中小企業が海外進出するメリットと課題を解説

国内需要が縮小する中、中小企業にとって海外進出は、新興国市場の拡大に伴い成長機会を得る有力な選択肢となっています。コスト削減や優遇税制、経済特区の活用などによって、人件費・材料費・輸送費を効率化でき、外資誘致政策を利用した節税も期待できます。

一方で、為替変動や販売先の策定、信頼できるパートナーの発掘など、進出に際して乗り越えるべき課題も少なくありません。

本記事では、こうしたメリットと課題を整理し、海外展開を検討する際に押さえておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。

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注目を集める中小企業の海外進出

近年、海外の市場を視野に入れて海外進出に踏み出す企業は増加傾向にあります。海外進出は、大企業のみならず、中小企業も積極的に行っています。日本国内だけの需要が低下しつつある中で、海外の顧客のニーズを満たすために海外に進出することは合理的であると言えます。

中小企業が海外進出するメリット

日本の中小企業にとって海外市場に進出するメリットは多く存在します。その中でも、今回は中小企業が進出するべき3つの理由を記述しました。

新興国の市場が拡大している

 第1に、新興国の市場が拡大していることに注目しましょう。日本では人口減少が加速し、国内需要の低減に歯止めが効かない状態となっています。一方で、アジア地域の新興国は非常に魅力のある需要があります。世界経済に新たに参入する24億人の中流階級において90%を占めています。また、アジア地域のGDPは急速に成長しています。

節税が可能

メリットのひとつに、外資の優遇税制による節税が挙げられます。各国でそれぞれ奨励業種が定められています。例えば、マレーシアにおける現在の奨励業種は、製造業、農業、観光業(ホテル業を含む)、R&D(研究開発活動)、職業訓練事業、環境保護に資する事業、プリンシパル・ハブ、ICT事業などがあります。これらの業種でマレーシアに進出する場合には法人税が免税になるというメリットがあります。それぞれの国で様々な条件がありますので、進出先が決まっている場合は是非ご確認ください。

経済特区活用によるコスト削減

海外進出することで人件費や材料費、輸送費といったコストを削減することができます。どのコストを掛け、もしくは維持し、どのコストを削減するのかといった点を見極める必要があります。新興国に進出する場合には、経済特区に展開することで生産コストを削減することが可能となります。また、税制面での優遇を受けることができ、支払税をカットすることができます。

中小企業にとって海外進出は、人口増加と経済成長が続く新興国市場へのアクセスを通じ、多様な顧客層と成長機会を得られる大きなチャンスです。さらに、進出先における経済特区や優遇税制を活用すれば、人件費・材料費・輸送コストの削減や節税効果も見込めます。

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中小企業が海外進出する際の課題

一方で中小企業が海外進出する際に付随する課題もあります。今回は3つの課題を取り上げて紹介します。

為替変動リスク

第1に、為替変動による不利益が挙げられます。特に新興国の中国、東南アジアなどにおいて社会情勢の不安定さから大きな為替変動が生じる可能性があります。為替が変動することで、売上額が大きく変化してしまいます。為替は変動的であり、リスクを適切に管理するのは難しいです。

健全な企業の見極め

次に、現地において健全な連携先を確保することです。海外の信頼できるパートナーやアドバイザーを見抜くことは難しいです。まずは進出するエリアについて専門的な知見を持つコンサルティング企業に相談してみることもひとつの手です。

販売先の策定

もうひとつの課題として、利益を確保することができる販売先を策定する難しさです。製品を販売する際には、進出する国の文化やニーズに合わせて製品のローカライゼーションを行わなくてはなりません。日本国内で販売する際と海外で販売する際では製品・サービスを違う形で提供しなくてはなりません。自社の強みを生かすことができる現地での販売先を策定しましょう。

まとめ

中小企業が海外進出を検討する背景には、国内市場の縮小と比較して、アジアをはじめとする新興国の市場拡大という明確な成長機会があります。また、進出先に応じた優遇税制を活用すれば節税効果も期待できるほか、経済特区を活用することで人件費・物流費などのコストを抑えることも可能です。

一方で、為替変動リスクや現地パートナーの信頼性、適切な販売チャネルの選定といった課題にも直面するため、慎重な戦略設計が求められます。進出先が具体的に決まっている場合には、制度や市場の特性を踏まえた判断を行うことが重要です。こうした実務に進む前には、一度専門家に相談することをおすすめします

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