海外進出を目指す企業にとって、製品や技術を輸出する際の規制は見過ごせない課題です。大量破壊兵器や先端技術関連を対象とした「リスト規制」、およびリスト外でも用途や相手国により許可が必要となる「キャッチオール規制」など、日本の安全保障に基づいた制度は複雑です。
本記事では、こうした輸出管理制度の基本を整理し、自社製品が該当するかを正しく確認するために必要なポイントをわかりやすく解説します。
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海外輸出規制の基礎知識
国内産業の先細りや円安などを背景に、海外進出を検討する企業も増えてきています。
しかし、海外に自社製品を輸出するためには、様々な壁があります。
そのハードルの高さから、なかなか海外に進出できない企業も多くあるのが現状です。
その中の1つに上がるのが輸出規制の問題です。今回は、そういった海外輸出の規制問題について紹介していきたいと思います。
安全保障のための輸出管理
まず、なぜ輸出に規制が存在するのかというと国民である私たちの安全を守るためです。
このような安全保障の観点から輸出規制がなされています。
例えば、近年、北朝鮮からのミサイル発射やロシアの戦争問題がよくニュースで取り上げられています。
こういった大量破壊兵器などの兵器の拡散は世界的にも問題視されています。
このような背景から、大量破壊兵器の開発や製造が一般市民の生活を脅かさないように
外国為替及び外国貿易法という法律で管理されています。もちろん、輸出も同じように管理する必要があります。
外為法で規制されているものや技術を輸出するには、原則として経済産業大臣の認可を受ける必要があります。
日本の安全保障輸出管理制度は、化学兵器禁止条約などの国際的な合意に基づき行われています。
この規制には2種類あり、主に、炭素繊維や工作機械など、
ある一定のスペック以上のものを要するものや技術を規制する「リスト規制」とリスト規制に該当しないが、
一定以上の要件を満たしたものや技術を輸出するのを規制する「キャッチオール規制」があります。

リスト規制とは?
リスト規制とは、その名の通り輸出に関して許可が必要なものや技術がリスト化されているものです。
リスト規制は、貨物や技術の機能や性能に注目した規制です。
具体的なスペックや機能は、経済産業省の省令である
「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」にて規定されています。
- 武器類
- 核兵器含む原子力関連
- 化学兵器
- 生物兵器
- ミサイル
- 先端材料
- 材料加工
- エレクトロニクス
- コンピュータ
リスト規制には以上のような製品が該当しています。
これらは前述したとおり、国家、国民の安全に支障をきたす可能性のある製品や製造に高度な技術を要する製品群です。
これらの製品は、国際条約で定められているように経済産業省の認可が必要です。
また、通信関連やセンサー、レーザー、海洋技術などの技術もリスト規制の対象になります。
こういった通常兵器や大量破壊兵器のリスト規制の対象地域は、拡散防止の意図から基本的に全地域となっています。
また、特別に国際的に懸念のある地域として北朝鮮、イラン、イラクが指定されています。
日本の輸出管理制度では、安全保障上デリケートな製品・技術(武器関連や先端材料など)は「リスト規制」として輸出に経済産業大臣の認可が必須です。さらに、リスト未掲載でも用途や輸出先次第で規制対象になる「キャッチオール規制」があり、どちらも輸出リスクに対する注意と制度理解が不可欠です。

キャッチオール規制とは?
リスト規制に該当しないものが全て輸出できるわけではありません。
このリスト規制には該当しないが、需要者や用途によって、ある一定の要件が課されているものをキャッチオール規制といいます。
キャッチオール規制は、湾岸戦争終了後の調査でイラクがリスト規制に該当しない背う品を使用して
大量破壊兵器を開発していたことから導入されました。
この規制は、リスト規制のように全ての地域が対象ではなく、アメリカやEUに属している国などは対象外となります。
また、上記の国以外に輸出する際にも、
輸出されているものが大量破壊兵器に用いられないかどうかの用途要件と製品を取り扱う人が
大量破壊兵器を開発していないかどうかの需要者要件の二つの要件をクリアする必要があります。
この二つの要件さえクリアしてしまえば、輸出することが可能となります。
自社の製品や技術がどの規制に当てはまるかわからない場合は経済産業省に相談してみるのがよいでしょう。
STANDAGEはこういった規制や認証面のサポートも行っております。海外進出にご興味のある方は是非ご相談ください。
まとめ
輸出規制は、国際安全保障と企業活動の両面に大きく関わる重要テーマです。リスト規制とキャッチオール規制を正しく理解し、該当品目・用途・輸出先を的確に判断することが求められます。
特に中小企業にとっては制度の複雑さが進出の壁になりやすいため、事前に制度を把握し、専門機関や行政への相談を徹底することがリスク回避につながります。
輸出管理の遵守は単なる法的義務にとどまらず、国際的な信頼の確保や持続的な事業展開の基盤となるものです。
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