海外市場での販売代理店の選び方。契約のポイントを解説

 

目次

    海外との取引を行う

    海外に自社の製品を輸出する方法として、

    商社などの仲介に業務を委託せず自社で取り組む直接貿易形態、商社などの仲介に委託する間接貿易形態、

    海外の代理店や販売店と契約を行った後に、自社製品を海外に販売するために取引する代理店・販売店取引形態があります。

    販売代理店取引のメリットとデメリット

    販売代理店を利用する目的として、自社製品を自社が海外拠点を有さずとも、

    海外に販売・展開していくことが挙げられます。以下に販売代理店のメリット・デメリットについて紹介していきます。

    販売代理店のメリット

    海外貿易の際に販売代理店を利用するメリットについて、以下の要素が挙げられます。

    ①地域の知識とネットワークの活用

    販売代理店はその地域の市場に精通しており、顧客や卸売業者とのネットワークを持っています。これにより、新規市場での販売促進活動が効率的に展開できます。

    ②現地法規制の遵守

    海外市場では現地法規制に従ってビジネスを行うことが求められますが、販売代理店はその市場での法規制に精通しています。そのため、法的問題を避けることが可能となります。

    ③販売活動の効率化

    販売代理店は販売業務全般を担当し、メーカーや輸出業者は製品開発や生産に集中することができます。これにより、ビジネスの効率化が図られます。

    ④現地言語・文化バリアの解消

    販売代理店は現地言語に堪能であり、文化的な違いにも理解があります。これにより、コミュニケーション障壁を減らし、スムーズなビジネス展開が実現できます。

    販売代理店が提供するサービスの例:

    – 営業活動

    – 顧客対応

    – 現地の宣伝・販促活動

    – 在庫管理

    – 返品対応

    – 請求・回収業務

    ⑤ブランドの地域化

    販売代理店は現地市場への製品適応をサポートし、ブランドイメージの構築や強化に役立ちます。具体的には、現地市場のニーズや嗜好に合わせた販売戦略を展開したり、競合他社との差別化を図ることができます。

    ⑥リスクの軽減

    販売代理店を利用することで、輸出業者は在庫や資金を大幅に投入せずに市場開拓ができます。また、代理店が販売に関するリスクを負担することで、業者自身のリスクも軽減されます。

    販売代理店のデメリット

    海外貿易において、販売代理店を利用することは一般的な方法となっていますが、デメリットも存在します。本記事では、海外販売代理店を利用した際のデメリットに焦点を当てて考察します。

    ①製品のアピール不足

    代理店が取り扱う商品数が多い場合、自社製品のアピールが十分でない恐れがあり、他社製品との競合も避けられません。また、代理店が全ての商品に目を配れないことから、自社製品への効果的な販売プロモーションができない可能性もあります。

    ②利益分配の問題

    代理店との取り引きでは、商品価格設定や利益分配が重要で、折衝により総利益が減ることもあります。また、代理店が自社製品へのプロモーションが不十分なのに、利益分配が高すぎる場合も存在します。

    ③品質管理の問題

    海外販売代理店を通じて販売される製品の品質管理は、直接手を打たない限り企業にとって制御が難しいことが多いです。不具合や品質問題が発生した場合、原因特定や対応が遅れることがあり、顧客満足度やブランドイメージの低下に繋がることがあります。

    ④情報共有の遅延

    自社と代理店の間での情報共有が遅れることがあり、特に関税や輸出入規制等の法規制変更に対応する際、情報の遅れはビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。

    ⑤言語や文化の壁

    販売代理店とのコミュニケーションでは、言語や文化の違いが障壁となり、誤解が生じることがあり、効率的なビジネスができないケースもあります。

    海外代理店の探しかた

    具体的にどのようにして海外販売代理店を探していくか、紹介していきます。

    第1に、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)に相談する方法です。

    JETROは、日本の貿易の拡大を目的として日本企業の海外展開を支援しています。

    海外で調査する「海外ミニ調査サービス」や海外の生産や販売パートナーを探す

    「TTPP(国際ビジネスマッチングサイト)」などを提供しています。

    販売代理店支援を行っていますので、無料で受けられるカウンセリングで相談してみるのも良いでしょう。

    取引先国が決まっている場合、その国の駐日大使館に行き、相談を受けるという方法もあります。

    代理店経由で販売拠点を設けたい旨を伝えると、相談に乗ってもらえることもあります。

    また、大使館によっては、担当部署から販売代理店リストをもらえる場合もあります。

    もうひとつの手段としてwebサイトで探すという方法があります。

    ビジネスマッチングサイトを利用したり、英語で「Agent」(代理店)や「Distributor」(販売店)と検索することで、

    費用を抑えつつ販売代理店を見つけることができます。

    海外代理店を探す際のコツ

    海外貿易において、適切な販売代理店を選ぶことは、ビジネスの成功に大きく寄与します。適切な代理店を選ぶことにより、効率的なビジネス展開が可能となり、新たな市場の開拓に成功することで利益が向上します。そこで、販売代理店を選ぶ際に注意すべきポイントを解説していきます。

    ①信頼性

    まずは、代理店の実績と信頼性を確認することが重要です。過去の取引実績や他社からの評価を参考にし、相手が自社の製品やサービスを適切に販売してくれるかを見極める必要があります。

    ②市場に対する理解度の評価

    次に、代理店の市場に対する理解度を評価します。自社の製品やサービスがどのような顧客層に受け入れられるかを理解している代理店は、市場開拓の効率が向上します。

    ③販売ネットワーク

    また、代理店の販売ネットワークが広範囲に及ぶかどうかを確認しましょう。幅広いネットワークを持つ代理店は、多くの顧客にアプローチできるため、より多くの販売機会を得ることができます。

    ④コミュニケーション

    代理店とのコミュニケーション能力も重要です。言語や文化の違いを理解して円滑なコミュニケーションができる代理店を選ぶことで、ビジネスの円滑な進行が期待できます。

    ⑤独占契約の検討

    最後に、独占契約を結ぶかどうかも検討するべきです。独占契約を結ぶことで、代理店は自社の製品やサービスに専念し、競合製品の販売から遠ざかりますが、同時に他の代理店との契約ができなくなることを考慮する必要があります。

    販売店と代理店の違い

    以上で販売店と代理店を「販売代理店」と記載してきましたが、両者には法律的な違いがあります。

    販売店(ディストリビューター)は、売主から商品を購入し、売買契約の当事者として顧客に転売します。

    販売店は転売差益を得られる一方で、在庫リスク・信用リスク等を負います。

    一方で代理店(エージェント)は売主に顧客を紹介したり、本人を代理して、顧客に商品を販売します。

    代理店は、かかる販売活動の対価として、手数料(コミッション)を得られます。

    そのため、代理店は商品に関する責任や、在庫リスクを負いません。

    また、業界や商品によって、販売店や代理店の期待利益水準は異なりますが、販売店の方が大きなリスクを負うため、

    利益水準を高く設定していることが多いです。

    代理店と販売店の違いに注意しつつ、販売代理店を見つけて行きましょう。

    貿易を始めるなら『デジトラッド』

    今回は「海外市場での販売代理店の選び方。契約のポイントを解説」についてお届けしました。

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    伊藤忠商事出身の貿易のエキスパートが設立したデジタル商社STANDAGEの編集部です。貿易を始める・持続させる上で役立つ知識をお伝えします。