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近年のEUの貿易収支や輸出入の動向
EUは28の加盟国からなり、米国、中国と並んで世界3大貿易圏を構成しています。
2016年には、EUの物品に関する対外貿易の総額は3兆4,536億ユーロと算出されました。2016年は2015年に比べて、輸出入ともにわずかに減少しています。
貿易収支については、2016年に前年の600億ユーロから380億ユーロにまで落ち込みましたが、依然として黒字を保っており、2015年時点においてEUは世界の物品貿易において輸出入いずれも世界2位を誇っています。
輸出は世界全体の15.5%、輸入は14.5%を占めています。
2008年から2016年にかけて、EUの物品輸出総額の83%が工業製品となっております。
2016年には「機械類および車両」が全体の43%、「その他の工業製品」が23%、「化学製品」が18%を占める一方、「飲料・食品」(7%)や「エネルギー製品」(4%)を含む一次産品が輸出総額の13%を構成しました。
また、2016年の物品の輸入額総額の69%が、工業製品となっています。輸出内訳との違いは、「その他の工業製品」が輸出と同じでありながら、「機械類・車両」と「化学製品」の占める割合が小さいことが挙げられます。
ヨーロッパ・EUとの貿易におけるメリット
ヨーロッパ市場への進出は、日本企業にとって様々なメリットをもたらします。その市場参入は、企業の販売拡大やコスト削減、競争力向上など、ビジネス成長の様々な面で大きな意義があると言えるでしょう。ここでは、ヨーロッパ(EU)へ輸出する日本企業の主な利点を詳しく解説します。
①大きな市場規模
まず第一に、ヨーロッパ市場は非常に大きな市場規模を持っています。現在、EU内の人口は約4億4千万人に達しており、これはアメリカや中国に次ぐ世界第3位の規模です。そのため、ヨーロッパ市場に参入することで、日本企業は大幅な販売拡大を狙うことができます。
②安定した政治
また、ヨーロッパ各国は政治的・経済的に安定しているため、ビジネス環境が整っていると言えます。さらに、EUは加盟国間で関税が撤廃されており、日本企業がヨーロッパ市場に参入する際の貿易コストが軽減されるというメリットもあります。このことが、市場拡大だけでなく、企業にとってコスト削減の面でも大きな利点となります。
③社会的責任を果たす企業への高い評価
さらに、ヨーロッパ市場では、環境対策や労働条件などの社会的責任を果たす企業が高く評価されます。そのため、日本企業が持っている社会的責任への取り組みが、ヨーロッパ市場での競争力向上につながります。例えば、環境に配慮した製品やサービスの開発・提供は、ヨーロッパ消費者から高い評価を受けることが期待されます。
④先進的な市場
また、ヨーロッパ市場への参入が日本企業にとって重要なのは、技術革新の観点からでもあります。ヨーロッパは、世界のトップレベルの研究開発能力を持っており、その市場に進出することで、日本企業は最先端技術の取得や新製品開発において大きな刺激を受けることができます。
⑤ブランド価値の向上
最後に、ヨーロッパ市場への進出は、日本企業にとってブランド価値向上の機会でもあります。ヨーロッパは、ファッションやデザイン、車などの高品質なものに対する評価が高い地域であり、ヨーロッパ市場での成功は、世界中でのブランド力向上につながることが期待されます。
ヨーロッパ・EUに輸出する際の注意点
ヨーロッパ(EU)と貿易や輸出を行う際には、いくつかの重要な注意点があります。以下にそれらをいくつか挙げてみましょう。
①法制度の理解
ヨーロッパ(EU)へ輸出する日本企業が注意すべきこととして、まずは輸出を行う際の複雑な関税、税制度、規制や法律に対応することが挙げられます。ヨーロッパ各国はそれぞれ独自の関税や税制度を持っており、これらの適用や扱いが日本とは異なる場合があるため、十分な調査と理解が必要です。また、これらに違反することで輸出が大幅に遅延したり、ペナルティが科せられることがあります。例えば、製品安全規制や環境規制、労働法、データ保護法などがありますので、これらの法律を遵守しているかどうかを確認し、必要な場合は適切な対策を講じることが重要です。
②適切な市場調査
次に、ヨーロッパ市場に適した製品やサービスの開発を行うことが挙げられます。ヨーロッパ市場の消費者ニーズや嗜好は日本と異なる場合があるため、適切なマーケティング戦略を構築し、市場調査を行うことが重要です。これにより、ヨーロッパ市場で成功する可能性を高めることができます。
③現地のパートナー
さらに、現地のビジネスパートナーや代理店との連携が重要です。ヨーロッパ市場への進出をスムーズに行うためには、現地のビジネスパートナーや代理店との良好な関係を築くことが不可欠です。これにより、現地の市場情報やトレンドをキャッチしやすくなり、適切なビジネス戦略を立てることができるでしょう。
④言語・文化の違い
最後に、言語や文化の違いに対応することも重要です。ヨーロッパでは多様な言語が話されており、その文化も異なるため、適切な対応が求められます。たとえば、製品パッケージやマーケティング資料の翻訳には配慮が必要であり、また、ビジネススタイルやマナーにも適応が必要です。
EUの主な貿易相手国
2016年には、輸出入合計では1位、2位にそれぞれ米国、中国となっています。それぞれ、全体の17.4%、14.9%を占めており、両国で全体の3割以上を占めていることがわかります。
また、EU非加盟国のスイスが3位、ノルウェーが7位に入っています。4位にはロシア、5位にはトルコ、日本が6位となっています。また、アジアからは、8位に韓国、9位にインドが入っています。
輸出
物品貿易の輸出先のトップは米国です。対米輸出は2002年の28.0%から2013年には16.7%までシェアが低下しましたが、2016年には20.8%にまで回復しています。
次いで中国の9.7%、スイスの8.2%が続きます。2015年にはトルコがロシアを追い越して第4位となりました。米国、中国、スイス、トルコ、ロシア、日本、ノルウェーの上位7カ国だけで、EU28カ国の物品輸出総額の53.4%を占めています。
輸入
2016年の輸入先の上位7カ国は、順位は異なるものの輸出先上位7カ国と同じ国でした。
これら7カ国がEUの輸入に占める割合は60.2%で、輸出の割合よりも多く、輸入総額の6割を超えています。2016年、中国はEUの輸入総額の5分の1(20.2%)以上を占め、最大の物品輸入先となりました。
米国(14.5%)、スイス(7.1%)とロシア(7.0%)が続いており、トルコは第5位の商品輸入先となっています。6位と7位には、僅差で日本とノルウェーがそれに続いています。
EUにおける自動車産業
自動車産業はEU経済にとって非常に重要であり、国際貿易においても大きな役割を果たしています。2016年のEUの自動車輸出は世界最大であり、対外輸出額は1,920億ユーロに上りました。
EUで生産される自動車の第一の輸出先は米国(25%)であり、中国(16%)、トルコ(7%)、スイスと日本(5%)と続きます。逆に、2016年にEUに輸入された自動車の輸入先はトルコ(20%)、日本(19%)、米国(14%)、韓国(10%)、中国(8%)となっています。
日EU・EPAによる支援
日EU経済連携協定(日EU・EPA)は、合わせて世界GDPの約3割、世界貿易の約4割を占めるEUと日本の経済協定であり、2019年2月1日に発効しました。
本協定によってより高いレベルの関税撤廃・削減だけではなく、著作権や地理的表示(GI)といった知財等の高いレベルのルール構築が行われ、日欧双方の貿易・投資が促進されることが期待できます。日本の中堅・中小企業をはじめとする企業が、日EU・EPAを活用することで海外での市場開拓を進めることができます。
工業製品に関しては、乗用車の現行関税10%が8年目に撤廃されます。自動車部品に対する関税は9割以上が即時撤廃されるため、メーカーに部品を納入する中小企業にも大きなメリットがもたらされます。
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