インドビジネス成功の秘訣!完全ガイド

最近、中国を抜いて世界一の人口を抱える国となったインドは、いま日本企業にとって最も注目すべき成長市場の一つです。ジェトロの地域・分析レポートによると、2022年度における在インド日系企業の営業利益黒字率は71.9%に達し、過去最高を更新しました。

さらに、今後1~2年で事業拡大を予定する企業は72.5%と、インド市場への期待は一段と高まっています。
人口増加と中間層の拡大、IT・製造業を軸とした経済成長を背景に、インドはアジア・オセアニア、さらには世界全体の平均を上回る成長を続けています。

本記事では、こうした環境の中で成果を上げている在インド日本企業の成功事例を踏まえつつ、インド進出に必要な基礎知識、需要のある日本製品、人材、実際の進出プロセスまでを体系的に解説します。

インドってどんな国?

南アジアに位置するインドは、人口・国土・文化・経済規模のいずれにおいても世界有数のスケールを持つ国です。州ごとに言語や宗教、生活習慣が大きく異なり、一つの国家というより「複数の国が集まった大陸」に近い性格を持っています。

ここでは、インドを理解するうえで押さえておきたい基本的な特徴を整理します。

人口・国土規模から見るインドの存在感

インドは世界最大の人口を抱える国であり、その人口規模はすでに中国を上回っています。国土面積も日本の約8.8倍と広大で、地域によって気候や産業構造が大きく異なります。この人口と国土の規模は、消費市場としての潜在力だけでなく、労働力や内需主導型経済としての強みを形成しています。

首都はニューデリーで、首都圏人口は約2,900万人に達し、世界有数の巨大都市圏を形成しています。こうした都市集中と地方の多様性が併存している点も、インド経済の特徴の一つです。

言語・宗教・食文化に見るインドの多様性

インドの公用語はヒンディー語と英語ですが、実際には州ごとに異なる言語が使用されており、その数は数十種類に及びます。宗教面ではヒンドゥー教が多数派である一方、イスラム教徒も多く、多宗教社会が形成されています。

食文化も地域差が大きく、宗教的背景から国民の約6割がベジタリアンとされる点は、インド市場を考えるうえで重要な要素です。食品・外食・輸出ビジネスにおいては、宗教や食習慣への理解が欠かせません

IT・製造業を軸に成長するインド経済

近年のインドは、IT産業を中心に世界的な注目を集めています。特にベンガロールは「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、多国籍IT企業やスタートアップが集積する技術拠点として成長を続けています。

一方、チェンナイ周辺では自動車産業が発展しており、製造業の重要拠点として位置づけられています。こうした産業成長の背景には、モディ首相による経済改革、いわゆるモディノミクスがあり、インフラ整備や外資誘致が進められてきました。

インド市場を理解するためには、人口規模や文化的多様性、経済構造といった基礎情報を押さえることが欠かせません。
インド輸出の基本ルールについては以下の記事をご覧ください。

インドで需要のある日本製品

経済成長と中間層・富裕層の拡大を背景に、インドでは日本製品への関心が着実に高まっています。品質や安全性、デザイン性が評価され、食品から生活用品、産業分野まで幅広い分野で日本製品が受け入れられています。

インド市場で実際に需要のある日本製品一覧

  • 抹茶
    インドで抹茶が広まり、高級紅茶店やカフェで提供される。日本からの輸入抹茶が人気で、高所得者層や外国人駐在員にも愛されています。
  • お菓子
    日本を訪れたインド人の約50%は日本のお菓子を購入しており、他の商品に大きな差をつけ1番の人気を誇っています。
  • 日本酒
    インドの高級リカーショップで日本酒や梅酒、焼酎などが販売され、日本製のお酒が人気です。
  • 日本の弁当箱
    “Vaya”という会社が日本人デザイナーによる保温できる弁当箱を製造販売し、インド国内外で人気です。デザインと抗菌性が特徴です。
  • 日本食材
    インドの食文化が多様化する中で、日本食材や調味料も注目されています。特にカレー関連商品が増えており、日本のカレー専門店も進出しています。
  • 日本自動車メーカーの機械設備
    トヨタ、ホンダ、日産、スズキなどの自動車メーカーがインドに工場を持っており、日本製の工作機械設備が広く利用されています。
  • 銭湯
    インドには大浴場が付いたホテルがあり、日本人や現地の人々に利用されています。

食品・嗜好品を輸出する際の注意点

食品分野はインドで特に成長余地が大きい一方、宗教・文化への配慮が欠かせません。インドでは国民の約6割がベジタリアンとされており、菓子や加工食品であっても、肉由来エキスや動物性原料の使用有無が購買判断に大きく影響します。

そのため、原材料表示の明確化やベジタリアン対応商品の開発は、インド向け輸出における重要なポイントです。特に高価格帯の商品ほど、こうした配慮が信頼性やブランド価値の向上につながります。

インド向けに日本製食品を輸出する際は、需要の把握だけでなく、制度や実務面の理解も重要になります。食品輸出の流れについては以下の記事をご覧ください。

日本製品がインドで評価される背景

インド市場で日本製品が支持される背景には、「壊れにくい」「安全」「長く使える」といったイメージがあります。特に中間層以上の消費者にとって、日本製品は価格以上の価値を持つ存在として認識されています。

また、製造業分野では、日本企業の進出実績が多く、日本製の機械設備や部材に対する信頼がすでに定着しています。こうしたBtoBでの評価が、消費財分野にも波及している点は、インド市場を考えるうえで重要な視点です。

インドでの人材

インドは人口規模の大きさだけでなく、教育水準の高い若年層が豊富な国として、世界的に「人材大国」として注目されています。結果重視の姿勢と高い専門性を持つインド人材は、日本企業が抱える人材不足やDX推進といった課題を補完する存在として期待されています。

インド人材の特徴と強み

  • 優れた人材プール
    インドには理工系を中心にポテンシャルの高い人材が数多く存在し、欧米企業からも高い評価を受けています。即戦力として活躍できる人材を確保しやすい点が特徴です。
  • 高い評価と満足度
    インドの高度人材を採用した企業では、成果への評価や満足度が高い傾向にあり、期待以上のパフォーマンスを発揮するケースも少なくありません。
  • コスト効率と専門スキル
    高度なスキルを持ちながら、相対的にコスト効率が高い点も魅力です。日本企業が不足しがちな専門分野を補完する存在として活用されています。

IT・高度人材分野での強みとDXとの親和性

インドは世界有数のIT人材供給国として知られており、ソフトウェア開発データ分析AIクラウド分野などで高い専門性を持つ人材が豊富です。英語運用能力にも優れているため、グローバルプロジェクトとの親和性が高い点も特長です。

特にDXに取り組む日本企業にとっては、海外展開と同時にIT・デジタル分野を強化できる選択肢として、インド人材の活用は現実的かつ有効な手段といえます。

日本企業とインド人材の相性・活用時のポイント

インド人材の中には、日本語学習に積極的な人も多く、日本企業に対して友好的な姿勢を持つ人材が少なくありません。異文化への適応力が高く、チームとして成果を出す意識が強い点も、日本企業との相性の良さにつながっています。

一方で、成果重視・合理的な価値観を理解したうえで、役割や評価基準を明確にすることが重要です。こうした点を踏まえて受け入れ体制を整えることで、インド人材の強みを最大限に引き出すことができます。

実際のインド進出の流れ

インドへの進出を検討する際、最初のハードルとなるのが現地法人の設立と各種手続きです。インドでは会社形態や業種によって必要な手続きが異なり、税務・労務・法規制への対応も含めて段階的に進める必要があります。

ここでは、日本企業がインドに進出する際に一般的に必要となる流れを、実務の観点から整理します。

① 会社形態の選択と進出スキームの検討

インドで事業を行うためには、まず会社の形態を選択する必要があります。
インドでは主に以下の会社形態が存在し、事業内容や投資規模によって適した形態が異なります。

  • 株式有限責任会社(Private / Public Limited Company)
  • 保証有限責任会社
  • 無限責任会社

多くの日本企業は、出資比率や経営の自由度を確保しやすい非公開の株式有限責任会社を選択しています。会社形態によって、資本要件や開示義務、手続きの複雑さが変わるため、初期段階での判断が重要です。

② 設立・登記・資本投資に関する実務

会社形態を決定した後は、設立に向けた具体的な手続きに進みます。まず、会社名をインドの企業省(MCA)に申請し、名称の承認を受ける必要があります。会社名は一意であることが求められ、一定の命名ルールに従う必要があります。

その後、資本投資計画を策定し、現地法人名義の銀行口座を開設します。出資形態や外資規制の有無に応じて、中央銀行(RBI)への届出が必要となるケースもあります。

登記手続きでは、定款や取締役情報などの必要書類を提出し、登録完了後に正式に法人として活動が可能になります。

③ 税務・労務・コンプライアンス対応

法人設立後は、税務および労務関連の登録・対応が不可欠です。所得税やGST(インドの間接税)などの税務登録を行い、期限内の申告・納付を継続する必要があります。

また、現地で従業員を雇用する場合には、社会保障番号の取得や労働関連の各種登録が求められます。インドでは労働法規が細分化されているため、事前に制度を理解しておくことが重要です。

加えて、年次報告や各種開示義務など、法的コンプライアンスへの対応も継続的に求められます。規制や要件は変更されることも多いため、現地専門家や関係機関と連携しながら進めることが、インド進出を成功させる鍵となります。

まとめ

インドビジネスは昨年から大きく成長している分野であり、人材育成や市場トレンドを的確に捉えることで、新しい顧客の獲得だけでなく、事業拡大の大きなチャンスにつながります。

日本でのビジネスに行き詰まった際には、インド市場への進出を検討してみてはいかがでしょうか。具体的な計画や課題については、専門家に相談することをおすすめします。

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