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海外進出における資金調達の重要性
海外進出する場合には、国内で新規事業を展開するよりも多くの設備投資のための資金や運転資金が必要となります。
海外の国々は遠く、現地に赴くにもコストがかかり、さらには市場調査、会社設立のための手続きにも多くの労力、コストがかかってきます。
海外展開には、「ヒト」、「ノウハウ」、「カネ」が必要になってきますが、
「ヒト」や「モノ」をえる上で資金力は非常に大切です。以下に、資金調達の方法について紹介します。
海外進出に伴う銀行融資のメリット・デメリット
海外ビジネスに向けた資金調達には様々な方法があります。
資金調達を素早く行う方法として銀行からの融資を受けるという方法があります。
企業を取り巻く環境の不確実性は大きくなり、環境変化のスピードも速くなっています。
価値を産む有益なビジネスを実行するには、迅速に投資判断をしなくてはなりません。
ファイナンシャル・フレキシビリティの大きい企業が、多くの資金を素早く調達でき、
有益な投資機会を行使できる可能性が高まります。
銀行からの資金調達のメリットとデメリットについて紹介していきます。
海外進出するために銀行融資を受けるメリット
①キャッシュフローの安定性向上
銀行融資を受けることで、企業は海外進出に伴う資金繰りのリスクを軽減し、キャッシュフローの安定性を向上させることができます。海外でのビジネス展開は、初期費用が大きく、収益性が最初から確保できない場合が多いため、銀行融資による資金調達が適切な選択肢となります。
②リスク分散
海外進出に伴うリスクを銀行と共有することができます。銀行融資を受けることで、企業は自己資本だけでなく、借入金を活用して事業を展開することが可能となり、その結果、リスクの分散が図られます。
③信用力の向上
銀行融資を受けることで、企業の信用力が向上します。海外進出を行う企業にとって、現地での取引先やパートナーが信頼できる企業であることが重要です。銀行からの融資が受けられたことは、信頼性の証として評価されることがあります。
④金利の低さ
日本の銀行における金利は、世界的に見ても低水準です。海外進出を目指す企業にとって、銀行融資を活用することで、コストを抑えた資金調達が可能となります。
⑤資金調達方法の柔軟性
銀行融資は、資金調達方法の柔軟性が高いというメリットがあります。融資の金額や期間、利率などを企業の事業計画に合わせて調整することができます。また、返済条件についても柔軟に対応可能であり、事業に応じた最適な資金調達が実現できます。
⑥銀行との連携によるノウハウの活用
銀行と連携することで、海外進出に関するノウハウや現地のビジネス情報を得ることができます。銀行は多くの企業と取引を行っており、異業種や海外進出先国に関する情報を持っています。このような情報は、海外進出を円滑に進めるための貴重な資源となります。
銀行融資を活用することで、海外進出時の初期投資や運転資金を安定的に確保でき、キャッシュフローの安定化とリスク分散につながります。加えて低金利や柔軟な融資条件、銀行との連携による現地情報やノウハウの活用により、資金調達と事業展開を効率的に進められます。

海外進出するために銀行融資を受けるデメリット
①銀行融資の利子負担
銀行融資を受けることで最も顕著なデメリットは、利子負担が発生することです。融資を受けることで企業は利息を支払う義務が生じ、それにより企業の利益が圧迫されるおそれがあります。そのため、事業計画や収益性を十分に検討し、融資を受けるかどうかを慎重に決める必要があります。
②返済のプレッシャー
また、返済期間中は一定の返済額が発生し続けるため、企業は返済のプレッシャーにさらされます。特に海外進出に伴う事業リスクが高い場合、返済の状況が悪化することで経営が圧迫される恐れがあります。
③担保の提供
銀行融資を受ける際には、多くの場合担保の提供が求められます。担保として資産を設定することで、その資産の活用や処分が制限されるデメリットがあります。また、融資が返済できない場合には担保となった資産を失うリスクが生じます。
④コンプライアンス負担
海外進出に伴う銀行融資では、国際的な金融規制やコンプライアンスに従う必要があります。これにより、融資手続きが複雑化し、企業がコンプライアンスや情報開示の負担を負うことになります。また、コンプライアンス違反が発覚した場合、企業の評価が低下するリスクがあります。
⑤為替リスク
海外進出に伴う銀行融資では、為替リスクが発生する可能性があります。特に融資金額が大きい場合や、返済期間が長い場合には為替リスクが大きくなります。企業は為替リスクを適切に管理し、その影響を最小限に抑える必要があります。
銀行融資は利息負担や返済プレッシャー、担保の必要性などが大きく、経営リスクを増す可能性があります。さらに為替変動や国際的なコンプライアンス対応が求められるため、資金調達手続きの複雑さと負担も企業に重くのしかかります。

銀行融資はメガバンクからが基本
三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行のメガバンク三行から銀行融資を受けることが推奨されます。
メガバンクからの融資を受けるメリットは大きく3つあります。
第1に融資額が大きいことです。地方銀行や信用金庫の融資額には業種によって制限があります。
2つ目に、金利が安く設定されている点です。そのため、返済額をおさえることができます。
3つ目のメリットとして、世界各国に支店を持っている点です。
融資を受けた後もネットワークやリサーチ、コンサルティングを行う関連企業を活用することができ、
海外展開を円滑に進めていくことができます。
まとめ
企業が海外進出を目指す際には、新規事業に比べて設備投資や運転資金の必要性が高く、スピーディな資金調達が求められる場面が多くなります。銀行融資のメリットとしては、キャッシュフローの安定性向上、リスクの分散、信用力向上、低金利、資金調達の柔軟性、さらに銀行との連携による現地ビジネスの知見が得られる点が挙げられます。
一方、デメリットには利子負担、返済によるプレッシャー、担保の提供義務、厳格なコンプライアンス対応、為替リスクなどがあり、これらは慎重に見極める必要があります。融資の申込先としては、融資額や低金利、海外ネットワークを活用できる三菱UFJ・みずほ・三井住友などのメガバンクが基本的に推奨される選択肢です。資金計画や進出戦略を的確に描くためには、一度専門家に相談することをおすすめします。