日本酒の海外市場での拡大戦略と基盤?海外展開の戦略と基礎

 

目次

    「日本酒」の世界的な人気は継続的な伸びを見せています。世界市場が拡大していることから、今後酒類輸出を計画している企業や酒造担当者は、輸出の動向、輸出に必要なライセンス、各国ごとの酒類輸出時の留意点などを把握しておく必要があるでしょう。

    日本の酒類のピーク生産量は1975年に約167万5千キロリットルに達したことがありますが、2020年現在、国内市場の縮小により生産量はその4分の1にまで減少しています。国内市場は縮小している一方で、海外では「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、海外での日本酒の人気は急上昇しています。それに伴い、酒類の輸出額は継続的に増加し、2021年には400億円を超え、約10年で約4倍の増加となりました。

    こうした中、「海外への輸出と高級化が今後の成長の鍵になる」との見方も出てきています。海外の日本酒の消費者層はワイン愛好家であり、彼らに向けたマーケティングが効果を発揮しているためです。魅力的な市場が目の前に広がっている以上、そのチャンスを逃すわけにはいかないでしょう。 そのため今回は、日本酒の輸出の流れと必要な書類についてわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

    日本酒輸出の流れ

    1.フォワーダー(貨物代理店)への輸送依頼

    フォワーダーは、荷主に代わって運送の手配や手続きなどを一括して代行する業者です。フォワーダーがあるからこそ、迅速な物流作業が可能になります。個人が単独で輸出を進めたり、あるいは十分な海外輸送実績がない企業が輸出を進めると、費用と時間が必要以上にかかる可能性があるため、フォワーダーと一緒に手続きを行うことが効果的です。

    2.通関書類の作成

    まず、輸出しようとする物品を税関に申告して通関手続きをする必要があります。 この時に必要な書類を通関書類といいます。

    通関時に必要な書類は基本的に「輸出申告書」、「INVOICE(仕入書)」、「Packing List(梱包明細書)」があります。このうち、輸出申告書は、通関を代行する通関業者が作成してくれるので、自分で準備する必要はありません。 ただし、INVOICEとPacking Listは、原則として輸出を行う業者が直接作成しなければならないので、事前に作成しておくことが望ましいです。作成が難しい場合は、通関書類の作成を代行してくれる業者もありますのでご安心ください!

    3.貨物梱包作業

    輸出品はトラックで輸送する場合とは異なり、海上や航空で長時間輸送するため、突然の大きな揺れにも耐えられる丈夫な梱包が必要です。 また、特に日本酒の場合、お酒の味は温度や湿度に敏感な場合があるため、コンテナの温度を一定に保つことができる「リーファーコンテナ」を使用して輸出を行うことをお勧めします。

    4.保税地域への貨物搬入

    保税地域は、外国から入ってきた貨物やこれから輸出する貨物を保管する倉庫のことで、税関の管理管轄区域です。税関で輸出通関手続きが始まる前に、しばらく待機する場所と考えれば良いでしょう。

    5.税関の輸出通関手続き

    保税地域に搬入されると、通関業者を通じて税関に輸出通関を依頼し、本格的に輸出手続きを開始することができます。通関業者は、通関手続きを専門的に行う専門業者で、輸出申告書類の作成や申告、税関との交渉、貨物検査立会いなど、輸出のための法律的な作業を代行してくれることがあります。代行報酬は思ったより安く、相場は4,000円から6,000円の間で依頼できるので、手続きが面倒な方は通関業者に依頼することをおすすめします。

    6.出港

    輸出許可を受けた貨物は、船会社から「Bill of Lading(B/L、船荷証券)が発行され、航空会社の場合は「Air Waybill(Air Waybill)」といういわゆる「荷物保管証」が発行されます。B/LとAir WayBillは、輸出入手続きがすべて終了するまで必ず保管してください。 その後、天候に問題がなければ、いよいよ貨物が海外に向かいます。

    7.現地到着~現地保税地域への搬入

    到着した貨物は、現地の保税地域に搬入されます。日本からの貨物は「外国貨物」として扱われるため、各国が求める基準に従って貨物の審査、検査、税金の徴収を行う必要があります。

    8.輸入(納税)申告

    現地パートナーである通関業者が輸入(納税)申告を代行してくれます。この時、インボイス、パッキングリスト、A/WまたはB/L、貨物保険に加入している場合は保険証券が必要です。必ず必要になってくるので、記入した書類は必ず全て保管してください!

    9.輸入国での流通

    輸入申告を済ませ、輸入許可を取得すると、貨物を現地に持ち込むことがいよいよできるようになります。

     

    必要な書類について

    1.INVOICE(インボイス)

    インボイス(Invoice)は仕入書を意味し、輸出者が輸入者に発行する書類です。

    インボイスには輸出入者名、品目名、数量、価格、契約条件、目的地などの契約内容が記載されます。インボイスに記載されるすべての項目は関税法の規定として定められています。インボイスは輸入地の通関手続きにも使用されるため、作成後、現地パートナーに送付し、輸出プロセスが終了するまで必ず保管するようご注意ください。

    2. Packing List(パッキングリスト)

    貨物の個数、重量、容積など貨物の状態を記載する書類です。通関時に必須書類として規定されてはいませんが、税関で提出を要求されることが多いため、インボイスと一緒に作成するのが一般的です。難しい書類ではないので、輸出経験のない方も簡単に作成することができますよ!

    3. Shipping Instruction(シッピングインストラクション)

    フォワーダーに運送を依頼する際に作成する依頼書です。 すなわち、フォワーダーから輸出を依頼する場合に必要な書類と言えます。このShipping Instructionが原本となり、船会社の場合は「Bill of Lading(船荷証券:B/L)」を、航空会社の場合は「Air Waybill(航空貨物運送状)」を発行してもらうことになります。インは

    輸入地で輸入通関をする際に必要な書類でもあるので、発行されたらすぐに現地のパートナーに送る必要があります。

    4.委任状

    委任状は、初めて通関業者に通関手続きの代行を依頼する際に作成する書類です。関業法という法律に規定されており、必ず発行しなければならない書類です。

    日本酒を国外に輸出する時、税金がかかりますか?

    基本的に輸出に対する税金は免除されます。製造者が直接輸出する場合、酒類製造者から酒類を購入して輸出する場合、所定の手続きを行うことで酒税が免除されます。しかし、期間内に手続きを行わないと酒税が課される可能性がありますので、必ず忘れないでくださいね!

    免税条件は以下の通りです

    1.期限内の申告であること

    2.酒税納税申告書に税率区分・数量等が記載された明細書を添付すること。

    詳しくは下記をご覧ください。

    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sake/01.pdf

    輸出に必要なライセンスは何ですか?

    酒類を輸出するためには、事前に「輸出酒類卸売業免許輸出酒類卸売業免許」を取得する必要があります。免許を取得するために申請する時点で、輸出する取引先が決まっていることが条件となります。そのため、輸出申請の前に、展示会や見本市など海外の取引先と接触できるルートで取引先を必ず見つけておく必要があります。なお、「酒類製造者が直接製造した酒類を輸出する場合」は、この免許は必要ありませんのでご留意ください。また、インターネット通販で酒類を販売する場合は、別途「通信販売酒類小売業免許」を取得する必要があります。

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