日本の伝統文化である盆栽。海外では盆栽が足りないと言われるほどの人気を博しています。2020年には黒松盆栽のEU輸出が解禁されたこともあり、22年の盆栽輸出本数は20年に比べて3割も伸びました。盆栽の輸出はコロナの影響を受けずに増加しており、国際的な注目を浴びています。
本記事ではそんな世界で注目を集める盆栽について、輸出ビジネスの秘訣と戦略を解説していきます。
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盆栽輸出ビジネスの成功事例

香川県高松市は日本一の松の盆栽の産地であり、EUへの黒松の盆栽輸出が解禁されてから、ヨーロッパへのが急速に進行しています。
EUへの黒松盆栽の輸出は、令和2年10月に解禁されたものの、2年間の植物防疫所での登録と栽培管理が必要であったため、期間終了後、2023年の年明けから輸出が本格化しました。松市の鬼無植木盆栽センターでは、オランダとスペインのバイヤーとの商談会で500本以上の盆栽が購入されました。
盆栽の主な輸出国

輸出国・地域のトップは中国(46%)、次いで台湾(14%)、スペイン(10%)、オランダ(9%)、イタリア(5%)と続きます。特にスペインは黒松を育てる気候に合っているため、ヨーロッパの中でも特に人気が高いと考えられます。
また、欧州連合(EU)が求めているのは樹齢15年ほどの黒松ですが、15年前に供給過多となり産地は松を植えていなかったため、在庫が少ない状況が続いています。国内の盆栽の生産は減り続けているため、地方はコンテストなどを通して若者の生産者を増やそうと活動しています。
盆栽輸出は海外での需要拡大という大きなチャンスがありますが、供給不足や厳しい規制対応といった課題も伴います。適切な準備をすれば安定した成長市場に参入できる可能性があります。

盆栽輸出の規制

植物の輸出には各国ごとに厳格な規制が設けられています。木製箱を使う場合も基準を満たす必要があるため、出荷前には必ず植物防疫所やEUの関連サイトで最新情報を確認しましょう。
EUの場合
輸入禁止品目
- 特定の生植物やその部分(マツ属・ヒノキ属などの一部を除く)
- 果樹類の一部(カンキツ、クリ、ブドウなど)
- カリン、サクラ、ナシ、リンゴ属の栽培用植物
- バラ、カナメモチ、サンザシなど一部植物
- ジャガイモ塊茎、クリ属の樹皮、土壌 ほか
植物検疫証明書が必要な品目
- 栽培用植物、種子、球根類
- 切り花・切り枝
- 果実(パイナップル、ココナッツなどを除く)
- 野菜
- 木材・樹皮・木製品
- 中古農林業機械
特別条件付きで輸入可能な品目
- 特定の種子(トウモロコシ、トマトなど)
- キクやナデシコの切り花
- サクランボやナシなどの果実
- 針葉樹・広葉樹の木材 ほか
梱包基準(EU)
対象は木材を使用した包装材やパレットなど。国際基準No.15に基づく消毒・剥皮処理が義務付けられ、消毒済みであることを示すマーク表示が必要です。

まとめ: 盆栽輸出で拓く未来

盆栽は海外で高い人気を誇り、日本の伝統文化を活かした輸出ビジネスとして注目されています。黒松を中心に輸出本数も増加しており、特にヨーロッパで需要が高まっています。一方で、供給不足や輸出規制への対応は避けられない課題です。
輸出を成功させるには、現地ニーズに合った品質管理と法規制の遵守が不可欠です。市場拡大の波を捉えれば、長期的に安定したビジネス展開が可能となるでしょう。
最後に、実際の輸出を検討される際には専門家に相談することをおすすめします。
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