アフリカ輸入品ランキング2025!日本企業が狙うべき成長市場とは?

アフリカは今、世界の輸出入ビジネスにおいて最も注目される新興市場の一つです。急速な都市化や中間層の成長により、生活必需品からインフラ関連資材まで、さまざまな品目の輸入が増加しています。
貿易実務者にとっては、どの国が何をどれだけ輸入しているのかを知ることが、市場戦略の出発点となります。

この記事では、「アフリカ輸入品ランキング」を軸に、国別・品目別にデータを整理し、日本企業が活用できる商機を読み解きます。

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地域別にみるアフリカ輸入品ランキングと最新の貿易動向

アフリカ諸国の輸入構成はこの数年で大きく変化しています。背景には、都市化・人口増加・中間層の拡大といった経済構造の変化があり、それが輸入品目の需要にも影響しています。
特に2020年代以降、輸入品目の構造には明確なシフトが見られます。加えて、アフリカ全体の人口が2025年時点で約15億人、2030年には約17億人に達すると見込まれており、これは日本企業にとって中長期的な輸入・輸出双方の市場機会を意味しています。

地域別の傾向と構造的違い

地域ごとに輸入構成には明確な差異があります。

東アフリカではEAC主導のインフラ整備が進み、建設資材発電関連機器の輸入が顕著です。
西アフリカでは人口規模の大きさと都市化の進行により、食品・医薬品・燃料といった生活関連品の輸入比率が高まっています。
一方、南アフリカでは電機・自動車・ICT機器といった中高付加価値製品が多く、工業化の進度が輸入内容に反映されています。

これらを踏まえたうえで各地域ごとの輸入品ランキングを見ていきましょう。

北アフリカの輸入品ランキング

順位輸入品目カテゴリ主な輸入国主な輸入元
1位小麦・穀物エジプト、アルジェリア、モロッコロシア、フランス、ウクライナ
2位機械類・工業設備エジプト、チュニジア中国、ドイツ、イタリア
3位精製燃料モロッコ、リビアスペイン、イタリア、オランダ
4位自動車・部品モロッコ、エジプトフランス、日本、トルコ
5位医薬品アルジェリア、チュニジアフランス、ドイツ、インド
African Trade Report 2024, Chapter 3.2, Afreximbank(2024年)より

北アフリカは地中海に面し、欧州との経済的結びつきが強いため、EU諸国からの輸入比率が高くなっています。

特にエジプトは世界最大級の小麦輸入国であり、ロシア・ウクライナ戦争の影響も受けました。産業政策を進めるモロッコでは、自動車部品電子機器の輸入が拡大しています。

西アフリカの輸入品ランキング

順位輸入品目カテゴリ主な輸入国主な輸入元
1位精製燃料ナイジェリア、ガーナ、セネガルインド、中国、オランダ
2位医薬品ナイジェリア、ガーナインド、フランス、ベルギー
3位食品加工機械・パッケージ機器コートジボワール、セネガル中国、ドイツ、トルコ
4位肥料・化学品ナイジェリア、トーゴサウジアラビア、インド
5位通信機器・ICT機器ガーナ、ナイジェリア中国、韓国、米国
African Trade Report 2024, Chapter 3.3, Afreximbank(2024年)より

西アフリカでは、精製燃料の輸入依存が顕著であり、とりわけナイジェリアでは35%以上が中国からの輸入に頼っています。また、人口増と都市化により医薬品・食品加工関連機器の需要が年々増しています。

東アフリカの輸入品ランキング

順位輸入品目カテゴリ主な輸入国主な輸入元
1位医薬品ケニア、エチオピア、タンザニアインド、ドイツ、フランス
2位肥料ケニア、ウガンダロシア、中国、モロッコ
3位食品加工機械エチオピア、ケニア中国、ドイツ、イタリア
4位建設機械・インフラ資材タンザニア、ルワンダ中国、トルコ、インド
5位ICT機器ケニア、タンザニア中国、韓国、米国
African Trade Report 2024, Chapter 3.4, Afreximbank(2024年)より

東アフリカはEACによる域内連携が進み、インフラ整備農業支援分野で輸入需要が増加。インド・中国は医薬・肥料の供給国として定着しつつあり、デジタル化によるICT機器需要も急増しています。

中部アフリカの輸入品ランキング

順位輸入品目カテゴリ主な輸入国主な輸入元
1位精製燃料コンゴ共和国、チャド、中央アフリカフランス、中国、カメルーン
2位建設機械ガボン、赤道ギニア中国、フランス
3位食品・飲料カメルーン、コンゴ民主共和国南アフリカ、フランス
4位医薬品チャド、コンゴ共和国インド、ベルギー、フランス
5位家電・消費財カメルーン、コンゴ民主共和国中国、トルコ
African Trade Report 2024, Chapter 3.5, Afreximbank(2024年)より

中部アフリカは内陸国が多く、輸送コストが高い一方で、都市開発と資源輸出に伴う建設関連の輸入が重要視されています。燃料医薬品は依然として域外依存です。

南部アフリカの輸入品ランキング

順位輸入品目カテゴリ主な輸入国主な輸入元
1位自動車・部品南アフリカ、ナミビア日本、ドイツ、韓国
2位鉱業機械南アフリカ、ボツワナ中国、米国、ドイツ
3位ICT機器南アフリカ、ザンビア中国、韓国、米国
4位食品加工機械ジンバブエ、レソトイタリア、中国、南アフリカ
5位医薬品南アフリカ、モザンビークインド、フランス、ドイツ
African Trade Report 2024, Chapter 3.6, Afreximbank(2024年)より

南部アフリカでは、比較的工業化が進んでおり、輸入品も高付加価値の機械類・ICT関連が多く見られます。特に南アフリカは域内流通のハブとしても機能しており、日本企業にとっても展開余地があります。

貿易相手国の変化と影響力

中国の影響力は年々拡大しており、2025年時点ではナイジェリアの中国からの輸入比率が35%を前後に拡大する見通しであり、アフリカ主要国の調達先として圧倒的な存在感を示しています。これは10年前と比べ約2倍の水準です。
建設機械、電子機器、日用品など広範囲の品目で中国製品の競争力が高く、特に価格優位性が影響しています。

EU諸国医薬品高機能化学品などで依然として高いシェアを持ち、フランス・ドイツを中心にアフリカとの経済連携を強化中です。

日本機械自動車部品分野で一定の信頼を得ていますが、数量ベースでは限定的です。
ただし、品質や安全性が求められる分野では現地政府調達案件などを通じて評価が高まっています。

輸入構造に表れた変化と今後のシフト傾向

2020年代に入り、アフリカ諸国の輸入構造にはさまざまな変化が表れ始めています。従来の「燃料・穀物」中心の構成から、より産業的・戦略的な品目へと需要がシフトしつつあります。
これは、都市化・医療制度改革・インフラ投資といった社会経済的背景に加え、貿易相手国や輸入ルートの変化にも起因しています。

以下の表は、近年の輸入構造の主な変化を領域ごとにまとめたものです。商機を見極める際の足がかりとして活用できます。

変化の領域従来(~2020)2025年時点の傾向実務上の示唆
輸入品目構成燃料・穀物が中心機械・ICT・医薬品が比重拡大産業高度化に対応した製品提案が重要
供給国構成欧州・アジア(主に中国)に集中中国・インド優位に加え、域内調達も拡大競合動向を踏まえた価格・品質戦略が求められる
物流ルート大港湾(例:ラゴス、ダーバン)依存代替港・三国間輸送が進行ルート別の物流コスト・日数管理が必須
制度活用個別二国間協定が中心FTA(AfCFTA、EAC等)活用が拡大関税優遇を前提とした地域横断戦略が有効

特に注目すべきは、FTAの進展により「どこから調達するか」が企業戦略上ますます重要になっている点です。日本企業としては、競合国と比べた際の優位性を明確にしつつ、現地制度や物流事情を踏まえた柔軟な輸出体制を構築することが求められます。

アフリカの輸入構造は、価格競争力で優位に立つ中国、技術・品質で信頼を得る日本、そして高付加価値分野を維持するEUという三極構造へと移行しています。どの分野で競うかを見極めることが、今後の輸出戦略の成否を分けます。

国別に見るアフリカ輸入品ランキング:どの国に商機がある?

国別に輸入構成を把握することで、自社製品とマッチする国や産業を特定しやすくなります。本章では輸入額上位国を取り上げ、輸入品目の傾向と背景を比較しながら、日本企業にとっての商機を考察します。

ナイジェリアの輸入構成と経済依存

アフリカ最大の人口を誇るナイジェリアは、消費市場としての規模と成長性から、輸入依存度の高い国として注目されています。

輸入の中核を占めるのは精製燃料機械類であり、国内の製造・精製インフラの未整備がこの依存構造を支えています。さらに、都市部を中心に電力・通信インフラの整備が進められており、これに伴う発電装置ICT機器の需要も顕著です。

また、中国からの輸入比率は2025年時点で35%を超え、2015年比で約2倍に増加しています。特に建設機械家電分野では、中国製品が市場を席巻していますが、品質や保守対応が課題とされており、これが日系企業の参入余地となっています。

さらに、日本からアフリカへの輸出額は2023年に1兆3,991億円と過去最高を記録しており(円貨ベース)、こうした傾向を踏まえると、ナイジェリアのような人口大国では日本製品の輸出機会が増えつつあると見られます。

エジプト・ケニア・南アフリカの比較分析

エジプトは中東とアフリカを結ぶ戦略的拠点であり、小麦化学製品の大量輸入が続いています。これは人口密度の高い都市部における食料・産業需要の高さを反映したものです。

ケニアは、農業国でありながら医薬品・肥料・食品加工機械などの輸入が堅調に推移しており、医療・食品セクターに関連する製品の商機があります。

南アフリカは域内では最も工業化が進んだ国のひとつで、自動車部品ICT機器の輸入が目立ちます。自動車関連は組立ラインの運営に必要なパーツ類が中心で、日本からの輸入も多い分野です。
高度人材やロジスティクスの整備状況が整っており、日系企業の現地展開が比較的スムーズに行える国でもあります。

表:国別主要輸入品目(2025年時点推計)

国名輸入品目1輸入品目2輸入品目3
ナイジェリア精製燃料機械類医薬品
エジプト小麦化学製品電気機器
ケニア医薬品肥料食品加工機械
南アフリカ自動車部品ICT機器石油製品

地域統合とFTAが輸入構造に与える影響

アフリカでは域内経済連携が加速しており、特にEAC(東アフリカ共同体)ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)による関税優遇や通関簡素化が域内貿易を活発化させています。
これにより、従来は欧州やアジアから輸入していた製品が、近隣国からの調達に切り替えられるケースも増えています。

たとえばケニアでは、EAC域内からの農業機械や食品原材料の輸入比率が年々上昇しており、FTAの効果が実務レベルでも明確に表れています。日本企業が第三国向けの製品供給を検討する場合、こうした地域協定の枠組みを活用することで、コスト・納期両面で優位に立つことが可能です。

日本の輸出品については、以下の記事で業種別・国別に詳しく解説しています。アフリカとの貿易バランスを俯瞰する際の参考としてご活用ください。

 

アフリカの輸入品ランキングから見える注目すべき輸入品と日本企業が狙うべき市場

アフリカの輸入品ランキングからは、成長著しい市場ニーズと構造的な課題が浮かび上がります。その中で、日本企業が強みを活かせる分野や、価格競争を乗り越えるための戦略を明確にすることで、参入可能性をより具体的に検討できます。

実際、日本のアフリカ市場における輸出シェアは2025年時点で約1.2%と限られていますが、アフリカ全体の人口増加と都市化の進展を踏まえると、今後の輸出拡大余地は大きいとJETROは分析しています。

技術優位性を活かせる分野

日本製の医療機器水処理装置省エネ型機械は、品質・耐久性・信頼性において高く評価されています。こうした製品群は、アフリカ各国で進行中の衛生インフラ整備や再生可能エネルギー導入の動きと合致しています。

たとえば、ケニアやルワンダでは中小規模病院向けの画像診断装置ポータブル医療機器の導入が進んでおり、日本の中堅メーカーが官民連携スキームで納入した事例も見られます。
価格よりも安全性・性能・メンテナンス対応が重視される分野では、日本製品が選ばれる余地があります

また、ジェトロのレポートでは、日本からアフリカへの輸出品目構成において「輸送用機器」が最多で、その内訳には自動車船舶が大きな比率を占めており、さらに電気機器ポンプ遠心分離機がそれぞれ前年比で大幅増というデータも挙がっています。
これらの動きは、日本企業の技術優位分野がアフリカでも存在感を増していることを示唆しています。

価格競争が厳しい分野と差別化の視点

家電製品一般機械衣料品などの分野では、中国やインドの製品が圧倒的な価格競争力を持っています。特にナイジェリアやタンザニアでは、市場シェアの大半をこれらアジア諸国が占めている状況です。

こうした中で日本企業が優位性を確保するには、単なる価格勝負ではなく、「品質保証・耐久性・アフターサービス」といった信頼性を前面に出すことが求められます。また、現地ディストリビューターやサービス事業者との連携により、保守体制を整えることで長期利用を前提とした提案が可能になります。

物流・サプライチェーンの制約と対処法

輸出入の実務上、避けて通れないのが物流インフラの制約です。多くのアフリカ諸国では、港湾の混雑、道路網の未整備、通関手続きの遅延が恒常的な課題となっています。

特にナイジェリアでは、ラゴス港の慢性的な混雑により、ベナンのコトヌー港を経由して貨物を輸送する企業が増加しています。このような三国間輸送は、納期の安定化やコスト削減に繋がる場合もあり、輸送ルートを多角的に検討することが重要です。

また、現地の物流事情に即したハブ拠点の活用在庫分散といった柔軟なサプライチェーン設計が、日本企業の競争力を左右する鍵となります。輸送だけでなく、保管・再配送の視点を含めたロジスティクス全体の見直しが求められています。

アフリカへの輸出戦略に活用できる統計・制度・支援策

アフリカ市場への輸出戦略を構築する上で、信頼性の高い統計データや、制度・支援メニューの活用は欠かせません。ここでは、現地市場の実態を把握し、制度を戦略的に使いこなすための基礎情報を整理します。

実務に使える信頼性の高い統計情報源

戦略立案や市場分析の出発点となるのが、客観性と継続性のあるデータです。以下の情報源は、アフリカ市場における輸入動向や制度、経済構造を把握するうえで信頼性の高いソースです。

  • UNCTAD(国連貿易開発会議):貿易統計や発展途上国の経済分析に強み
  • JETRO:アフリカ各国の市場レポート、進出事例、展示会情報などを網羅
  • 世界銀行(World Bank):物流指標、インフラ投資、経済指標の国際比較が可能
  • 各国政府統計局:輸入品目別統計や関税率など現地情報を一次取得できる

特にJETROは、現地企業とのマッチングや展示会出展支援も提供しており、調査から販路開拓まで一貫して活用できる点が実務上の強みです。

FTA・EPAの基礎と実務影響

アフリカでは、54カ国がAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)に署名し、2025年現在では47カ国が協定を批准済みです。原産地証明を取得すれば、加盟国内での関税ゼロ輸出が可能になるケースも増えています。

また、日本が締結しているEPA(経済連携協定)GSP(特恵関税制度)と併用することで、関税上の優遇対象品目を広げることも可能です。これら制度の適用可否は、HSコード(品目分類)や輸出国・原産地証明の有無により決まるため、事前の確認が不可欠です。

戦略的には、関税の有無だけでなく、競合国との価格差に直結する制度活用が鍵となります。輸出コストが高止まりしている中で、FTAをどう使うかが利益確保の分かれ目になります。

日本企業向け支援制度と活用のコツ

アフリカ市場はチャンスが大きい一方で、初期リスクや現地情報の不足が参入障壁となるケースもあります。こうした課題に対応するため、日本国内ではさまざまな支援制度が用意されています。

  • JETRO:現地調査支援、商談マッチング、展示会出展サポート
  • 中小機構(中小企業基盤整備機構):補助金・海外展開ハンズオン支援
  • 民間金融機関や商社連携:リスク分散・物流支援など実務面のサポート

複数の制度を組み合わせ、「調査 → 試験販売 → 本格参入」という段階的な進出計画を立てることが、リスク管理と資源配分の両面で有効です。早期の制度活用によって、現地参入までのスピードも加速します。

アフリカとの輸出入では、貿易L/C(信用状)の活用が実務上非常に重要です。詳細な仕組みやリスク回避策については以下の記事をご参照ください。

 

まとめ

本記事では、アフリカ諸国における最新の輸入品ランキングをもとに、市場構造の変化と貿易の実務的ヒントを整理しました。

今後の戦略立案では、アフリカ全体を見るのではなく、国別・産業別・FTA単位で輸入需要を把握し、段階的に参入することが成功のカギとなります。特に、人口成長国のケニアやナイジェリアでは、生活必需品・機械・インフラ関連の需要が拡大しており、日本企業にとって現実的な商機が見込まれます。

最後に、制度や現地事情は常に変化しています。専門家に一度相談してみることをおすすめします

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