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日本の牛肉輸出市場は近年大きな成長を遂げています。2023年上半期の日本の牛肉輸出量は、2022年同期比22.2%増の257億9093万円となり、日本人の和牛離れが叫ばれる中で、日本の牛肉、特に和牛が海外での需要を高めており、和牛農家の海外展開も増えてきています。
この記事では、需要の高まる日本の牛肉の輸出を、現状、方法、そして注意点まで解説していきたいと思います。
牛肉輸出の成功事例
まず初めに、牛肉の輸出の成功事例を見て、海外でのビジネス展開をイメージしましょう。
近江牛の生産を手がける岡喜グループ
・年間出荷頭数の3分の1を輸出に割り当てていて、特に主力の市場であるタイに現地法人を立ち上げ、自社で販路開拓を行っている
・タイに設立された「オカキインターナショナル」は、日本人の営業担当者によって運営され、地元の飲食店に和牛肉を供給。これにより、商社を介さずに輸出し、価格で差別化を図っている
・オカキインターナショナルは、現地で高級和牛レストランも経営しており、輸出事業の収益性を高めるために他の部位も活用
兵庫県丹波篠山市の兵庫田中畜産
・ブランド和牛「神戸ビーフ」を生産し、フィリピンの高級レストラン「Wagyu Studio」などと取引
価格を抑えたり、また高級和牛のブランディングを行うことによって、他社との差別化を図っています。また、現地のレストランと契約を結ぶ方法もあります。
(朝日新聞デジタル:直後の競りで1300万円で落札 丹波篠山の但馬牛が最高の名誉賞)
主要輸出国と部位
日本の牛肉輸出の主要先行国は、香港、台湾、東南アジア、アラブ首長国連邦、アメリカ、シンガポールが挙げられますが、特に東南アジアのカンボジア、香港、台湾で急激に輸出量が増加しています。
カンボジアの輸出量は前年比で7割も増加し、前年では実績のなかったチルドも多く輸出されています。カンボジア向けと偽って申告し、香港に牛肉を輸出した不正輸出事件によって6月は大幅に売り上げが減少したが、それでも需要は衰えていません。
さらに、最近ではロンドンのショッピングモールに和牛専門の高級レストランが登場し、その美しい霜降り、豊かな風味、柔らかさといった特徴が高級食材としてアメリカ、アジア、そしてEUでWAGYU(和牛)を高級食材として扱われるようになっています。
部位としては牛肉のロイン(ロース肉)が主要な輸出品目で、チルド(冷蔵)およびフローズン(冷凍)で増加が見られました。また、他の部位(かた、うで、もも、バラ)もチルドで増加しています。
台湾の牛肉輸出量は42%増加し、ロイン以外の部位の需要が広がっているため、台湾に対しては多様な部位を輸出することが鍵となります。
牛肉輸出における手続き
牛肉輸出における手続きは以下のようなプロセスを要します。
①輸出可能地域の確認
・和牛の輸出は条件を満たした国に限られる(例えば韓国は輸出できない)
・輸出条件は国によって異なるため、希望の輸出国の条件を確認する必要がある
②輸出食肉取り扱い施設の確認
・和牛は認定された食肉処理工場でのみ処理・輸出が可能
・認定と蓄場は輸出国ごとに異なる
③動物検疫検査
・動物検疫検査に必要な書類は、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書、部位明細書、衛生証明書
・通関業者が申請書を作成し、農水省の動物検疫所へ提出
・検査官が現物と書類を照合し、問題がなければ輸出検疫証明書を発行
④輸出通関
・輸出通関に必要な書類にはインボイス、パッキングリスト、原産地証明書、AIR WAYBILL、SEA WAYBILL、輸出検疫証明書が含まれる
・輸出通関申告書を作成し、税関に提出
・審査が完了し、問題がなければ輸出申告許可書が発行される
⑤牛肉の輸出梱包について
・海上輸送ではリーファーコンテナが鮮度維持に役立つが、物量が必要
・トライオールとドライアイスを使用して鮮度維持が可能
・真空パックされていると、品質が比較的保たれる
⑥輸出する牛の月齢について
・月齢30ヵ月以下を条件とする国がある(BSEリスク回避のため)
牛肉輸出まとめ
日本の牛肉は、コロナが終息したことによってアジア圏で爆発的に求められています。また、和牛という言葉は英語でもよく使われ、高級食材として海外での需要が高まっているため、ブランディングなどで効率的に牛肉の海外輸出を行いましょう。
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