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輸出事業計画について
我が国で生産された農林水産物又は食品の輸出のための取組を行う者は、単独で又は共同して、農林水産物又は食品の輸出の拡大を図るためこれらの生産、製造、加工又は流通の合理化、高度化その他の改善を図る事業(以下「輸出事業」という。)に関する計画(以下「輸出事業計画」という。)を作成し、農林水産省令で定めるところにより、これを農林水産大臣に提出して、その認定を受けることができます。
そもそも輸出事業計画って何?
農林水産物や食品の輸出拡大に取り組んでいる者に対し、農林水産省が支援を行う制度です。製造者は、生産・製造・加工・流通のプロセスを改善、能力をより高めて行く上で支援を受けることができます。以下に、受けることができる支援について記載します。
輸出事業計画が認定されることのメリット
輸出事業計画の認定を受けることで、主に3つのメリットを享受できます。
1つ目に、輸出関連事業等の優遇措置が挙げられます。
2つ目に、支援チーム(国、JETRO、都道府県、専門家等)によるサポートを受けることができます。ただし、事業計画申請時点で、コンサルティング会社やJETROからのアドバイスを受けてPDCAサイクルを回せる環境を整えて行く必要があります。
3つ目に、日本政策金融公庫による融資(食品流通改善資金、HACCP資金)を受けることができます。
輸出事業計画の種類
輸出事業計画は7つの類型に分類することができます。
①GFPグローバル産地づくり推進事業を活用する場合
②輸出関連事業等における優遇措置(優先採択等)を希望する場合
③ 支援チームによるサポート等を希望する場合
④ 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略(令和2年12月農林水産業・地域の活力創造本部 決定。以下「実行戦略」という。)に基づきリスト化された輸出産地・事業者
⑤ 日本政策金融公庫の制度資金の活用を希望する場合
⑥ ①~⑤の複合型
⑦ 計画策定のみで特段の支援を希望しない場合
輸出事業計画書の記入
輸出事業計画(様式1)は、以下の4つの基準を満たし、それらを網羅的に記載する必要があります。4つの基準は以下の通りです。
(1)ターゲットとする輸出先国のニーズを具体的に把握していること。
(2)輸出に対応するための課題と取組が明確な内容となっていること。
(3)目標年における輸出額の設定が現在の商流と新たな商流から適正な設定となってること。
(4)計画の策定、計画策定後の実証や策定した計画の見直しを行うため、コンサルティング会社、JETRO、輸出の専門家などの輸出事業に関する知見を有する者と連携して、PDCAサイクルを回せる体制が整備されていること。
主な記入事項
輸出事業計画は様式1と公表用の様式2があります。様式1においては、事業概要や実施期間の記入の次に、輸出に当たってのニーズの把握状況(背景と根拠)を記入します。
①【背景】には、輸出品目の特色等を記入します。②【これまでの輸出の取り組み】、③【ターゲット国のニーズ及び規制等】の三つの内容を盛り込む必要があります。
次に課題と取組内容を記入する必要があります。ここでは、輸出の拡大を図るため、生産、製造、加工又は流通の改善を図る取組を記載します。
他には、現在の商流の状況と今後の商流の展開、事業の組織体系図及び連携体制図、輸出する農林水産物・食品の現状及び目標、資金計画、その他特記事項等を記入します。
品目ごとの注意事項
輸出品目によって、衛生水準、検疫基準等を守っているか、また、競合他国との差別化が図れているかを考慮して、取り組み内容を検討する必要があります。
輸出品目によって留意事項は異なりますので、品目ごとに注意事項を以下に記載しました。
牛肉・豚肉・鶏肉・鶏卵・牛乳乳製品
食肉処理施設の衛生水準等、輸出先国が要求する条件へ対応したものとなっている必要があります。
輸出産地リストに選定された産地・事業者(コンソーシアム)の輸出事業計画の場合では、生産者、食肉処理施設等、輸出事業者が連携して、生産から輸出まで一貫して輸出促進を図る取組となっていること、また実行戦略に基づく国別の輸出額目標を踏まえ、輸出事業計画において適切な輸出額目標が設定されている必要があります。
茶
産地と輸出事業者が連携した取組になっているか確認する必要があります。「2 輸出に当たってのニーズの把握状況」には、輸出先国・地域のニーズに加え、残留農薬 基準等の対応を要する規制の内容を記入します。
「3 課題と取組内容」には、以下の点がわかるよう記入する必要があります。
・有機栽培・国の防除体系別の作付面積、生産量、出荷時期、輸出向けの出荷量等について、 現状値と目標値、目標値の考え方(例えば、取引先から最低ロットとして○tを求められた ことがある等。)
・目標に向けてどのように対応していくのかの方向性と、その課題。
・現時点で連携する輸出事業者がいない場合には、自ら輸出するのか、または将来的に輸出事業者との連携を考えているのかを含め、どのように販路の開拓を行い、輸出につなげていくのか。スケジュールもわかるように記入します。
「5 事業の組織体系図及び連携体制図」には、産地、卸売・輸出事業者等の役割分担の有無、 それぞれの産地・事業者が行う取組を明確にした連携体制の図を記入すること。
水産物(ぶり、たい、ホタテ貝、真珠)
実行戦略の別表1(品目別輸出目標)の記載も参考に、自らの輸出事業の抱える課題と対応を 明確化します。 輸出先国・地域のニーズに加えて、食品衛生基準や薬剤残留基準等の輸出先国・地域の規制 とその対応についても把握している範囲で記入します。
輸出事業計画の策定主体が生産者である場合は、現在の生産量だけでなく、取引先等を通じて 現在の輸出実績についても把握し、記載します。
策定主体が加工・流通・輸出事業者である場合は、仕入先である生産者等を通じて、現在の生産量や輸出向け生産量について把握し記載する必要があります。 このほか、以下について留意する必要があります。
・対象とする品目が、条約や輸出先国の法令等により輸出禁止又は制限されている品目であり、 これから輸出が解禁されるはずといった楽観的な予測となっていないか。
・輸出先国と我が国との関係の変化や輸出先国による食品安全規制の強化による輸出量の急減など、突発的に生じる輸出ビジネス上のリスクについて検討が加えられているか。
・画像等の使用にあたって著作権等の権利関係に留意するほか、公開されている輸出事業計画(様式2)のコンプライアンスの観点からチェックします。
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