カナダ貿易・輸出の基礎知識(2025年更新)

カナダの基本的な情報(2025年時点)

カナダは北アメリカ大陸の北部に位置する世界第2位の面積を持つ国家で、豊富な資源と安定した政治体制を背景に、高度に発展した経済を築いています。

以下に、2025年時点の主要な経済・貿易指標を表形式で整理します。

項目 内容(2025年時点)
人口 約3,981万人(2024年推計)
首都 オタワ
公用語 英語、フランス語(地域により話者比率が異なる)
通貨 カナダドル(CAD)
名目GDP 約2兆3,000億ドル(世界第9位前後)
経済成長率 2023年:+3.1%、2024年:+1.4%、2025年予測:+1.6%
経済構成比 サービス業:約70%、工業:約28%、農業・資源:約2%

カナダの経済は、エネルギー・鉱物・林産品といった豊富な天然資源に支えられており、原油や天然ガスは主要な輸出品目として米国をはじめとする諸外国に供給されています。加えて、鉄鉱石、銅、金、ニッケル、木材などの資源も豊富で、製品加工やグリーンエネルギー分野との関連性が高まっています。

一方で、自動車産業や航空機部品、通信機器などの製造業も国際的に競争力を持ち、製造品輸出も経済の柱の一つです。これらの産業はアメリカとの経済連携に深く結びついており、カナダの輸出総額の約75%がアメリカ向けです。

日本との関係においても、経済協力は年々強化されており、2021年には日本からカナダへの直接投資額が約460億カナダドルに達し、カナダにとってアジアで最大の対日直接投資国となりました。自動車、エネルギー、素材、ICTなどの分野で多くの日本企業が拠点を構えています。

さらに、CPTPP(包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定)の発効により、日本とカナダの間では貿易障壁が一段と低くなっており、関税撤廃や原産地規則の緩和といった恩恵が企業活動に大きく貢献しています。

カナダは、経済の安定性、自然資源の戦略的重要性、米国市場へのアクセスのしやすさといった特長から、今後も日本企業にとって魅力的な貿易・投資先であり続けると見込まれます。特に近年注目されている分野は、脱炭素、再生可能エネルギー、EV用バッテリー資源(リチウム・ニッケルなど)であり、サステナブル経済に向けた日加連携の拡大が期待されています。

世界有数の経済大国・カナダ(2025年時点)

カナダは、G7(主要先進国)に名を連ねる世界有数の経済大国として、国際経済の中で安定性と信頼性の高い貿易・投資環境を提供しています。特に、米国との密接な経済関係を基盤に、EUやアジア太平洋諸国との連携強化にも積極的に取り組んでおり、多国間貿易体制の中で重要な役割を果たしています。

現在、カナダは以下のような主要な国際経済枠組みに参加しており、これらを通じて輸出入の自由化や投資環境の整備を進めています。

国際枠組み名 主な内容と役割
CPTPP(環太平洋パートナーシップ) 日本を含むアジア太平洋11か国と
関税撤廃・貿易円滑化を推進
USMCA(米・加・メキシコ協定) 北米域内のサプライチェーンを支える
自由貿易協定
CETA
(カナダ・EU間包括的経済貿易協定)
欧州との経済連携を深化。
関税撤廃と投資保護を包括
WTO(世界貿易機関) 多国間の貿易ルールを支える中核機関
APEC(アジア太平洋経済協力) アジア市場との戦略的な
対話と経済協力を推進

これらの枠組みにより、カナダは主要3大経済圏(北米・欧州・アジア太平洋)すべてとFTA水準の経済連携を持つ数少ない国であり、企業にとっては「世界とつながる起点」として戦略的に魅力的な拠点とされています。

さらに、政府は輸出・投資支援を目的として、以下のような機関を通じて国内外の企業を支援しています。

・カナダ貿易局(Export Development Canada, EDC)
 輸出金融、信用保険、リスク管理などを提供し、中小企業の国際展開をサポート

・カナダ産業政策局(Innovation, Science and Economic Development Canada, ISED)
 技術革新、スマート製造、外国直接投資の誘致、知財戦略などを統括

・Invest in Canada
 外国企業向けの立地支援やインセンティブ案内を行う投資促進機関

また、気候変動対策やグリーン経済への移行が加速する中、カナダはEV用バッテリー素材(リチウム・ニッケル・コバルトなど)を含む「戦略的資源」の供給国としても注目されており、日本やEUとの共同開発・加工拠点化も進められています。

このようにカナダは、通商ネットワークの広さ、政策支援の充実、そして資源と技術のバランスの取れた国力を活かし、2025年以降も国際経済における安定的なパートナーとしての地位を強化し続けると見られています。

カナダの商品別・地域別の輸出構成比

カナダの輸出は、エネルギーや自動車関連を中心に多様化しており、最大の貿易相手国であるアメリカを中心に、アジア・欧州との取引も拡大しています。以下は2023年通年の統計に基づいた輸出構成の概要です。

商品別輸出構成比(2023年)

輸出品目 構成比(%)
石油・天然ガス 21.3%
自動車・自動車部品 11.8%
木材・製材製品 3.9%
農産物(穀物・菜種など) 3.6%
石油製品(精製品) 3.4%
鉱物(ニッケル・銅等) 2.8%
パルプ・紙・紙製品 2.4%
電気・電子機器 2.2%
医薬品・バイオ製品 1.9%
鉄鋼製品 1.7%

※出典:Statistics Canada, 2024年報告書(2023年輸出実績)

商品別輸入構成比(2023年)

輸入品目 構成比(%)
電気・電子機器(携帯・PC等) 14.9%
自動車・自動車部品 13.5%
原油・石油製品 10.8%
医薬品 5.6%
機械設備・産業用機械 5.2%
コンピュータ関連機器 4.8%
衣料品・繊維製品 3.7%
食料品・農産加工品 3.3%
鉄鋼・非鉄金属 2.9%
プラスチック・ゴム製品 2.6%

※出典:Statistics Canada, Annual Trade Data 2024(2023年輸入実績)

地域別輸出構成比(2023年)

地域 構成比(%)
アメリカ合衆国 72.6%
アジア 12.7%
ヨーロッパ 10.5%
中南米 2.4%
アフリカ 1.1%
オセアニア 0.7%

※アジア地域では中国、日本、韓国への輸出が中心。ヨーロッパではイギリス、ドイツ、オランダ向けが多い傾向にあります。

カナダとの貿易において押さえておくべきポイント(2025年時点)

カナダはG7の一員であり、安定した法制度と整備されたインフラを持つ先進国です。人口は約3,900万人と市場規模も大きく、日本企業にとって魅力的な輸出入先です。ただし、カナダとの貿易にはいくつかの実務的留意点が存在します。

輸出入許可制度

カナダでは多くの品目は自由貿易の対象ですが、特定品目については輸出入の際に許可証が必要となります。

輸入に関する注意点

・カナダの「輸入管理リスト(Import Control List)」に指定された品目を輸入する場合、カナダグローバル連携省(Global Affairs Canada)の貿易管理局(TID)からの事前許可が必要です。

・主な対象品目には以下が含まれます:

衣料品・繊維製品の一部

農産品(乳製品、鶏肉など)

アルコール類(ビール・ワインなど)

・輸入通関前に、適切な輸入許可を取得し、場合によっては関税割当(TRQ)制度に従う必要があります。

輸出に関する注意点

・「輸出管理リスト(Export Control List)」に掲載された品目(例:軍用品、先端技術、二重用途品目など)を輸出するには、輸出許可証の取得が義務付けられています

・対象地域への輸出(例:制裁国や軍事紛争地域)についても、包括的な規制が適用されます。

・輸出許可が必要な場合、オンライン申請ポータル(EXCOL)を通じて、詳細情報とともに申請します。

・輸出後には、輸出報告義務も課せられることがあります。

カナダとの貿易における留意点まとめ

分類 内容
輸入規制 管理対象品目に関しては許可証が必要。TRQ制度に注意
輸出規制 軍用品・先端技術・制裁対象地域向けは輸出許可証を要する
関連機関 Global Affairs Canada(貿易管理局)、
Canada Border Services Agency等
注意点 輸出入ともに「管理リスト」該当品目の確認が必要。オンライン申請可

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