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日本の農業と海外の農業との違いは多岐にわたります。地域、気候、文化、農業手法などが影響を与えます。以下に一般的な違いを挙げつつ、農業の海外展開に関する考え方も紹介します。
日本と海外の農業の違い(アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど)
日本の農業は、海外の農業と比較していくつかの独自の特徴を持っています。ここでは、日本と海外(アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、南米)の農業を比較し、日本の農業の特徴を理解しやすく展開します。
①規模
まず最初に、日本の農業の特徴は、小規模な家族経営が中心であるという点です。これは、狭い土地を持つ日本の地理的制約や、歴史的な要因から生じています。しかし、アメリカやヨーロッパの農業は、大規模な農場が一般的であり、効率的な機械化農業が展開されています。さらに、オーストラリアや南アメリカの農業は、広大な土地を活用して穀物や肉牛の生産に力を入れており、輸出市場を主要な目的としています。このように、世界各国の農業は、地域や国家の特性に応じて異なる形態をとっていることが分かります。
②生産する品目
日本の農業の特徴の一つとして、水稲を主体とした灌漑農業が非常に盛んである点が挙げられます。この理由としては、日本が多雨な気候にあるため水田を活用しやすい状況にあります。対照的に、アメリカやヨーロッパでは、小麦やとうもろこしなどの栽培が主流です。さらに、アジアやオーストラリアの地域では熱帯フルーツや野菜の生産が盛んであり、南米諸国ではコーヒーやカカオなどの栽培が中心となっています。
③食の安全性
日本の農業は、食品の安全性や品質に重点を置くことが大きな特徴となっています。具体的には、農薬や化学肥料の使用が厳密に規制されており、消費者に安心して食べられる商品を提供することに力を入れています。対照的に、海外の農業の中には、一部の国や地域で大量生産を目指して農薬や化学肥料の使用が増えているケースがあります。しかし、最近ではオーガニック農業や環境に配慮した農業が世界中で注目を集めていると言われています。
④伝統的な技術
日本の農業は、古くから続く伝統的な技術や知識が引き継がれていることが大きな特徴であり、古来の日本の品種や、土壌改良のための技術が現代でも積極的に利用され続けている点が目立ちます。一方で、海外の農業においては、品種改良や遺伝子組み換え技術が盛んに進められていますが、それに伴って環境への懸念や、伝統的な品種の消失に関する問題が浮上しているという事態も見受けられます。
⑤地域の特性を活かした農業
最終的に、日本の農業はその地域ごとの特性を利用して多様な農作物が育てられることが大きな特徴の一つとなっています。国内各地の独自の気候や地形に適応した品種や育て方が開発されているため、日本中でさまざまな農作物が栽培されているのです。一方で、海外の農業では大規模な生産が基本となり、それに伴い特定の農産物が中心的に生産される傾向が見られます。
アメリカとの比較
日本とアメリカの農業には、いくつかの顕著な違いがあります。まず、農地の規模が大きく異なり、アメリカでは広大な土地を活用した大規模農業が主流ですが、日本では狭い土地を有効活用する小規模農業が中心となっています。
その結果、労働方法も大幅に変わり、アメリカでは機械化が進んでおり効率的に作業が行われているのに対し、日本では伝統的な手作業が多く見られます。 また、気候条件や土壌の特徴も異なるため、栽培される作物にも違いが出ます。
気候条件の違い
日本とアメリカの農業は、気候条件の点で大きな違いがあります。日本は温帯湿潤気候で、四季がはっきりしており、比較的降水量が多いため、コメや野菜、果物などさまざまな作物を栽培することができます。特にコメは、水を多く必要とするため、日本の湿潤な気候に適しています。
一方、アメリカは広大な国土を持っており、気候条件も多様です。東海岸は温暖湿潤気候で、穀物や果物、野菜などが栽培されていますが、中西部は乾燥した大陸性気候が主で、トウモロコシや大豆、小麦などの穀物が主に栽培されています。また、南部の気候は温暖で、綿花や果物、野菜の栽培が盛んです。
また、アメリカは広大な農地を持つことから、一つの作物を大規模に栽培することが多く、農業機械の導入が進んでいます。一方、日本は農地が限られており、手間のかかるコメ栽培が主となっており、農業機械の導入がアメリカほど進んでいません。このように、日本とアメリカでは気候条件が農業に与える影響が大きく異なります。
労働人口の違い
日本とアメリカの農業における労働人口の違いについて解説いたします。まず、両国の農業に従事する労働人口の規模は大きく異なります。2019年のデータによれば、日本の農業従事者数は約190万人であるのに対し、アメリカは約210万人となっており、規模自体は近いものの、国土の広さや人口から見ると日本の農業労働人口の密度が高くなります。
また、世代間での労働人口の違いも顕著です。日本では高齢者が多く農業に従事し、若い世代の参入が難しくなっている一方、アメリカでは若い世代が農業に興味を持ち、新しい技術やビジネスモデルを活用して農業に取り組むことが多くあります。
さらに、労働人口の働き方にも違いがあります。日本では、兼業農家が多く、副業として農業を行っている家庭も多いです。しかし、アメリカでは、専業農家が主流で、大規模な農業経営が一般的です。
このような違いから、日本とアメリカの農業労働人口は、規模、世代や働き方において大きく異なることがわかります。
農業の海外展開
近年の世界中での 日本食ブームなどの追い風を受けて、日本の農業政策は海外のマーケットに関しても重視しており、農作物ビジネスの海外展開を推し進めています。
以下に農作物輸出の現状と、海外展開の方法について記載しました。
農産物輸出の現状
2016年には農産物の輸出額は4,593億円で4年連続で過去最高を更新しています。世界中で日本食ブームが加速しており、日本の食品は安全で美味しいというイメージを抱かれています。
そのため価格が高くても、高付加価値な作物として富裕層を中心に大きな人気を誇っています。
また、日本政府も農産物の輸出を推進・支援しています。
海外展開の方法
農業ビジネスを海外展開する場合、大きく二つの方法があります。
1つ目に、日本で生産した農産物を輸出するものです。輸出する際には、輸送方法の確保、検疫・通関、現地流通ルートの確保といったハードルがあります。海外輸出経験が豊かな商社が間に入り、農産物を輸出することが一般的です。
2つ目の方法は、農産物を現地で生産し、現地や日本に向けて販売する方法です。様々な規制によって日本からの輸出が困難である場合、現地生産することで日本に比べ低い費用で生産することができるようになります。この方法での海外展開では、農地の取得、従業員雇用の法規制等、販売ルートの確保といった困難が伴います。
農業ビジネスを海外展開する上でのポイント
日本の農業は、高品質な農産物や独自の農業技術によって世界的に評価されています。この素晴らしい資源を海外に展開することで、さらなるビジネスチャンスを活かすことができます。以下に、日本の農業を海外展開させる方法についていくつかのポイントを挙げます。
①求められる価値の把握
まず、海外の消費者が日本の農産物に求める価値を把握することが重要です。日本の農産物は高品質や安全性が強みとなっていますので、これらの特徴をアピールできる地域や顧客層を見極めることが求められます。例えば、高級スーパーやグルメ店を対象にした販路開拓や、オーガニック食品に特化したマーケットへの参入などが考えられます。
②現地パートナーの確保
次に、海外市場への進出に向けて、適切なパートナーを見つけることも大切な要素です。現地のディストリビューターや卸売業者と連携して、効率的に製品を販売できるネットワークを築くことが不可欠です。また、現地の法規制や流通状況を理解し、スムーズな展開ができるよう事前に準備を進めることが重要です。
③人材育成
さらに、日本の農業技術を海外で活かすためには、技術移転や人材育成にも力を入れることが求められます。現地の農家への技術指導や、研修プログラムの開設などを通じて、日本の農業が持つ知識やノウハウを共有し、現地でも高品質な農産物が生産されるようにサポートすることが重要です。
④品質管理
最後に、海外展開に際しては、国際的な認証や基準に基づく品質管理が不可欠です。例えば、グローバルG.A.P.認証やオーガニック認証など、各国で求められる基準をクリアすることで、信頼性のある製品を提供できるようになります。
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