目次
新興国の経済成長
近年においては日本、欧州、北米の経済が成熟期にあり、経済成長が停滞しています。
これらの地域はすでに成長段階を通り越した地域であり、今日は新たな市場機会の創出のため、
中国、インド、ブラジルといったBRICs、ベトナム、タイ、シンガポール、フィリピンといった
ASEANの新興国への進出が注目を浴びています。
現に、日本、欧米、韓国や台湾などの企業が新興国市場に進出し、熾烈な競争を繰り広げています。
BRICsなどの新興国は、経済の成長性、巨大な、もしくは急増している人口と潜在的消費市場、豊富な天然資源があり、
経済成長の可能性を大いに秘めています。
しかしながら、新興諸国は広大な貧困層、インフラ整備の未発達性、高い政治的リスクなどが存在しているのも事実です。
そのため新興国市場への進出は、シェアの拡大という観点のみでは語ることができません。
新興国市場に進出するメリット
新興国の市場に日本企業が進出するメリットには、さまざまな要素が考えられます。ここでは、主要なメリットについて詳しく見ていきましょう。
① 成長性の高い市場
新興国の市場は、一般的に成長性が高く、市場規模が拡大しています。これにより、日本企業は新たなビジネスチャンスを獲得でき、売上向上や利益拡大が期待できます。
② 人件費の削減
多くの新興国では、労働力のコストが低いため、現地での事業展開によって人件費を削減できます。これにより、コスト競争力を向上させることが可能です。
③ 為替リスクの分散
新興国市場に進出することで、異なる通貨での取引が増えるため、為替リスクが分散されます。これにより、企業のリスク管理が向上します。
④ グローバルなブランドイメージの向上
新興国市場への進出は、企業のグローバルな存在感を高めることができます。これが、ブランドイメージの向上に繋がり、より多くの顧客を獲得することが期待できます。
新興国市場開拓に日本企業がすべきこと
多くの日本企業が新興国市場への進出を推進していますが、
新興国におけるイノベーション創出に四苦八苦しています。
これまで、日本企業は「モノづくり」の技術力、精緻さで世界の市場でシェア競争で優位に立っていました。
そのため、生産技術やマネジメント・システムを海外に移転し、
海外子会社を管理・運営できる人材を派遣する形で海外展開を進めてきました。
しかし、新興国は発展途上にあるため、先進国とは全く環境が異なっています。
そのため、生産技術の移転というよりも、現在は現地での事業創造や製品開発といったイノベーション創出が重要な課題となっています。
新興国市場への進出方法
新興国の市場に日本企業が進出する方法には様々なものがあります。これらの方法を効果的に活用することで、日本企業は新しい市場で成功を収めることができます。
①現地のパートナー探し
現地のパートナーは新興国市場での成功に不可欠で、現地の文化やビジネス環境に深い理解があります。彼らの知識は市場アクセスや文化的な誤解回避に役立ち、リソース共有はリスクを軽減できます。また、パートナーは市場リサーチや競合情報提供にも貢献します。
②政府等からの支援
また、政府や関連機関からの支援を受けることも重要です。特に、新興国政府が推進するインフラ整備や産業振興プロジェクトに参画することで、進出先国と良好な関係を築くことができます。
③市場調査
次に、新興国市場における需要を的確に把握し、適切な商品やサービスを提供することが重要です。現地市場のニーズに合わせた製品開発やサービス展開が、市場での競争力を高めます。
– マーケットリサーチを実施し、現地市場の動向や顧客ニーズを把握する
– 現地市場での販売戦略やプロモーション活動の計画を立てる
– 現地の生産設備や物流システムを確立する
④人材育成
最後に、人材育成にも力を入れることが重要です。現地採用スタッフを教育することで、現地市場に精通した人材を確保し、企業の競争力を高めることができます。
新興国向けの戦略立案での課題
2014年の研究開発を行う企業を想定したアンケート調査では、日本企業は欧米企業や韓国等の大手アジア企業と比較して、
現地ニーズの把握・情報収集、現地国へ展開するための戦略立案、現地人材の活用、
言語対応などの点で苦戦を強いられていることが指摘されています。
新興国に展開するための市場ニーズの把握、研究開発戦略、ビジネスモデル構築、連携戦略などの
全体的な戦略立案における苦手意識が強いことが見てとれます。
戦略立案の脆さの要因としては、「戦略立案に係る人材の不足」と「ノウハウが確立されていない」と感じている企業が多いようです。
新興国市場開拓に必要な人材とは
世界経済研究協会の桑名義晴氏によると、今日新興国市場を開拓していくには、次のような能力が必要だといいます。
①現地での事業創造や製品開発につながる情報や知識を探索し、
それを実行に移す探索型イノベーションへの挑戦、
②不確実な環境下でもリスクに挑戦し、それを負担する覚悟と胆力、
③短期で成果を目指すのではなく、物事を長期的に考えることのできる長期的思考、
④他企業、政府機関、大学、NPO・NGOなどとの共同と価値の共創、
⑤将来の人類の幸福や持続可能な地球社会・地域社会・企業などについて、大きな視点から思考できる高い精神性と倫理観を有する、
といった能力です。
ただ、こうした能力を有する人材は今日の日本企業には少ないといいます。
新興国市場開拓に必要な人材の育成が急務であり、
若い人材が現地でプロジェクトやタスクフォースの責任者として経験を積んでいく必要についても同氏は指摘しています。
しかしながら、アンケート調査ではグローバル人材を十分に確保していると回答している企業は少なく、
また、問題点・課題として「時間的余裕がない」、「仕事上、海外との接点が限定的」というものが存在しています。
まとめ
新興国はその潜在性から、先進国企業に加えて、負けじと現地企業が熾烈な競争を繰り広げています。
日本企業も進出を強化しており、競争に勝つためにも現地でのイノベーション創出、
グローバル人材の育成を推進していかなければなりません。
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