インボイス作成の全てがわかる!貿易業務の効率アップ術

貿易の現場では必ず登場するインボイスですが、実際に作成するとなると「どの項目をどう書けばいいのか」と迷う場面が少なくありません。取引や通関をスムーズに進めるためには、必要な記載事項や正しい表現を理解しておくことが必要です。

この記事では、インボイスに盛り込むべき基本項目や作成時に役立つ英語表現、さらに取引条件を定めるインコタームズまでをまとめて解説し、実務にすぐ活かせる知識を紹介します。

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貿易で欠かせないインボイスとは?

インボイス(Invoice)は、貿易およびビジネス取引において、商品やサービスの売買に関する重要な文書の一つです。インボイスは通常、販売者(出荷者)が買い手(受取人)に対して商品やサービスの提供とそれに関連する支払い情報を提供する文書です。輸出入通関の際に税関へ提出することが義務づけられた重要な書類です。

インボイスにはプロフォーマ・インボイス、コマーシャル・インボイス、シッピング・インボイス、カスタムズ・インボイスの四つの種類がありますが、コマーシャル・インボイスが正式なインボイスとなるため、ここではコマーシャル・インボイスのみ解説します。

インボイス記入事項

実際にインボイスに記入しなければならない事項を見ていきましょう。これらは基本的に全て英語で書きましょう。

  • 輸出者情報:輸出者の情報が記載されます。これには会社のロゴ、社名、住所、電話番号、FAX番号などが含まれます。個人が輸出者の場合、住所などが署名欄に記載されることもあります。
  • インボイス番号:インボイスの一意の番号がここに記載されます。輸出者が独自の番号を割り当てます。
  • 作成年月日:インボイスの作成日が記載されます。
  • 品名:輸出される商品の代表的な名称がここに記載されます。複数の商品がある場合、代表的な商品名に加えて “& ETC” などと記載し、詳細な商品説明は別の欄に記載されることがあります。
  • 船名:海上輸送の場合、船名が記載されます。航空輸送の場合は “AIR” または “AIR FREIGHT” のように記載し、航空便の詳細は別の欄に記載されます。
  • 出港予定日:出港予定日が記載されます。通常は “ON OR ABOUT” と記載されますが、 “ON” のみの記載もあります。
  • 出港地:出港地の情報が記載されます。
  • 仕向地:輸送先の情報が記載されます。
  • 輸入者名、住所:輸入者の名前と住所が記載されます。異なるインボイスでは “SHIPPED TO,” “ACCOUNTEE,” “CONSIGNEE” などのタイトルが使用されることがあります。
  • 支払条件:支払いの条件が記載されます。具体的な支払い方法に関する情報がここに含まれます。
  • ケースマーク:商品の梱包物に記載されるケースマークがここに記載されます。別のタイトルとして “CASE MARK” などが使用されることもあります。
  • 品名:商品に関する詳細な情報が記載されます。品番、型番などが具体的に記載されます。注文番号などもここに含まれることがあります。
  • 数量:商品の数量が記載されます。数量の単位(例: PCE、KG)も同時に記載されます。
  • 単価:商品の単価が通貨コードと共に記載されます。通貨はドル ($) 以外にもさまざまな通貨が使用されるため、正確な通貨コードを記載する必要があります。
  • 金額:単価と数量から計算された金額が記載されます。税関への申告価格は通常 FOB(Free on Board)価格で記載されます。
  • 建値(取引条件):インコタームズと呼ばれる国際的な貿易条件が記載されます。これにより、貿易取引の条件が規定されます。
  • 無償:無償で提供される商品の場合、その旨が記載されます。また、無償であっても、申告価格が記載される必要があります。
  • 原産地:商品の原産地が記載されます。原産地情報は関税率の決定に関連しています。
  • 署名欄:インボイスに自筆の署名が必要で、肩書き(職位)も記載されることがあります。

インボイスは貿易の基盤を支える重要書類で、正確に作成すれば取引が円滑に進みます。一方で、誤記や不備があると通関遅延やトラブルにつながるリスクもあります。

インボイス作成時に役立つ単語

貿易時のインボイスは英語で作成しないといけないため、そこで必要になる単語をここで紹介いたします。

支払い条件

取立為替

  • 信用状 (Irrevocable Letter of Credit)
  • 信用状無
    手形支払書類渡し (D/P Documents against Payment)
    ・手形引受書類渡し (D/A Documents against Acceptance)

送金為替

  • 銀行為替
    電信送金(T/T Remittance:Telegraphic Transfer Remittance)
    送金小切手 (Demand Draフィート)
    郵便送金 (M/T: Mail Transfer)
  • 国際郵便為替 (Postal Money Order)

その他

  • 前払い (Advanced Payment)
  • 現金引換商品渡し決済(Cash on Delivery)
  • 現金引換書類渡し決済(Cash Against Document)

インコタームズ

インコタームズとは、貿易の方法をアルファベット3文字で表したものです。価格の欄に記入することが義務付けられています。

Rules for Any Mode or Modes of Transport(あらゆる輸送形態に適した規則)

  • EXW:Ex Works 工場渡
  • FCA:Free Carrier 運送人渡
  • CPT:Carriage Paid To 輸送費込
  • CIP:Carriage and Insurance Paid To 輸送費保険料込
  • DAT:Delivered at Terminal ターミナル持込渡
  • DAP:Delivered at Placel 向地持込渡
  • DDP:Delivered Duty Paid 関税込・仕向地持込渡

Rules for Sea and Inland Waterway Transport(海上および内陸水路輸送のための規則)

  • FAS:Free Alongside Ship 船側渡
  • FOB:Free On Board 本船渡
  • CFR:Cost and Freight 運賃込|
  • CIF:Cost, Insurance and Freight 運賃保険料込

まとめ

インボイスは貿易実務において不可欠な書類であり、記載内容次第で取引の円滑さが大きく左右されます。輸出者・輸入者情報、品名、数量、金額、インコタームズといった基本項目を正しく記入することが求められます。
さらに、支払条件や決済方法、英語表現の理解も欠かせません。適切なインボイスを作成できれば、通関手続きの円滑化や取引先からの信頼獲得につながります。

最後に、実務で不安がある場合は専門家に相談することをおすすめします

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