「自社製品をヨーロッパへ輸出したい」「現地の取引先からCEマークの提示を求められたが、何から始めればいいかわからない」と悩んでいませんか?
CEマークは、製品が欧州連合(EU)の安全・健康・環境保護基準を満たしていることを証明する重要なマークであり、欧州市場への展開には欠かせない法的要件です。しかし、専門用語や複雑な法令が多く、自社で対応可能なのか、専門機関に頼むべきか迷う担当者も少なくありません。
本記事では、初めて輸出業務を任された方や、具体的な適合プロセスを知りたい技術・品質管理担当者に向けて、CEマークの具体的な取得方法を5つのステップで徹底解説します。必須となる書類の書き方や費用・期間の目安まで網羅していますので、ぜひ実務の参考にしてください。
欧州輸出に必須!CEマークとは?取得方法を知る前の基礎知識

CEマークの取得手続きをスムーズに進めるためには、制度の目的と対象範囲を正しく理解することが不可欠です。まずは、CEマークがなぜ必要なのか、そして自社の製品がどのルールに従うべきなのかという基本事項から確認していきましょう。
CEマークの目的と対象となる国・地域
CEマークは、製品が欧州連合(EU)の法律で定められた厳格な「安全・健康・環境保護」の基準を満たしていることを示す、いわば製品のための「パスポート」のような役割を果たすマークです。
このマークを正しく貼付することで、製品はEU加盟国(現在27カ国)およびEFTA(欧州自由貿易連合)加盟国であるアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含む欧州経済領域(EEA)内において、国境を越えて自由に流通させることが法的に認められます。
さらに、スイスやトルコなど、EEA以外の国でもCEマークを安全基準として準用している地域があるため、欧州ビジネス全体において極めて強力な意味を持ちます。
一方で、CEマークの貼付が義務付けられている製品であるにもかかわらず、無断でマークを付けずに販売したり、基準を満たしていないのに虚偽のマークを付けたりした場合は、厳しく罰せられます。
EU各国の市場監視当局によって違反が発覚した場合、市場からの製品の即時回収(リコール)命令、多額の罰金、販売停止処分が下されるだけでなく、企業のブランドイメージや社会的信用にも致命的なダメージを与えかねません。
したがって、輸出実務の担当者としては、「単なるデザインの一部」ではなく、「重大な法的責任を伴う宣言」であることを社内に周知徹底することが重要です。
CEマークが必要な主な製品カテゴリと該当指令
欧州では、製品の種類や性質ごとに「指令(Directive)」または近年増加している「規則(Regulation)」と呼ばれる法規制が細かく定められています。
CEマークを取得するための第一歩であり最大の関門は、自社が輸出しようとしている製品が「どの指令に該当するか」を正確に特定することです。世の中のすべての製品にCEマークが必要なわけではなく、指令の対象外となる製品(例えば一部の家具や一般的な衣類など)には、逆にCEマークを貼付してはならないというルールもあります。
対象となる代表的な製品カテゴリと該当する主な指令・規則は以下の通りです。
| 製品分類 | 該当する主な指令・規則 | 規制の目的・概要 |
|---|---|---|
| 電化製品 電子機器 | 低電圧指令(LVD) 電磁両立性指令(EMC) RoHS指令 | 感電・火災リスクの防止(LVD) 他の機器を妨害する電磁波を出さず、外部からの電磁波にも耐える(EMC) 鉛や水銀など特定有害物質の使用制限(RoHS) |
| 産業用機械類 | 機械規則 (旧機械指令:MD) | 工作機械やロボットなど、機械の可動部による挟まれや切断といった人身事故を防止するための安全要求 |
| 医療機器 | 医療機器規則(MDR) | 診断や治療に用いられる機器の安全性と性能の確保 厳格な臨床評価が求められ、リスククラスに応じて審査内容が異なる |
| 通信機器 (IoT等) | 無線機器指令(RED) | Wi-FiやBluetoothなどの無線通信機能を持つ機器に対し、電波の有効利用と安全性を確保するための規制 |
| 玩具類 | 玩具の安全性に関する指令(TSD) | 14歳未満の子供が使用する製品を対象とし、誤飲防止、物理的安全性、化学物質の制限などを定める |
実務において特に注意しなければならないのは、「1つの製品に対して複数の指令が同時に適用されるケースが非常に多い」という点です。
例えば、モーターで動き、コンセントから電源を取り、さらにWi-Fi機能を持つ産業用ロボットを輸出する場合、「機械規則(MD)」「低電圧指令(LVD)」「電磁両立性指令(EMC)」「無線機器指令(RED)」「RoHS指令」など、複数の要件をすべて満たし、それぞれの規格に対する適合を証明しなければなりません。
どれか一つでも見落とすと「CEマークの要件を満たしていない違法な状態」となってしまうため、設計段階から技術・品質管理担当者と連携し、製品の仕様や用途に基づく精緻な指令の洗い出しを行うことがプロジェクト成功の鍵となります。
自社でできる?CEマークの具体的な取得方法と5つのステップ

CEマークの取得は、外部にすべてを丸投げできる性質のものではなく、基本的にメーカー自身が主体となって進める「自己宣言」が原則です。ここでは、具体的な取得方法を5つのステップに分けて、実務担当者が行うべきアクションを順番に解説します。
ステップ1~2:該当指令の確認と適合評価手順の決定
ステップ1では、先述した通り、自社の製品がどの欧州指令に該当するかを漏れなく特定します。
これがすべての出発点となるため、設計図や製品仕様書をもとに、機械、電気、化学物質などあらゆる側面から適用される法令(LVD、EMC、RoHSなど)を洗い出します。
自社製品に適用される欧州指令を特定したら、次に「どの評価手順(モジュール)で適合を証明するか」を決定します。リスクの低い製品はメーカー自身の管理のみで済みますが、高リスク製品には第三者の厳しいチェックが課されます。
欧州で採用されている主な評価モジュールは、以下の通りです。
- モジュールA(内部生産管理)
メーカー自身が設計・製造の適合性を評価し、技術文書を作成する「完全な自己宣言」ルートです。最も一般的ですが、すべての責任を自社で負う必要があります。 - モジュールB(EC型式審査)
設計段階の適合性を認証機関(ノーティファイドボディ)が審査する手順です。通常、生産段階をカバーする他のモジュール(C、D、E、F)と組み合わせて使用されます。 - モジュールD・E・H(品質保証系)
生産プロセス(D)、最終製品の検査(E)、あるいは設計から製造までの全工程(H)において、メーカーが構築した品質管理システムを認証機関が監査する手順です。 - モジュールG(単位検証)
一品物のオーダーメイド製品や、特殊な大規模設備などに適用されます。認証機関がその個体ごとに試験・検証を行い、適合を確認します。
自社の製品がどのカテゴリに属し、どのモジュールの組み合わせが要求されているかは、各指令の「附属書(Annex)」に明記されています。これを見誤ると、無効なマークを貼付することになり、輸出停止のリスクを招くため、慎重な法規確認が求められます。
ステップ3:技術文書(TCF)の作成
ステップ3では、適合評価の一環として、製品が指令の安全要求を満たしていることを客観的に証明するための「技術文書(TCF:Technical Construction File)」を作成し、編纂します。
この文書は、EU当局から提出を求められた際に速やかに提示しなければならない非常に重要な証拠書類であり、製品の最終製造日から通常10年間は保管する義務があります。
TCFに含めるべき主な必須項目は以下の通りです。
- 製品の一般的な説明(用途、機能、動作原理など)
- 概念設計図、製造図面、回路図、コンポーネントやサブアセンブリのリスト
- 製品に適用した整合規格(EN規格)またはその他の技術仕様のリスト
- リスクアセスメント(危険源の特定と低減策)の実施記録と対策結果
- 設計計算や実施した検証試験の記録
- 試験機関が発行した試験報告書(テストレポート)や各種証明書
- EU市場向けに作成された取扱説明書およびユーザーマニュアル
これらの書類は、設計開発部門、品質保証部門、外部の試験機関など、さまざまな部署や外部パートナーから情報を集めて一つにまとめる必要があります。特に、EN規格に基づいた試験報告書や、製品に潜む危険性を評価したリスクアセスメントの記録は、技術文書の核となる部分です。
技術担当者は、ただ書類の体裁を整えるだけでなく、製品の安全性が論理的に説明できる状態になっているかを厳しくチェックしなければなりません。
ステップ4:EU適合宣言書(DoC)の準備
ステップ4では、技術文書(TCF)が完全に整ったことを受けて、メーカーとして製品がすべての該当指令に適合していることを法的に宣言する「EU適合宣言書(DoC:Declaration of Conformity)」を作成します。
これは、自社の責任において製品が安全であることをEU市場に対して誓約する最も重要な書類であり、製品に同梱するか、ウェブサイト等で容易にアクセスできる状態で公開する必要があります。
DoCに記載すべき一般的な項目は以下の通りです。
- 製品の識別情報
製品名、モデル番号、シリアル番号、バッチ番号、明確な製品写真など - メーカーの情報
メーカーの正式名称および登録住所(欧州代理人がいる場合はその情報も併記) - 宣言の責任
「本適合宣言書はメーカーの単独責任の下に発行される」旨の定型文言 - 適合する指令・規則
適用したすべての欧州指令の正式名称と参照番号(例:2014/35/EU) - 適用した整合規格
準拠したEN規格の番号と発行年(例:EN 62368-1:2014) - 第三者機関の情報(ノーティファイドボディが関与した場合のみ)
機関名、識別番号、発行された証明書番号 - 署名情報
発行場所、発行日付、法的拘束力を持つ責任者の役職および直筆サイン
適合宣言書を作成する際、実務上よく問題になるのが「誰が署名するのか」という点です。単なる事務担当者ではなく、企業の代表者や、品質保証の最高責任者など、製品の安全性に対して法的な責任を負える権限を持った人物が署名しなければなりません。
また、適用される指令やEN規格は頻繁に改正されるため、一度作成したDoCも定期的に見直し、最新の法規制に適合している状態を維持する継続的な管理体制が求められます。
ステップ5:製品へのCEマーク貼り付け
すべての適合性評価、技術文書の編纂、そしてEU適合宣言書の作成が完了して初めて、最終ステップとして製品本体にCEマークを貼り付けることが許されます。
CEマークのロゴは、EUが指定する公式のデザインを正確に使用しなければならず、自作の類似ロゴやプロポーションが崩れたマークを使用することは違法となります。法的に厳密に定められているルールとして、マークの縦幅は必ず5mm以上とし、拡大・縮小する場合でも指定の比率を維持しなければなりません。
さらに、製品の寿命が尽きるまで容易に消えたり剥がれたりしないよう、耐久性のある方法(刻印や消えない印刷など)で明瞭に表示することが義務付けられています。もし製品のサイズが極端に小さい場合や、材質の都合で本体への印字が技術的に不可能な場合に限り、パッケージ(外箱)や同梱される取扱説明書への印刷が例外的に認められています。
CEマークの適合書類を作成するのと並行して、実際に製品を輸出する際に必須となる貿易書類の準備も忘れてはいけません。海外取引において重要となる請求書や明細の正しい書き方について基礎から学びたい方は、以下の記事をご覧ください。

CEマーク取得は、適切なルート選定によりコストを抑えた欧州展開を可能にする一方で、技術文書の不備が製品回収という致命的なリスクを招く側面も持ち合わせています。自社のリソースと製品のリスクを冷静に見極め、必要に応じて専門家のサポートを仰ぐことが、海外ビジネスを成功させるための確実な近道です。
CEマーク取得方法における「自己宣言」と「第三者認証」の違い

CEマーク取得のルート選択は、製品の市場投入スピードやコスト、さらには企業の法的リスクに直結する極めて重要な経営判断です。ここでは、メーカーが自らの責任で適合を証明する「自己宣言」と、欧州当局から認定された機関の審査を仰ぐ「第三者認証」の明確な違いと、それぞれの判断基準について詳しく解説します。
自社のみで完結できる「自己宣言」の条件
欧州のCEマーク制度において、多くの工業製品に適用されるのが「自己宣言(Self-Declaration)」という仕組みです。これは、欧州連合(EU)の「ニューレジラティブフレームワーク(NLF)」に基づき、メーカー自身が製品の安全性を最も熟知しているという前提に立った制度です。
具体的に自己宣言が認められるためには、製品が該当する各指令の附属書(Annex)を確認し、高リスクカテゴリに指定されていないことが大前提となります。例えば、一般的な家庭用電気機器や、多くの産業用機械、クラスIの医療機器などがこれに該当します。
自己宣言ルートを選択する場合、メーカーは「モジュールA(内部生産管理)」に基づき、社内の技術者や品質管理部門が中心となって、EN規格(整合規格)への適合性を検証しなければなりません。
具体的には、社内での試験実施、または外部の試験所に依頼して得たテストレポートを基に、リスクアセスメントを行い、技術文書(TCF)を作成します。
ここで重要なのは、「外部の試験所に試験を委託したとしても、法的な責任は100%メーカーが負う」という点です。自己宣言は認証費用を抑え、迅速な市場投入を可能にする一方で、不適合が発覚した際の全責任(回収費用や制裁金など)を負う覚悟と、それを支える確かな技術的根拠の構築が求められる高度なプロセスと言えます。
認証機関(ノーティファイドボディ)の関与が必須となるケース
一方で、生命への危険性が高い製品や、安全性への社会的な信頼が特に求められる製品については、メーカーだけの判断による自己宣言は認められず、公的な「認証機関(ノーティファイドボディ:NB)」の審査が義務付けられています。
NBとは、EU加盟国の政府によって特定の指令に対する審査能力が認められ、欧州委員会に登録された第三者機関のことです。具体的にNBの関与が必須となる製品の切り分け基準は、各指令で厳格に定められています。
例えば、医療機器規則(MDR)におけるクラスIIa、IIb、IIIの製品や、機械規則(旧機械指令)の附属書IVに記載されているような危険性の高い機械類(木工用丸のこ盤、プレス機、射出成形機など)、さらには防爆機器(ATEX指令)などが対象となります。
これらの製品では、NBが技術文書を詳細に査読し、必要に応じて型式試験(モジュールB)や、工場における品質管理体制の監査(モジュールDやH)を実施します。NBの審査を通過した製品には、CEマークの右側にその機関固有の「4桁の識別番号」を付記することが義務付けられており、これが欧州当局や顧客に対する強力な安全性の証明となります。
自社製品がこの「NB関与必須」のリストに含まれているかどうかを初期段階で見極めることが、予算とスケジュールの乖離を防ぐための最大のポイントです。
試験機関への見積もり依頼と外部委託のポイント
自己宣言ルートであっても、社内に十分な試験設備(EMC暗室や安全性試験装置など)を持つ企業は少なく、多くの場合は外部の「試験機関」を活用することになります。ここで実務担当者が混同しやすいのが「試験機関」と「認証機関(NB)」の違いです。
試験機関はあくまで規格に基づいた「測定」を行う場所であり、NBは「法的な適合性を判定する」機関です。外部委託を成功させるためには、まずその試験機関が「ISO/IEC 17025」の認定を受けているか、そして自社製品に適用されるEN規格の試験範囲を網羅しているかを必ず確認してください。
試験機関への見積もり依頼(RFQ)の際には、単に「CEマークのための試験」と伝えるのではなく、具体的な製品の定格、使用環境、想定される該当指令、さらには無線機能の有無などを詳細に共有することが、正確な見積もりを得るためのコツです。また、試験で不適合(NG)が出た場合のアドバイス(デバッグ支援)が含まれているか、再試験の際の費用設定はどうなっているかなど、プロジェクトが難航した際のサポート体制も比較検討の材料にすべきです。
優れた試験機関は単なる下請け業者ではなく、欧州市場への扉を共に開く技術的なパートナーとなります。見積もり価格の安さだけで選ぶのではなく、担当者の専門知識の深さや、過去の同種製品での実績を重視して選定することが、最終的な手戻りを防ぎ、トータルコストを最小化することに繋がります。
自社製品を海外へ持ち出す際には、現地の安全基準を満たすだけでなく、日本国内の法律に基づいた厳格なルールの遵守も求められます。法令違反を防ぐための安全保障に直結する貿易管理の仕組みについて確認したい場合は、以下の記事をご覧ください。

CEマーク取得方法で気になる費用相場と期間の目安

CEマークの取得プロジェクトを成功させるためには、技術的な適合性だけでなく、ビジネスの側面である「予算」と「納期」の正確な把握が欠かせません。欧州展開の成否を分けるこれらのリソース管理について、内訳と注意点を深掘りして解説します。
自社で行う場合と専門機関に依頼する場合の費用比較
CEマーク取得に要する費用は、製品の複雑さ、該当する指令の数、そしてどこまで自社リソースで完結させるかによって、数万円から数百万円まで極めて大きな幅があります。
まず、最もコストを抑えられる「完全な自己宣言」の場合でも、社内での検証にかかる人件費や試験設備の維持費、規格購入費用などが目に見えないコストとして発生します。
一般的に、民間の試験機関にEMC試験や安全性試験を委託する場合、1つの指令につき30万円から80万円程度の試験費用が相場となります。もし、Wi-FiやBluetoothなどの無線機能を搭載している場合は、無線機器指令(RED)への対応が必要となり、試験項目が増えるため、さらに50万円から100万円ほど上乗せされるのが通例です。
さらに、製品のリスクが高く、ノーティファイドボディ(NB)の審査が必要な場合には、NBへの審査手数料や証明書発行費用として、別途50万円から150万円程度が必要になります。
また、法規制の専門知識を持つコンサルティング会社に、該当指令の特定から技術文書(TCF)の作成支援までを依頼する場合、支援内容に応じて50万円から200万円程度のコンサルティング費用が発生します。
一見すると高額に思えますが、自社でゼロから調査して試行錯誤する時間コストや、万が一の解釈ミスによる再試験・設計変更のリスクを考慮すると、専門家の知見を借りることは、トータルコストを最適化するための合理的な投資と言えるでしょう。
取得までにかかる一般的な期間とスケジュールの立て方
CEマーク取得までに要する期間は、順調に進んだ場合でも3ヶ月から半年程度を見込むのが一般的です。
プロジェクトの初期段階である「指令の特定と規格の調査」に約1ヶ月、続く「製品の評価と試験の実施」に2ヶ月から3ヶ月、そして「技術文書(TCF)と適合宣言書(DoC)の編纂」に1ヶ月という内訳が標準的なスケジュール感となります。
しかし、ここで注意しなければならないのは、外部の試験機関やノーティファイドボディの「空き状況」です。世界中のメーカーが欧州進出を狙っているため、有名な試験機関では数ヶ月先まで予約が埋まっていることも珍しくありません。
特に、新しい規制(近年の医療機器規則MDRなど)が施行される直前などは、審査機関が極度に混雑し、スケジュールが大幅に後ろ倒しになるリスクがあります。
また、スケジュール遅延の最大の要因となるのが、試験での「不適合」です。一度の試験でパスできれば良いですが、電磁波のノイズが基準値を超えていたり、絶縁距離が不足していたりといった不備が見つかると、製品の設計変更(回路の見直しや部品の選定し直し)を行い、再度試験を受け直さなければなりません。
これにより、追加の試験費用が発生するだけでなく、最短でも1ヶ月から2ヶ月の遅延が生じます。
そのため、量産開始や出荷時期から逆算してスケジュールを立てる際には、少なくとも1ヶ月から2ヶ月程度の「バッファ(予備期間)」を設けておくことが、プロジェクトを停滞させないための鉄則です。試作段階で「プレテスト(予備試験)」を実施し、早い段階で設計上の問題を洗い出しておくことも、結果として納期を短縮するための有効な手段となります。
まとめ
CEマークの取得は、欧州市場という巨大な経済圏へ参入するための「通行許可証」を得るプロセスであり、海外展開における最重要課題の一つです。本記事で解説した通り、対象となる指令の特定から適合性評価、技術文書(TCF)や適合宣言書(DoC)の整備、そして最終的なマークの貼付に至るまで、その工程には極めて高度な専門知識が求められます。
また、欧州の法規制は環境やデジタル分野を中心に日々アップデートされており、常に最新情報を把握して自社製品を適合させ続ける継続的な管理体制も欠かせません。社内リソースのみで対応しようとすると、規格の解釈ミスによる再試験や製品回収といった重大なリスクを招く恐れがあります。
確実かつ迅速に欧州市場でのビジネスを成功させるためには、貿易実務や認証制度に精通した専門家へ相談し、的確な支援を受けることが最も賢明な選択です。まずは専門家への相談を検討してみることを強くお勧めします。




