お菓子を輸出する手段は?流れと注意点を解説

 

目次

    ビジネスチャンス!なぜ今日本のお菓子輸出がキテるのか?

    チャンスという文字を指差す人

    日本のお菓子を海外に販売することは、安価で仕入れがしやすく、海外での人気が高いだけでなく、販路の拡大や賞味期限の長さ、高額で取引される可能性も考慮に入れると、多くのメリットがあります。日本のお菓子が世界で愛される理由と、今後の成長に期待される展望を見てみましょう。

    日本のお菓子は評価が高いから

    日本のお菓子は世界的に高い評価を受けています。日本独特の風味や品質、可愛らしいデザインが外国人に人気を博しています。また、日本人特有の丁寧なサービスが外国の顧客に大きな魅力となり、日本文化を体現するような接客やパッケージングが高く評価されています。さらに、日本独自の和菓子やキャラクターグッズは海外での人気が高く、ニッチな市場での成功が期待されています。海外ではまだ日本のお菓子が手に入りにくい場所が多いため、販路を拡大することができます。

    アジア太平洋州を中心とした市場の拡大のため

    新型コロナウイルスの影響により世界中で自宅で過ごす時間が増えたため、世界中のお菓子市場が拡大しています。地域別で見ると、アジア太平洋州が全世界の82%を占めており、特に中国への輸出規模が非常に大きくなっています。中国市場は非常に有望な市場と言えます。

    安価で仕入れがしやすいから

    日本のお菓子は、コンビニエンスストアやスーパーなどで手軽に入手できるため、安価な価格で仕入れることが容易です。この低コストな仕入れは、販売価格を抑え、大量仕入れにも対応できるため、大きな利益を見込むことができます。

    ただし、個々の商品の単価が低いため、少量の販売では利益を上げるのが難しい点に留意しましょう。また、お菓子はリピーターを獲得しやすい商品です。売れ筋商品をリサーチしてから販売することで、継続的な購入を期待できるでしょう。

    賞味期限が長く長時間の発送に適しているから

    お菓子は賞味期限が比較的長いため、長時間の国際発送にも適しています。海外への発送は通常数週間かかることがありますが、お菓子の賞味期限は数ヶ月にわたるものが多いため、届ける際の品質面での心配を軽減できます。

    高額で取引される可能性があるから

    日本のお菓子には地方でしか購入できないレアな商品や期間限定の商品があります。これらの希少性が高い商品は、コレクターなどから高額で取引されることがあります。地方でしか販売されていないお菓子でも、Webを使うことで容易に仕入れできるケースがあります。このため、希少性が高いお菓子を出品することで、より高い利益を狙うことができます。

    5つの販売方法

    パソコンを操作する人

    日本のお菓子を販売する方法は大きく分けて5つあります。それぞれの特徴があるのでしっかり把握して自分に合った方法を選択してください。

    方法① 越境ECプラットフォーム(Amazon、eBay)の利用

    越境ECプラットフォームは日本にいながら海外向けに商品を販売できるサイトです。既に構築されたプラットフォームに出品するため、自ら集客を行う必要はありません。利用者は商品の説明文や販売価格などの情報を入力するだけで簡単に出品できます。

    ただし、越境ECを利用する際にはいくつか注意点があります。まず、初期費用がかかる可能性があること。各プラットフォームによって異なりますが、利用開始に際して一定の費用が必要な場合がありますので、これを把握しておく必要があります。

    また、商品が購入された際の手数料も考慮しなければなりません。売上に対して手数料が引かれることで、利益が減少する可能性があるため、手数料の率や計算方法を理解しておくことが重要です。

    さらに、越境ECプラットフォームを選ぶ際には、自分の販売したい国に合わせた適切なプラットフォームを選択することが重要です。例えば、アメリカ向けならAmazonやeBay、中国向けならタオバオや天猫国際などがあります。

    一つの成功例として、株式会社ICHIGO(イチゴ)が展開するサブスクサービスが挙げられます。世界180カ国に向けて日本のお菓子や雑貨を販売しており、主なサービスは「TokyoTreat(トウキョウトリート)」と「Sakuraco(サクラコ)」です。TokyoTreatでは、大手メーカーの商品を中心に15~20種類の日本のお菓子、スナック、ヌードル、飲料、菓子パンなどを詰め合わせ、毎月テーマを変えて提供しています。一箱の価格は32.5~37.5ドル(約4400~5100円)です。Sakuracoでは、地方の老舗和菓子メーカーの伝統的なお菓子に加えて和雑貨も詰め合わせています。

    プラットフォームの例

    こちらにいくつかのECプラットフォームを紹介します。ターゲットの国や人によってどのプラットフォームを使用するか検討しましょう。

    <EC例①>Amazon

    Amazonはもともとアメリカ生まれのサイトであり、会員数もアメリカの人が多いです。日本からもアメリカのAmazonに出店でき、日本製品を売ることが可能です。新品商品が売れやすい傾向がありますが、中古商品も売れることがあります。日本語対応しており、Amazon輸出のブームも一時的にありました。市場は飽和状態と言われることもありますが、工夫次第で十分利益を出すことができます。

    <EC例②>eBay

    eBayは2022年9月1日現在、190ヵ国に商品を出品できる世界最大級の越境EC・ネットオークションサイトであり、日本のヤフオクの世界版です。日本の製品は特に文房具、CD、釣り具、お菓子などが人気で、100均の商品も海外でお土産として人気があります。オークションなのでマイナーな商品でも希少価値が高い場合、コレクターによって高値で落札されることもあります。

    <EC例③>タオバオ

    タオバオとは中国IT最大手、アリババグループが設立したオンラインショッピングモールです。消費者対消費者のCtoC型を軸としており、会員数は5億人以上に上ります。タオバオへの出店には中国の銀行口座が必須です。しかし、タオバオでは外国企業も出店しています。それは「出店代行」というサービスを利用しているからです。出店代行とは、専門の代行業者に出店を依頼することで、日本からでもタオバオへの出店が可能になります。代行業者は条件をクリアしており、銀行口座開設などを代行してくれます。

    方法② ネットショップ

    海外でお菓子を販売する方法として、ネットショップの開業があります。ネットショップ作成サービスを利用すれば、サイト構築のスキルが不要で、必要な機能を選ぶだけで自社サイトを作成できます。初期費用無料のサービスもあり、低リスクで日本のお菓子を海外に販売できます。国内のサービスとしてはBASEやカラーミーショップなどがありますが、初めて利用する場合は初期費用がかからないものを選び、リスクなく始めることができます。ただし、集客は自分で行わなければならないため、軌道に乗るまでには苦労する可能性があります。

    方法③ 自社サイト

    自社ECサイトを構築する方法を選択することで、海外に日本のお菓子を販売することが可能です。ネットショップのデザインテンプレートを利用する場合は細かな設定が限られますが、自社ECサイトでは0から作成するため、デザインや機能の細かい設定が可能です。越境ECのように販売手数料がかからないため、売上をすべて受け取ることができます。

    ただし、自社ECサイトの構築にはHTMLやCSSなどの専門スキルが必要です。外注する場合は高額な初期費用がかかるため、注意が必要です。スキルを持つ従業員の育成やプログラミングの知識を持つ人材の採用を検討することも重要です。自社ECサイトを構築することで、自由なカスタマイズや海外販売の可能性が広がりますが、慎重な計画と投資が必要です。

    方法④ 現地の販売店の利用

    日本のお菓子を現地の販売店で販売する方法もあります。実店舗での販売により、外国人が直接手に取ってお菓子を確かめたり、店員から直接魅力を伝えたりできるため、売れる可能性が高まります。

    ただし、現地の販売店での販売には交渉が必須です。販売先との信頼関係を築くために、実績を持つことは重要ですが、同時に現地の言語でのコミュニケーションが欠かせません。語学力がないとビジネスがうまく進展することが難しいでしょう。

    方法⑤ SNS

    Instagramでの販売を行う際には、有名なSNS「Instagram」を活用し、マニアックな商品や自作系商品を販売することが可能です。ただし、個人のアカウントと販売用のアカウントは分けることが重要であり、商品と個人のツイートを混在させないように注意しましょう。販売にはPayPalを使用してお金のやり取りを行い、お互いの口座情報やクレジットカード情報を安全に秘匿することができます。Instagramでは商品ページを作成し、カートに入れる機能も導入可能です。これらの手順を守って、効果的かつ安全なInstagramでの販売を行いましょう。

    実際の手順

    敷き詰められたラムネお菓子

    日本のお菓子を海外に輸出するには6つのステップがあります。基本的には国内転売と変わらず、比較的簡単に進めることができます。すでに国内転売を行ったことがある方は特にスムーズに開始できるでしょう。

    ステップ① 売るお菓子を決める 

    輸出ビジネスを始めるにあたり、海外向けに販売するお菓子を決定します。需要があるかどうかを確認するため、SNSや海外ECサイトの検索機能を利用して売れ筋商品をリサーチしてみましょう。

    ステップ② お菓子を仕入れる

    販売するお菓子を仕入れる際には、地域のコンビニエンスストアやスーパーで調達します。また、自分の地域で販売していないお菓子を購入する場合は、Webを活用して仕入れることも可能です。在庫処分やセールなどを利用して、コストを抑えることを心掛けましょう。

    ステップ③ 販売先のプラットフォームを決める

     輸出先のプラットフォームを選定します。初心者向けには越境ECサイトの利用がおすすめです。既にユーザーが存在し、集客に手間がかからないため、効率的に販売が可能です。将来的には、ネットショップや自社サイトも検討しましょう。

    ステップ④ 出品する

    販売先のプラットフォームにお菓子を出品します。利益を考慮して販売価格を設定する際には、海外への送料や関税も考慮しましょう。適切な価格設定により、十分な利益を得られます。

    ステップ⑤ 決済されたら発送をする 

    商品が購入されたら、海外に向けて発送します。国内と同様の手続きで郵便局や配送業者に依頼し、お菓子を届けてもらいます。国や地域による規制を確認し、追跡サービスを利用して配送状況を把握することで、顧客に安心感を提供しましょう。

    ステップ⑥ 入金を確認する 

    商品の配送が完了したら、入金を確認します。万が一入金がない場合は、購入者やサポートセンターに連絡して確認してください。入金確認後は利益を獲得し、さらなる事業拡大や仕入れに活用しましょう。

    お菓子を海外輸出する上での注意点

    注意と書かれたコーンが乗ったパソコン

    最後に日本のお菓子を輸出する上でいくつかの注意することを確認しておきましょう。海外に輸出するにおいてこれらの点を守ることは非常に重要になります。

    注意点① 法律・制度を確認する

    海外輸出には、国によって異なる法律・制度に対応する必要があります。日本から海外への輸出に際しては、日本の輸出規制や輸出許可が必要な商品があるかを確認しましょう。また、販売先の国の輸入規制や食品衛生基準なども把握しておき、適切に商品を送ることが重要です。これにより、商品が輸出入できない問題を回避し、スムーズな取引を行うことができます。

    注意点② 為替変動への対応

    為替変動は輸出ビジネスにおいて重要な要素です。為替相場の変動によって売上や利益が影響を受けることがあるため、為替リスクの管理が必要です。為替予約を検討したり、為替ヘッジを行うことが有効です。また、価格設定の検討も重要です。為替変動によって価格が変わる可能性を考慮して、適切な価格設定を行いましょう。

    注意点③ 外国語でのコミュニケーション

    海外販売を行う際には、外国語でのコミュニケーションが重要です。言葉の壁を乗り越えるために以下の点に留意してください。まず、自国の言語でコミュニケーションが難しい場合は、翻訳アプリや外国語対応スタッフの雇用を検討しましょう。しかし、翻訳アプリを使う際には、正確な意味が伝わるように注意してください。顧客とのコミュニケーションがスムーズかつ信頼性のあるものとなるよう、外国語サポートに十分な配慮をお願いいたします。

    注意点④ カントリーリスクとトラブル対応

    海外販売には様々なカントリーリスクが潜んでいます。予期せぬトラブルに対応するために、相手国の状況把握(政情や治安など)を常に行い、トラブル発生時の対応策を準備しておきましょう。また、信頼性の高い配送サービスを選定し、トラブルが発生した場合の対応策も確認してください。これらの対策を講じることで、海外販売のリスクを最小限に抑え、円滑な取引を実現できるでしょう。

    注意点⑤ 各国によって異なる輸入規制

    各国には異なる輸入規制があります。特にアメリカでは、対共産圏輸出規制委員会(COCOM)およびワッセナーアレンジメント(WA)という国際的枠組みを根拠に、国家安全保障を目的とした輸出規制が行われています。米国輸出管理法は「再輸出規制」を行い、米国から輸出された製品、部品、技術、ソフトウェアが第三国に再輸出される場合も米国法の規制を受けることになります。したがって、アメリカへの輸入を考える場合、これらの規制を遵守することが重要であり、規制違反は罰金や将来的な取引の制限などの厳しい措置が課される可能性があります。

    注意点⑥ 日本からの輸出禁止商品の確認

    海外販売を行う際には、日本が指定している輸出禁止商品に留意してください。特に、著作権などの知的財産権に関わる商品は慎重に取り扱う必要があります。輸出禁止とされている商品や特許権、商標権を侵害する可能性のある商品についてリストを確認し、違法な商品の販売を避けてください。

    以上の点を踏まえ、日本のお菓子を海外輸出する際に成功するためには計画的な準備と注意が必要です。信頼性の高いパートナーを選ぶことやトラブルへの対応策の準備など、慎重に検討してお菓子の海外輸出に挑戦してみましょう!

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。