医療機器で海外市場参入を成功させるための知識・成功事例とは?

 

目次

    医療機器の世界市場における売上高上位10社は全て欧米企業であり、国内企業は名を連ねていません。国内企業が世界市場で低迷している理由としては、日本の医療機器メーカーの約65%が中小企業であり、売上規模が1,000億円を超える企業は全体の10%余りに過ぎないという産業構造の問題が指摘されています。 また、日本企業の海外進出戦略にも問題が指摘されている状況です。

    このように、医療機器市場は市場成長率が高いにもかかわらず、国内の医療機器メーカーは、欧米の強力な競合他社に押されているという現象が観察されています。このような違いは主に欧米の医療機器メーカーの優れた国際進出戦略に起因しており、これを補完するためには、国内の医療機器メーカーも効果的な海外進出戦略を策定して輸出対象国の課題を解決し、その国の市場に深く入り込む必要があります。 これにより、欧米企業に負けないように海外シェアを増やしていくことができると思われます。

    しかし、また顕著な事実は、医療機器の主な取引先はヨーロッパとアメリカですが、ASEANでも国民の生活水準が上昇し、健康と医療に対する関心が急速に高まっていることです。 このような傾向により、医療費支出が増加し、それに伴い医療機器市場も拡大しています。 しかし、このような成長にもかかわらず、撤退後もPL法(製造物責任法)による事後管理問題が発生する可能性があるため、ASEAN市場が成長しても軽率に進出することは望ましくありません。海外進出が国内事業よりも大きなリスクを伴う決定であるため、このような決定を下す前には必ず慎重な検討が必要であることを忘れてはなりません。 この記事では、ヨーロッパとアメリカの医療機器会社の海外進出戦略について検討した後、海外進出のメリットとリスクについてご紹介します。

    海外医療機器メーカーの海外進出戦略

    ヨーロッパとアメリカの海外販売戦略を見ると、彼らが製品のローカライズと付帯サービスの提供に非常に集中していることが分かります。GEは、インド市場に合わせて価格を引き下げ、デザインを大幅に簡素化し、小型軽量化した心電計を800ドルで販売しました。 また、中国などの農村地域の診療所を対象に、ノートパソコンに超音波プローブと先端ソフトウェアを搭載した携帯型超音波診断機を低価格モデルとして販売しました。 このような低価格モデル中心の製品開発戦略は、ますます大きくなっている新興国市場で高い市場シェアを確保するために効果的に作用しました。 これは、海外市場のターゲット消費者の消費傾向と経済力、好みのデザインなどを徹底的に分析し、それに合った製品を開発し、マーケティング戦略を策定しなければならないという意味を含んでいます。

    また、人材育成プログラムの提供も重要な戦略の一つです。Novartisは機器販売と共に、眼科医に最新の手術技術を含む包括的な白内障治療教育を提供しました。GEは各国の政府、教育機関などと協力し、インド、中国、ブラジル、ヨーロッパ、アメリカ、日本などで行った教育実績を基に、全世界で約200万人以上の医療スタッフに教育の機会を提供しました。 これは、過去5年間、海外市場向けの教育事業に10億ドルを投資したという事実からわかります。

    このように、世界市場10位以内に入る医療機器メーカーの海外進出戦略は、「対象国の課題解決を通じてその国の市場に深く入り込むこと」を重要視しており、単純な「機器販売」だけに焦点を当てた戦略では、もはや競争力を維持することは難しいと判断しました。 したがって、欧米の医療機器メーカーは、自社の製品とサービスをその国の市場環境とニーズに合わせて細かく調整し、国内外の人材育成を通じて国際的な市場で競争力を維持・拡大することに集中しています。このような戦略は、製品販売以外にも、教育及びサービス提供を通じた国内外の顧客満足度の向上と国家間の協力を強化することにも大きな役割を果たしているようです。 このような海外進出戦略を通じて、欧米の医療機器メーカーは国際市場での確固たる立ち位置をさらに固めています。

    国内医療機器メーカーの海外進出戦略

    日本の医療機器メーカーは、ほとんどの場合、国内市場向けの製品をそのまま、または一部カスタマイズして販売する方式をとっています。 しかし、最初から新興国のニーズに合わせて設計された製品に比べ、このような方式は国際市場での競争力が低いことは否定できません。

    したがって、日本の医療機器メーカーが国際市場で激しい競争を勝ち抜くためには、個々の企業の業態転換やサービス改善などの努力が必要であるだけでなく、業界レベルでの連携の動きが不可欠であるという認識が出てきています。このような戦略転換は、医療産業が真に日本の成長を牽引する産業になるために必要不可欠なプロセスです。 特に欧米企業が現地市場を「取り囲む」ことが完了する前に、戦略の転換を実現することが非常に重要であることは、日本の医療機器メーカーの共通認識です。 

    海外進出のメリットとリスク

    海外進出には明確なメリットとリスクが存在します。日本国内では人口減少にもかかわらず、医療機器市場規模は徐々に拡大していますが、新興国ではそれ以上に飛躍的な市場成長を示しています。このような成長性の高い市場で先取り効果を享受することができれば、企業に大きなメリットをもたらすことができるでしょう。

    しかし、海外進出にはそれ自体が高コストと高リスクが伴います。これを考慮すると、現地パートナーとの提携が望ましい方向だと考えられます。また、パートナー企業との提携を検討する際には、パートナー企業の既存製品とのシナジー、そしてパートナーシップを結ぶのに適した企業規模を考慮する必要があります。大きな規模のパートナーが必ずしも良いとは限りません。 大きなパートナーは多くの製品を保有していたり、すでに既存製品の勝敗パターンが決まっており、自社製品が入る余地がない負のパターンがある可能性があるからです。 したがって、自社の製品群と事業規模に合うことができる海外企業とパートナーシップを結ぶことが望ましいということを心に留めておく必要があります。

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