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「LinkedIn(リンクトイン)」という名前を耳にしたことはあっても、「何に使えるのか分からない」「海外のサービスでしょ?」という印象を持つ方は少なくないかもしれません。しかし、国際ビジネス、とりわけ貿易の分野においては、LinkedInは非常に有効なツールとなり得ます。
この記事では、LinkedInの基本から、貿易ビジネスでの活用方法までをわかりやすく解説していきます。
LinkedInとは何か
LinkedInは2003年にアメリカで設立されたビジネス特化型SNSです。世界中で10億人以上のユーザーが登録しており、特に欧米諸国や東南アジアなど、国際的なビジネスコミュニティにおいては欠かせない存在となっています。2016年にはMicrosoft社によって買収され、現在では同社のビジネスエコシステムとも連携する形で発展を続けています。
一般的なSNSと異なり、LinkedInはビジネス上の人脈形成や採用活動、業界情報の収集・発信に特化しています。投稿内容も仕事に関する話題が中心であり、利用者の大多数は実名・顔写真付きでプロフィールを登録しています。こうした「信頼」を基盤にしたSNSである点が、他のSNSとの大きな違いです。
日本ではまだ利用者数が少ない印象がありますが、貿易や国際ビジネスの世界では、LinkedInを通じて取引先とつながることが当たり前になりつつあります。
LinkedInの基本機能と使い方
LinkedInには、ビジネス目的で活用できる多くの機能が搭載されています。最も基本的な要素は「プロフィール」の作成です。これは履歴書に近い役割を果たし、職歴や学歴、スキル、資格、過去のプロジェクト、推薦文などを掲載できます。自分の専門性や実績を可視化することで、初対面の相手にも信頼感を与えることができます。
さらに、以下のような多様な機能が備わっており、目的に応じて組み合わせて使うことで、国際ビジネスや貿易の現場でも大きな効果を発揮します。
機能 | 内容 |
---|---|
プロフィール作成 | 職歴、学歴、スキル、
推薦を掲載 |
投稿・シェア機能 | 記事や業界ニュースを
発信・共有 |
メッセージ(DM)機能 | つながりのある相手へ
直接連絡 |
InMail(プレミアム限定) | 未接続の相手へも
直接連絡可能 |
グループ機能 | 業界別や関心別のグ
ループ参加 |
企業ページの閲覧 | 企業情報、採用状況、
最新投稿を確認 |
求人検索機能 | 世界中の求人情報を閲覧可能 |
ネットワーク機能 | 「つながり」リクエストで
人脈拡大 |
分析ツール
(企業ページ管理者向け) |
投稿の閲覧数や
エンゲージメントを分析 |
プレミアムアカウント機能 | 詳細検索、
閲覧履歴の確認、 学習コンテンツ利用 |
例えば、貿易企業が新しい輸入サプライヤーを探す場合、まずプロフィールを整え、自社の強みや過去の実績を掲載して信頼感を演出します。そのうえで、検索機能とInMailを活用すれば、地域や業種を絞り込んだうえで、まだ面識のない現地バイヤーやメーカーに直接コンタクトが可能です。
さらに、対象企業のページを事前に確認することで、相手がどのようなビジネス戦略を展開しているのかを把握でき、商談の精度を高めることができます。
導入のメリットと課題
LinkedInの最大のメリットは、インターネットを通じて世界中のビジネスパーソンにアクセスできることです。特に、物理的な距離が商談の障壁となる貿易業においては、その効果は非常に大きいと言えるでしょう。
中小企業や個人事業主でもコストを抑えて始められる点も魅力です。ただし、日本国内ではまだ知名度が高くないため、国内向けの営業や求人には向かないケースもあります。
また、英文でのやり取りが基本となるため、語学力への不安を感じる方もいるかもしれません。その場合は、定型文を活用したり、翻訳ツールを併用することで対応可能です。
貿易ビジネスでのLinkedIn活用方法
貿易ビジネスにおいては、国や言語、商習慣の違いを越えて「信頼できる相手」と出会い、取引関係を築くことが成功のカギを握ります。ところが、従来の方法では、こうした相手を見つけるには時間もコストもかかり、商談成立までに多くの労力を要しました。
そこで注目されているのがLinkedInです。LinkedInを活用すれば、海外バイヤーやサプライヤーの情報を直接検索し、信頼に足る相手かどうかを事前に見極めたうえでアプローチができます。また、オンライン展示会や国際会議などで出会った相手と「その場限り」で終わらせず、つながりを維持・発展させるためのコミュニケーション基盤としても機能します。
以下のような具体的な場面で、LinkedInは大きな役割を果たします。
活用場面 | 利点 |
---|---|
新規取引先の発掘 | 業種・地域・役職・企業規模でターゲットを絞れる |
商談前の情報収集 | 相手の職歴、関心分野、価値観を事前に把握できる |
信用チェック | 相手の信頼度や業界内での評価が可視化される |
展示会後のフォロー | 会話を継続し、見込み顧客との関係構築が可能 |
市場調査 | 海外の動向や競合の活動状況をリアルタイムで確認できる |
採用・協業パートナー探し | 現地スタッフや通訳者、ローカルパートナーを探索可能 |
たとえば、ある日本の輸出企業が東南アジア市場への販路拡大を検討しているとします。従来であれば、現地の商社や貿易代理店を介して市場参入するのが一般的でしたが、LinkedInを使えば、自社製品に関心を持ちそうな企業の購買担当者や輸入ディストリビューターを直接検索できます。
検索時には「Thailand」「Procurement Manager」「Agricultural Imports」などのキーワードを組み合わせて絞り込みが可能です。相手のプロフィールを見ることで、どのような企業に勤めているのか、過去の職歴や投稿内容から興味関心の方向性、実際にどのような製品や技術に関心を持っているかといった情報を得ることができます。
さらに、共通のつながりがあれば、その人を介して紹介を依頼することもでき、初回のアプローチでも信頼感を持ってもらいやすくなります。これにより、飛び込み営業では得られなかったチャンスが生まれ、結果としてコスト効率の良い市場開拓が可能になります。
また、展示会や海外ビジネスマッチングイベントに参加した際には、LinkedInで相手とすぐにつながることで、名刺交換だけにとどまらない「継続的な関係性の構築」が可能です。相手が投稿する業界ニュースや企業動向にリアクションを送るなど、日常的なやり取りを通じて信頼関係を深めていくこともできます。
さらに、LinkedIn上では業界別のグループも多数存在しており、たとえば「Global Logistics Network」や「International Trade Professionals」などに参加することで、貿易実務者同士の交流や最新動向の情報収集が可能になります。これらは日々変化する通関制度、関税政策、輸出規制といった国際貿易の実務に関する知見を広げるうえでも大変有効です。
このように、LinkedInは単なる「ビジネス名刺交換ツール」ではなく、取引先発掘から商談、関係維持、市場調査まで、貿易ビジネスの幅広いプロセスで活用できる強力なプラットフォームなのです。
商談に活かすための実践的アプローチ
LinkedInを貿易商談に活用するには、プロフィールやメッセージの内容が非常に重要です。実績や専門性を明示することで、初対面の相手にも信頼感を与えることができます。
英語でのメッセージ例として、以下のような表現が効果的です。
“Hello, I came across your profile while researching potential partners in [industry]. I’d be very interested in learning more about your company and exploring possible collaboration. Let’s connect.”
また、注意すべき点としては、過度な営業色を出しすぎないこと、相手の文化やビジネスマナーに配慮することが挙げられます。国や地域によっては、初対面での積極的すぎるアプローチが逆効果になることもありますので、相手の反応を見ながら柔軟に対応することが求められます。
まとめ
LinkedInは単なるSNSではなく、国際ビジネスを成功に導くための強力なツールです。特に貿易業務においては、海外とのネットワーク構築、商談前の情報収集、信頼構築といった様々な場面で役立ちます。
まずは、自身のプロフィールを丁寧に整備し、業界内での投稿や交流を始めてみることからスタートするのがおすすめです。オンラインでの信頼づくりは、これからの時代における商談の鍵となるでしょう。
もし、LinkedInの使い方に不安がある場合や、自社に合った活用方法を知りたいという方は、専門家に一度相談してみることをおすすめします。正しい使い方を理解することで、海外市場への扉が大きく開けるかもしれません。
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カテゴリ:海外ビジネス全般