を卸先に考えるかによって、そこへのアプローチの方法が変わってきますが簡単なアプローチ方法の例として以下のような方法があります。

    • リストアップしてDMを送る
    • バイヤーが商材を求めて探しに来る出展イベントに出る
    • 業界誌に広告を出す
    • 卸先とのマッチングサイトの活用

    まとめ

    本記事では、化粧品市場の3つの大きな特徴、化粧品販売の販路開拓の方法について解説してきました。現在の化粧品業界では、DtoCモデル(企業自身でECサイトを構築し、消費者にダイレクトに自社商品やブランドを訴求するビジネスモデル)が拡大傾向にあるため、社内にECサイトを運営するスタッフやWebマーケティングに詳しいスタッフを確保したり、ECサイトをより使いやすく魅力的なものにするなどの工夫がより大事になることもおさえれおくと良いでしょう。ターゲット顧客を理解した上で、ターゲット顧客に合った販路を開拓していくことが良いでしょう。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。