化粧品を輸出するための基礎知識、注意点まとめ

日本製の化粧品は高品質・安全性・効果実感が評価され、アジアを中心に世界で人気が高まっています。財務省統計でも輸出額は長期的に増加傾向にあり、スキンケアや美容液などは海外店舗・越境EC・現地代理店を通じて継続的に需要が拡大しています。

一方で、化粧品は人の肌に直接触れる製品であるため、輸出には一般的な商流だけでなく「薬事」や「ラベル表示」「製造許可」といった厳格なルールが関わります。

本記事では、日本製化粧品を輸出する基本パターンと、製造・届出・証明書などの実務上の注意点を整理します。初めて輸出に挑戦する方でも、全体像を掴めるようにわかりやすくまとめています。

化粧品輸出の現状

化粧品の輸出額は、財務省貿易統計によると6年連続で過去最高を更新し続けています。
2015年頃から輸出額が急増し、2019年には8176億円にまでのぼっています。

主な輸出先を見てみると、近年は中国、香港、韓国、シンガポールなどアジア地域がトップになり、特に中国、香港で約6割を占めています。
高品質な日本製の化粧品はアジアで大人気で、観光に訪れたアジア人が商品を気に入り、インターネットを通してリピーターになることが多くあるようです。

パターン別化粧品輸出の基本

今回は、日本製の化粧品を海外に輸出する際の、パターン別に3つ紹介していきたいと思います。

パターン1:国内向け化粧品をそのまま輸出

まず、国内向け化粧品をそのまま輸出するパターンです。

通常、化粧品を輸出するときには、医薬品医療機器法等で規制されており、日本製の化粧品を海外に輸出する場合、海外の化粧品を日本で販売する場合などは、いずれも許可と届出が必要になってきます。

ですが、国内向け化粧品をそのままの形で輸出する場合は特別な手続きは不要となっており、比較的簡単に化粧品を輸出できる方法となっています。しかし、返品の際の再輸入は化粧品製造販売業の許可が必要なので注意が必要です。

パターン2:ラベルやパッケージを変更して輸出

次に、ラベルやパッケージを変更して輸出するパターンです。

海外向けに現地語にパッケージを変えたいと思うこともあるかもしれません。
しかし、そういった場合は、許可なしで輸出することができなくなってしまいます。容器や化粧箱を輸出向けに変えたりするのはすべて製造とみなされてしまい、化粧品製造業の許可がないとできません。
よって、その製造を始める前に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構を経由して輸出用化粧品製造届を厚生労働省に提出しなければなりません。

化粧品の輸出では、まず自社の販売戦略に合った輸出形態を整理し、国ごとの規制を正しく理解することが重要です。
化粧品販売の販路開拓 については以下の記事をご覧ください。

パターン3:海外向け製品を製造して輸出

最後に、海外向け製品を製造して輸出するパターンです。
こちらは、国内での流通を考えずに、輸出専用の化粧品を製造する海外向けのオリジナル製品を製造します。
この場合も、パターン2と同様に化粧品製造業の許可と届出が必要になってきます。

日本製化粧品の輸出は近年急増し、アジアを中心とした海外市場で人気ですが、パッケージやラベルの変更には「化粧品製造業の許可」が必要で規制も厳格に対応する必要があります。また、各国ごとに求められるGMP証明などの製造・品質管理に関する証明書の準備を怠ると、輸出手続きや通関で問題が生じるリスクが高まります。

化粧品輸出の際は必要証明書を確認

化粧品は、人の肌に直接触れるもののため、国民の健康にかかわってきます。
そのため、輸出相手国側から適切な管理プロセスのもと製造された製品であるかの証明書を要求されることがあります。

その代表的なものGMP(Good Manufacturing practice)証明書です。これは、輸出された化粧品が日本の薬事法に基づき、適切な製造管理や品質管理の基準を満たしているという証明書です。

化粧品輸出では、GMP認証の有無だけでなく、各国で求められる安全基準や表示ルールを把握することが欠かせません。
化粧品の販路拡大と海外ECについては以下の記事をご覧ください。

 

まとめ

日本製化粧品は高品質で信頼性が高く、中国や香港を中心にアジア諸国での輸出が拡大しています。特に化粧水や美容液、乳液などのスキンケア用品は高い人気を誇り、ブランド力強化や新たな収益源獲得のチャンスとなっています。

一方で、輸出には市場調査やターゲット設定、価格戦略に加え、輸出形態に応じた日本国内での許可や届出が必要です。さらに、輸出先によってはGMP証明や認証取得が求められる場合もあり、各国の規制を十分に理解して対応することが重要です。

こうした制度や実務を踏まえ、安心して事業を進めるためには、一度専門家に相談することをおすすめします

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