海外進出・輸出入での為替リスクとは?円高・円安の影響は?

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そもそも為替リスクって?

為替リスクとは、外貨建取引におけるリスクのことを指します。
為替変動リスクや、外国為替リスクとも呼ばれています。

為替リスクとは

為替リスクとは、「為替相場が変動することによって起こるリスク」を意味します。
ここでいうリスクとは、「不確実性があること」です。

円と外貨の交換相場は、国の経済政策、経済状況や世界情勢によって日々変化しています。

為替リスクの種類

為替リスクには以下の3つの種類があります。

  • 換算リスク
    財務諸表上に外貨立資産や負債を計上している場合において、為替相場の変動によって会計上の損益が発生します。そのため、取引をするまではキャッシュフローには影響のない為替リスクとなっています。
  • 取引リスク
    外貨建取引において決済するときの為替相場によって収益が変化するリスクです。
    そのため実際のキャッシュフローに影響します。
  • 経済リスク
    為替相場の変動が経済に影響を与えるリスクのことで、採算性や競争力など、企業の構造そのものに影響を与えます。

円高による影響

円高とは、他の通貨に比べて円の価値が高くなることを意味します。
円高はメリット・デメリットの両方の側面を持ちます。

メリット

円高のメリットは、海外製品や海外のサービスが安く手に入ることです。
特に輸入を主に行う企業は、海外の製品やサービスを安価に日本市場に提供することができます。

デメリット

一方、輸出企業にとっては、外貨を円に換算する際に円安時と比べて利益が減少してしまうデメリットがあります。この差額を補填しようと、販売価格を上げると、海外での売上が減少してしまうというリスクがある。

円安による影響

円安とは、他の通貨に比べて円の価値が低くなることを意味します。円安はメリット・デメリットの両方の側面を持ちます。

メリット

輸出企業にとって、外貨を円に換える際に円高の時と比べて利益が上がり、すでに利益を得ている分、海外での価格を下げることができるので、製品やサービスの売り上げを伸ばすことができます。

デメリット

円安によって、輸入企業や消費者には、海外の製品やサービスが割高になってしまうというデメリットがあります。輸入企業は日本市場における競争力が下がってしまい、消費者にとっては海外製品の物価が上がるため、購買力が低下してしまいます。

為替リスクへの対策

企業の海外取引が格段に増加している今日の社会において、外貨同士で取引をする際の為替リスクは避けることができません。
売掛金の回収期間における為替変動リスクや、外貨を多く持つ企業の為替リスクへの対策が必要です。

為替予約

為替予約とは、決まった期日に取引する通貨の種類と値段の売買を銀行に予約することを言います。
為替予約をすることで、取引当日の変動リスクを回避することができます。

為替予約は、銀行の事前審査が必要になっているため、取引前に銀行に相談しておく必要があります。

通貨スワップ

通貨スワップとは、外貨同士の間の金利と元本を交換する取引を言います。
例えば日本企業が円建て社債を発行し、通貨スワップで米企業のドル金利と交換することで、ドル金利を受け取って円金利を支払うことができます。

通貨オプション

通貨オプションとは、ある特定の通貨を前もって決められた期間や期日に、前もって定めてあった為替レートで売買できる取引のことを言います。コールオプションという外貨を買うオプション、プットオプションという外貨を売るオプションがあります。

まとめ

為替リスクとは、外貨建て取引で為替相場の変動によって損益が生じる不確実性を指し、主に以下の3種類があります。

換算リスク:外貨資産や負債を円換算する際に生じる会計上の影響

取引リスク:決済時の為替レートで収益が左右されるリスク

経済リスク:為替変動が企業の採算性や競争力に影響し、構造変化を迫るリスクです。

円高は輸入コスト低下というメリットがある一方、輸出の採算が悪化するなどのデメリットもあります。

こうした為替リスクへの対応として、為替予約(ヘッジ)や取引通貨の見直し、決済条件の工夫などが重要です。実務に入る前には、一度専門家に相談することをおすすめします

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