世界が求める日本産イチゴ、輸出戦略と注意点

 

目次

    なぜ日本産イチゴが海外で注目されているのか? その理由と、成功事例、最新の技術、そしてあなたの農場も海外へ進出するためのサポート情報をご紹介します。

    日本のイチゴが海外で人気である理由

    日本のイチゴはその品質の良さなどから海外で大きな人気を誇っています。高品質な味わいは、日本産イチゴが甘さとみずみずしさにおいて世界一と評価される理由です。

    日本のイチゴ農業は約300種の品種を持っており、消費者はさまざまな味やテクスチャーのイチゴを楽しむことができ、また季節や個人の好みに合わせて選択できます。また、技術革新と継続的な品種改良により、甘みが強く、大粒で美しい新しいイチゴ品種が市場に次々と登場しています。さらに、促成栽培技術など、高度な農業技術が採用され、一年中高品質なイチゴが供給されています。

    品質管理と鮮度保持も重要な要素です。日本の農業者は、イチゴの品質を維持するために独自の包装容器や輸送方法を導入しており、これにより、海外への輸送でも新鮮さが保たれ、消費者に最高の味わいを提供できます。

    主要輸出先国とその需要

    主要な輸出先国はアジアを中心に位置しており、台湾、香港、中国、韓国、シンガポール、タイなどが挙げられます。これらの国々では、日本産のイチゴが贈り物や高級デザートとして高く評価され、需要が急増しています。さらに、外国人観光客が日本でイチゴ狩りを楽しんで、その美味しさを体験することで、輸出イチゴに対する関心も高まっています。

    イチゴ輸出成功事例とその戦略

    熊本市出身の森川さんは白イチゴの「淡雪」という珍しい品種によって、海外事業で成功を収めました。品質と見た目にこだわって紅白セットや花束イチゴなどの斬新な商品を開発し、また輸出にも力を入れ、香港を最初の輸出先としました。その後シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、アメリカ、ドバイなどへと拡大していきました。

    彼は取引先との信頼関係を大切にし、卸値の変更をしない方針を貫いています。森川さんのイチゴは見た目の美しさと高品質で評価されており、その秘密は厳格な選果基準と特別な容器も採用しています。また、鮮度の良さも注目すべき点で、兵庫県淡路市と三重県伊勢市に農場を持ち、国際空港へのアクセスを活かして朝どれいちごを世界に送り出しています。

    さらに、森川さんは輸送費の節約とリスク分散のため、他県にも農場を建設中で、建屋面積1ヘクタールの規模を選んでいます。これにより、コンテナに満載できる生産量を確保し、輸送費を抑える計画です。コロナ禍においては苦境に立たされましたが、飛行機の便数が回復する中、輸出量もほぼ元通りに戻っています。

    ただし、アメリカへの輸出には課題があり、高騰する輸送費の問題を抱えています。森川さんは今後、日本産イチゴの需要を活かして輸出先を増やし、海外にも農場を持つ計画を進めています。ハワイのオアフ島での観光農園の設立を計画し、国際的な知名度を高める一方、アメリカへの輸出も強化していく考えです。

    香港で人気の日本産イチゴ専門店

    油麻地果欄(フルーツマーケット)は100年以上の歴史を持ち、いまでも200以上の果物店が軒を連ねています。ピークの日はイチゴが1日5千箱ほど売れるそうで、日本産のイチゴは特に目を引きます。

    福岡県産の「あまおう」は1箱2パックで80香港ドル(約1100円)です。

    佐賀県産の「さがほのか」(80香港ドル)や熊本県産の「ゆうべに」(90香港ドル)も店頭に所狭しと並んでいます。さ

    らに、熊本産の「恋みのり」(100香港ドル)、和歌山県産の「まりひめ」(130香港ドル)、奈良県産の「古都華」(160香港ドル)など高級イチゴも好評です。

    香港は日本の農産物・食品の輸出先として、2018年まで14年連続で1位に輝いていました。これは収穫から24時間以内に消費者の手に渡る新鮮さが、人気の秘訣とされています。

    ただし、人気が高まるにつれ、中国産を日本産と偽って販売する業者も増えています。段ボールにあるJAのマークと、出荷日時を示すスタンプを確認して買う人が多いようです。

    イチゴの輸出における注意点

    果物を輸出する際には丁寧さや鮮度など、注意が必要な点がたくさんあります。特に費用を抑えるためにコンテナを使用する人が多いと思いますが、しっかりと冷却されているかなどを確認して輸出するようにしましょう。

    ・輸送時間と鮮度の重要性: 輸送距離が長く、通関や検疫手続きが必要な輸出では、鮮度を保つために輸送時間を短縮する必要があります。航空輸送や海上輸送(コンテナ船や国際フェリー)を活用することが考えられますが、国内輸送も輸送日数の管理が必要です。

    ・衝撃対策: 航空輸送や海上輸送では、積み降ろしや離着陸による衝撃が発生することがあります。緩衝材を活用することで品質を保つ対策が有用ですが、追加費用と品質のバランスを考慮する必要があります。

    ・コールドチェーンの整備: 海外ではコールドチェーン(温度管理体制)が整備されていない場合が多いため、温度管理が必要な農林水産物や食品の輸出にはコールドチェーンの整備が必要です。

    ・包装資材の選定: 品質維持には適切な包装資材の選定が重要です。大型機材と包装資材の組み合わせを最適化する必要があります。

    ・輸送コンテナの性能: 鮮度保持に役立つ海上や航空コンテナの技術が進化しており、輸出品の特性に合わせた導入を検討する必要があります。

    ・小口荷物の集荷: 物流の効率化のために一定以上の荷量を確保することが重要で、関係者が連携して小口荷物の集荷を行うことが提案されています。

    日本産イチゴ輸出成功のまとめ

    日本産イチゴ輸出成功のまとめとして、船便を利用した低コスト輸送、今後のイチゴ輸出産業の展望、台湾やタイなどの新市場への進出、および、国際連携によるビジネスチャンスの創出が挙げられます。是非、この記事をきっかけに、日本産イチゴ輸出産業に関心を持ち、さらなる情報収集や関連イベントへの参加を検討してみてください。

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